12月のオープンから極上のコンディションが続いているという北海道・ルスツリゾート。毎年恒例となったルスツのゲレンデ撮影だが、今回ゲストで参加してもらったのは日本のスノーボードシーンを牽引するライダー中井孝治。自身も唯一ルスツのシーズンパスを持っているというだけあって、このゲレンデはかなり熟知している。はたして、中井はどのようにルスツを遊び尽くすのだろうか?
Photo: Neil Hartmann & Jimmy Okayama
極上のグルーミングバーンにラインを刻むファーストトラック
今シーズンの日本は12月からまとまった降雪に恵まれ、スノーボーダーたちの笑顔が絶えない。ここルスツも同じく、近年稀に見るほどのベストコンディションが続いている。今回撮影させてもらったライダーは中井孝治。今シーズンは、RED EYES’ FILMの最新ムービー「RECCA」への出演や、自身がプロデュースするYoutubeチャンネル「 通称)いらおじゃ」では、各地のゲレンデを巡りながら横ノリライフの楽しさを伝えるなど、常にシーンに新たな話題を発信し続けている。
そんな中井と、ルスツを撮影したのは1月中旬。あいにく撮影の数日前からのまとまった降雪はなく、当日もフレッシュパウダー全開という感じではなかったが、そんなコンディションでもゲレンデをガッツリ遊び尽くした1dayを伝えたいと思う。
今回はルスツの人気コンテンツ『Mt.イゾラ ファーストトラック』を体験。通常Mt.イゾラの山頂へは、イーストMt.から9:00発のゴンドラやリフトを乗り継いで到達するのだが、ホテルから専用のイゾラ行きのバスで向かい、8:45にイゾラゴンドラに乗車し(通常9:15~)、誰よりも早く滑れるというもの。この日はまだ誰も滑っていない極上のグルーミングバーンにファーストラインを刻んだ。
「ルスツの圧雪はめっちゃ綺麗ですよね。繋ぎ目の段差とかもほぼないから、安心してビッグターンでいけるんです。やっぱり圧雪オペレーターにローカルの滑り手がいるっていうのがいいんでしょうね。そんな極上のグルーミングバーンを1, 2本面ツル確定で滑れるファーストトラックは最高でした」
中井はこうファーストトラックを味わった感想を話す。
ルスツの3つの山を混み具合によって滑り分ける
その後も何本かゴンドラやリフトで回し、面がいいうちにグルーミングバーンでカービングを楽しんだ。唯一ルスツのシーズンパスを持っているという中井に、ゲレンデを滑る普段のルーティンを聞いてみた。
「最近は混雑を避けてウエストMt.に行くことが多かったんですよね。でもイーストとイゾラが空いてて、イゾラに早く行ける順番の時はイゾラ方面に向かったり、遅い順番になってしまった時はイーストでガッチリ滑ってからイゾラに行ったりとか。ルスツには3つの山があるから、その日の混み具合によって滑る場所を決める感じです」
昨シーズンからインバウンドの来客が戻りつつあるルスツ。それゆえに効率よく混雑を回避しながら滑る場所を選ぶのも1日を楽しむ上で重要になってくるようだ。続けて好きなコースを聞いてみると。
「イーストのピークから早めの順番で行けるんだったら非圧雪の『スーパーイーストコース』を狙いますね。ここもギタギタそうだったら、奥のツリーに入ってマッシュを狙ったりしつつ『フリコ沢コース』の地形で遊びながら、そのまま『イゾラ第2クワッド』で上がって、また森の中の沢に入ったり。あとはうまく1番乗りで行けたら、イゾラの『スティームボートAコース』を滑って、その流れで『ルスツNo.1コース』の非圧雪を狙ったりします」
時期や人の流れ次第では、イゾラのA, B, Cとそれぞれコースに行ったりもします。最初からイゾラに行くならゴンドラより早いリフトを乗り継いで行きますけど、そっち方面の人が多い場合は、あえてずらしてイーストのゴンドラ下の沢を滑ったり、人混みを避けるならウエストも選択肢に入ります。そっちは『ウエストタイガーペア』に乗って、斜度がある『タイガーコース』とか『エリートコース』『林間コース』を回しながら、たまに『ウエスト第2クワッド』に乗ったり。実はウエストMt.のナイターも結構面白いんですよ。そうしてその日の雪の具合を見ながら人混みをずらして滑るラインを選ぶ感じです」
この日の撮影もうまく人混みをかわしながら、中井とフォトグラファーで最善の滑る場所を決め、気持ち良く楽しめるラインをチョイスしてくれた。
やっぱりルスツは地形が面白い
その後も撮影は続き、サイドカントリーにある巨大マッシュを発見した中井。するとそのナチュラルアイテムでフリースタイル全開のライディングを魅せてくれた。さらに、ツリーの間を抜けるスタイリッシュなエアーから、この日諦めかけていたパウダーショットを見事に収めた。
そして、一行は今シーズン新たにコース上に人工バンクなどを造成しているという『フリコ沢コース』に向かった。このコースは普段からライダーズライト側に自然地形やサイドヒットが点在していたのだが、今期はレフト側に人工バンクやライト側にも緩やかなウェーブバンクが造成されていた。中井は、その左右の地形セクションを見事にジャンプやスラッシュ、バターなどクリエイティブな滑りで遊び尽くした。
「このコースにバンクや地形があることで、遊びながら次のコースを目指せるから面白さも変わってきますよね。ウェーブのサイドの法面にも綺麗なRができてるから、そこでレイバックしたり、その流れでサイドヒットを飛べるのもいいですよね」
▼その時の追撮り動画がこれ!
こうして朝イチカービングから、地形、パウダーと全てを遊び尽くした中井は、ルスツのゲレンデフィーリングについてこう話してくれた。
「イーストとイゾラのサイドカントリーには沢もあるけどマッシュとかも多くて、自分的にはフリースタイルにパウダーを滑れる山だなって思います。ニセコのピークから1本ロングランをやるって感じではないけど、ミドルの長さの中にヒットポイントが点在してるっていう。ニセコに比べて細かく拾える地形が次々と目に入ってくるから、そうした地形をフリースタイルに遊びながら滑れるっていうイメージなんです。だからやっぱりルスツは地形が面白いんじゃないですか。マッシュとか沢以外にも地形の起伏とか壁もある。『イゾラグラン迂回コース』や『イソラD迂回コース』は、ずっとバックサイドの壁があるから、そこを滑るのも面白いですよね。あとコースにもいろんな斜度があって、尾根っぽい緩い斜面から中間斜面があれば急なところもある。本当にその日のコンディションによって行く場所が全く変わるんですよね。だからフリーライドメインっていう感じゃなく、フリースタイルな滑りも意識できるから、今日の板みたいなどっちも楽しめる156センチくらいの遊べる板が自分的にはベストだと思います」。
いい雪と地形、コースバリエーションと色々な魅力が詰まっているルスツ
札幌をベースにしながら、ベストな雪を求めて全国各地のゲレンデや雪山を巡り、自身のYouTubeチャンネル「いらおじゃ」では、ビッグリゾートに限らず、ローカルゲレンデの魅力も伝えている。そんな中井にあらためてルスツの魅力を聞いてみた。
「やっぱり地形と雪と。あとは、この周辺で言えばニセコとかに比べたら混んでるわりには人が流れてるっていうところですかね。ルスツの3つの山で人の流れをずらせばまだ色々滑れる環境がありますよね。それに隣には尻別岳があるから、そこも狙うことを考えればかなり選択肢が広がるんで、ここに来る時はいつも山を滑る準備もしてます。今年のルスツのコンディションはめっちゃ調子いいですよね。予報であんまり降らなそうでも朝ライブカメラを見ると30センチくらい積もってて、やべ行こうみたいな日もあったり。だから朝のライブカメラは必ずチェックします。そのカメラは夕方4時にリセットされるから、その後の降雪状況がわかるのでかなり助かるんです。それに、ここは山のそのままの地形を使ったコースが多いから、全体的にコースレイアウトがいいのも好きな理由です。やっぱりルスツには色々な魅力が詰まってますよね」
中井がこう魅力を話してくれたように、地形、雪、コースバリエーションという滑り手にとって様々な魅力が詰まっているルスツ。今シーズンは3月いっぱいの営業が予定され、今後バンクドスラロームの常設コースの展開や、3月からはスノースケートでも『イーストクワッド』に乗って『イーストティーニュコース』を滑ることができるようになるようだ。残りのシーズンもぜひルスツで最高のスノーボーディングを楽しんでもらいたい。
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