パルコール嬬恋と…

こんにちわCAPです。多分2年以上ぶりの更新となります。この2年間…15年間以上続けてきた「会社員」を辞めて個人事業主として過ごしてきました。数あるプロジェクトの中で群馬県パルコール嬬恋のプロデゥースに時間を費やしてきましたが、晴れて(?)3月31日の契約満了となり裏話含めて色々とお話し出来ることになったのでなぜパルコール嬬恋がここまで認知度が上がったかをお話しさせて頂きます。

ことの発端は豪州系の投資家が入った2020年に遡ります。リゾート全体の統括総支配人(GM)に過去星野リゾートアルツ磐梯の戦友だった人物が就任しマーケティング&セールス、ブランディング全てを統括して欲しいとの依頼から始まります。時はコロナ禍真っ只中だったので主戦場としていたインバウンドの業務もかなり厳しかったので二つ返事で2021-22年冬に間に合うよう2021年4月から契約を開始しました。過去実績からどうやらパルコール嬬恋は少々面白い顧客層だったことがわかったのです。それは雪量に全く関係なく毎年8万人の入れ込みが担保されているということ。索道収入(リフト券+シーズンパスの売上)が120M(1M=100万円なので1億2千万円)と規模の割には少ないなど色々と問題と逆にアドバンテージがありました。

オージーオーナーの意向、GMの意向などを踏まえた結果8万人+オントップとなる「新たなるセグメントの獲得」が必須となり、そのセグメントがスノーボーダー層が最も適しているという結論になりました。理由としては、①効率的な人工降雪が可能な自然環境、②緩斜面・幅広斜面構成、③晴天率高く自然降雪が少ない…

世界中にこのようなリゾートが取る多くの方程式は「大規模パーク造成」というセオリーがありました。なぜか?理由は明白です。自然降雪が多い場合はパークアイテムの掘り出しにコストが掛かります。もちろん人工降雪機を稼働させるためには大量の電気代+水道代 (湧水を使ってない場合)が掛かりますが、そもそも緩斜面主体とのことで大きなパーク(=上級者向け)を造成しなければそこまではコストは掛からない。それよりもクオリティーが担保された”誰でも入れるパーク”が常にあるのは集客になるだろうと判断しました。パーククルーは大竹延王さんチーム、パークデザインは今はときめく相澤亮。とにかく誰もが驚く、誰もが行きたくなるパークとその他多くの魅力で戦うことになったのが2021-22シーズン。つまり昨年度だったのです。

そりゃ昨年度はすごかったです。毎年8万人。コロナ禍は6万人以下だったのが115,000人に膨れ上がり、索道収入は200Mを超える数値となりました。ゴンドラは毎週末30~45分待ち。そして4月のイベントuzumaki…。話題が話題を呼び業界内でもいきなり飛び出しきた新星に驚かれた方も多かったと思います。しかしそれは2年目の今年(22-23シーズン)の布石でもありました。今年は15万人、300Mの索道収入を目標にして進めていき11月末までの時点では色々な可能性が高まっていました。しかし12月以降会社組織の問題や降雪の問題など露呈して結果今年は非常に厳しいシーズンとなりました。もちろんこのエリアが例年稀に見る極端な少雪&高温だったのは事実ではありますが、それ以上に組織の脆さを露呈したのも事実でした。

どこの会社組織も同じことが言えますが、船頭が明確ではない場合はその下にいるスタッフが上手く取り回る事は難しくなります。そして同じミッションの共有など無ければどこに向かうか分からない黒闇の中を航行する事になり不安も感じます。結果色々な歯車が上手く噛み合わないままシーズン終了となりました。

スノーボード人口が減ってきている原因、その諸悪の根源はスキー場にあると思っています。リゾートを中から変えない限りスノーボーダーが増える事はないと。そのために何が必要か?それはお客様にワクワクを提供しづける事。我々リゾートの人間がスキーやスノーボードをどれだけ愛してるいるか?どれだけ自分たちのいるリゾートを楽しめているか?uauzmakiを開催した昨年度そして今年のオフシーズンそれを実践するために動き続けましたが会社組織が上手くフィットしませんでした。契約を満了にした理由はそこにあります。CAPはフリーランスですし興味がある仕事に絞る権利があります。という事でパルコール嬬恋を去る決断になりました。

なぜパルコール嬬恋がここ2年間(というか実質1年間)成功したのでしょうか?答えはとても簡単です。己のリゾートを愛してやまないスタッフが鼓舞し最強の商品をお客様に提供し続けたからだと思っています。根性論ではビジネスは上手くいきませんが精神論はとても重要になります。もちろんPRのタイミングなど細かい戦術もありますが、やはり「自分たちのリゾートを日本で最も”やばい”場所にする」という気持ちが根底にあった事は非常に重要でしょう。

当面はインバウンドの業務を中心に動くつもりです。パルコール嬬恋に携わって頂いた全ての方、お越しになった全てのお客様に感謝申し上げます。そして一緒に無理難題なプロジェクトを遂行してくれたスタッフの皆さん。有難うございました。

CAP

Instagram:kei4cap、Twitter:kei4cap

2005年から12年間。星野リゾートアルツ磐梯/裏磐梯猫魔スキー場のマーケティング責任者として、魅力開発、広報、営業、販促を統括。過去はBURTON SNOWBOARDの初心者専用ボード"LTR"の開発にも携わる。2017年5月より株式会社Sherpaに移りスノーを織り交ぜたインバウンズ誘客/集客コンサルタントを開始。引き続きFREERUNのライターも兼任。2018年7月からcitywave TOKYOのsenior adviserとしてアジア初の人工リバーサーフィン施設の運営責任者として従事。2019年6月よりスポーツファシリティマネジメントに移籍をしてより広範囲のアドバイザー業を開始。現在は福島のインバンウンズ集客最大化プロジェクトを進めつつ、シーズン中はオーストラリア メルボルンに本社があるmint tours(https://minttours.com)の専任ガイドとして日本の山を外国人に紹介している。 ------------------------ Twitter:@kei4cap Instagram:@kei4cap