bluesign®︎ってなんだろう?? 有害物質を使用しない安全な製品がもたらすスノーボードの将来は?_<第3回>

<第3回>「bluesign®︎ PRODUCT」は今どんどん広がっている

スノーボードメーカーとbluesign®︎ PRODUCTの現状は?

今や環境破壊によって、地球は確実に温暖化の方向に進んでいます。「このまま進むと?」我々の将来は、特にスノーボードを楽しめる時間はどんどん短くなってしまうということも考えられます。もちろん多くの異常気象など今まで経験したことのない自然災害に見舞われる可能性や我々の日常生活に大きな影響を与える可能性があるのです。
温暖化を含む環境汚染を防ぐためにも意味が大きいbluesign®︎のシステムパートナーに参画する企業も増えています。現時点においてブランド約120社、ケミカルサプライヤー約290社、工場その他 約440社、合計約850社の参加で構成されていて「bluesign® system partner」としてケミカルサプライヤー、生地工場、ブランドが連携し、安全でサスティナブルなサプライチェーンが構築されています。このブランドの中にナイキ、アディダス、パタゴニア、コロンビアなどアウトドアスポーツ、アウトドア系ブランドも多く名を連ね、スノーボードブランドとしてはBURTONが2011年からbluesign®️との取り組みを開始。いち早く積極的に導入し、bluesign®︎認証、 PRODUCT化を進めているのです。「パーパス」企業の存在意義において、BURTONでは「2025ゴール」を掲げ、すでにバッグやウエアなどソフトグッズ製造の改革が進められています。

スノーボードのリーディングカンパニーとして多くのスノーボーダーに愛用されているBURTONのアイテム。自然と向き合うスポーツだからこそ、安全、環境への配慮を最優先とし、改革がいち早く進められている  photo: kentaroufuchimoto.com

すでにBURTONでは、bluesign®︎ PRODUCTを大きく拡大

BURTON社のWEBサイトでも確認できるように、2025年までの「クライメートポジティブ=温室効果ガス吸収量を排出量より多くするための取り組み」を明確に掲げ、改革が進められています。そのなかで「地球のために環境に優しい素材の使用」として「資源の消費とCO2の排出量を減らすため、オーガニックコットンやリサイクルポリエステル、bluesign®認証素材など、環境や人々に配慮した素材を使用する」ことを推進。2025年までに「ソフトグッズをはじめ、使用する全ての生地やトリム、ブーツのレザーをbluesign®︎認証に」と100%のbluesign®︎ PRODUCT化の実現を目指しているということです。すでにショップで販売されているバックなどには、bluesign®︎ PRODUCTのタグが付いているのを確認できると思います。
このタグが付いている製品は「ほぼ全てで安全な化学薬品のみを使用し、製造工程における資源の保全、消費者や製造者の安全、空気と排水の清潔さなどの最高基準をクリアしている」ことを意味します。耐水性、耐脂性、防汚性が求められる例えばバックパックなどの製品でも有害なPFASを使用していない安全で環境にも優しい製品であることが明確に示されているのです。
bluesign®︎認証には二つの基準が設けられています。ひとつは『製品』としてbluesign®︎の基準に則っているかどうかを示す「bluesign®︎ PRODUCT」。使われている素材(生地)の90%以上がbluesign®︎認証素材であり、例えばバックパックの場合はさらにジッパーやバックルといったパーツについても20%以上がbluesign®︎認証製品でなくてはならないという基準があります。また、その他の生地やパーツも制限物質リストの基準をクリアし、bluesign®︎公認の工場で製造されたものでなければならない。これらの条件を満たすことではじめてbluesign®︎ PRODUCTとして認証されるのです。
もうひとつの基準は『素材』に対して発行される「bluesign®︎ APPROVED(認証素材)」です。生地やその他のパーツがbluesign®︎の厳しい基準を満たし、人々や環境に優しい素材であることを意味しています。「bluesign® APPROVED」と表示される製品にはbluesign®認証素材が使われていますが、製品を構成するすべての素材がbluesign®の基準を満たしているわけではありません。前者の方がより厳しい基準をクリアしていることがわかります。
より良い素材というのは様々な改善や改良を経て出来上がるもので、簡単に入手できるものでも、格安なものでもありません。そういった状況のなかでも更なる改善を推進するのは、自然に優しく、ユーザーにも安全な製品を届けることを最優先に考えるBURTON社の企業としての考え方が感じられる部分です。

BURTON製品に付けられているタグには、この2種類があり、それぞれに示す内容が異なっている。右がbluesign®️ PRODUCT、左がbluesign®️ APPROVEDを示すタグ

我々がbluesign®︎製品を使うと
将来はどう変わるのか?

そして、この問題は企業だけがbluesign®︎ PRODUCT化にこだわるという話で終わることではありません。最終的には消費者である我々の選択に大きく関わってくることです。我々がbluesign®︎ PRODUCTを選択し、安全な製品を使うことが、有害物質の流出や環境破壊を抑制する動きへと繋がっていくのです。スノーボーダーにとっては自らが楽しむ雪山というフィールドを守っていくことにもなるでしょう。たくさんの選択肢のなかでも、我々がbluesign®︎ PRODUCTを意識することで、さらにこの動きは大きくなっていくはずです。さらに多くのスノーボードブランドがbluesign®︎ PRODUCT化を目標に動き始めるでしょう。それが将来的に地球が抱えている問題の解消へ繋がっていくのです。

我々がbluesign®️認証を受けた責任あるブランドと製品を選択すること、そのひとつひとつの選択が将来を変えていくのです。

次にスノーボードショップに立ち寄ったときには、そこを意識して製品を選んでみてはいかがでしょう。

将来もいい雪に恵まれ、最高のウインターシーズンを満喫するには、我々の意識や選択がとても重要であることは間違いない Rider: Yuka Fujimori / photo: kentaroufuchimoto.com

>>><第2回>製品のすべての安全を示す「bluesign®︎」、実際にはどんなことを認証しているのだろうか?
>>><第1回>プロローグ: 環境破壊をストップ、様々なスノーボードアイテムの生産も環境へと大きな影響を与えている