来年30周年という特別なシーズンを迎えるアメリカ・シアトル発祥のRIDE SNOWBOARDSは、21/22シーズンに強力なモデルをいくつもドロップする。なかでも長年のプロダクト開発で培ってきたノウハウによる新しい乗り心地のフリーライドボードはどれもプロライダーからも厚い支持を集めている。この記事では、今シーズン特に注目したい3モデルにスポットを当てる。
劇的な進化を遂げたRIDEのフリーライドボード
今シーズン、RIDEスノーボードからドロップされるフリーライドモデルがかなり充実している。まずは今期新たに加わった注目のニューモデル「SMOKESCREEN」から紹介したい。テーパードのついたディレクショナル形状のハイブリットロッカーで、ノーズ側がロッカー、テールにかけてキャンバーになっている。この板の特徴はグルーミングからパーク、パウダーまで楽しめるオールマウンテンボードであるということ。ミディアムフレックスでRIDEのラインナップの中でもかなり柔らかい方に位置する。テーパードされたサイドカーブはグルーミングでは切れ上がり、ツリーランでは細かいショートターンもサポートしてくれる。そしてロッカーとキャンバーのハイブリットロッカーが操作性に加えてエッジのキレを可能にする。ノーズ足前とテール足後ろにカーボンが入っているので、パークや地形でのオーリーも抜群のレスポンスを発揮する。実にバランスの取れたモデルであらゆるフィールド、コンディションで高い滑走性能を実現してくれる1本だ。硬すぎる板が苦手な人にはSMOKESCREENが丁度いいだろう。
SMOKESCREEN
今シーズンから新登場するSMOKESCREENはレベルアップを狙うオールマウンテンライダーのための1本。ディレクショナルハイブリットロッカーとテーパードの入ったエリプティカル・プログレッシブ・サイドカーブの組み合わせでハイスピードなターンをサポートしてくれる。
★SIZE: 153, 155, 158, 162, 165, 157W
★PRICE: ¥73,700
試乗会で大好評だったMTNPIG
そして、とくにここ数年プロライダーの間でも乗り味が面白いと噂になっているのがWARPIGに代表されるPIGシリーズだ。角張った幅広のノーズとテールの形状が特徴的なWARPIGはパウダー、グルーミングなど様々なフィールドで高い滑走性能を発揮する。そんなPIGシリーズからテールの形状が変更された「MTNPIG」が登場。従来の特徴は、ハードフレックスで直進性があり急斜面でも頼れるボードという印象があげられるのだが、新たなMTNPIGにはテールに切れ込みを入れたスプリットテールを採用している。このスプリットテールが滑りの質を決定的に変えた。テールに向かうほどスプリットの間隔が開くようにデザインされていることで、操作性が格段にアップする。またスリムウォールと呼ばれる半分キャップ構造のようなサイドウォールにアップデート。よりエッジ感がアップし、乗り味も軽く感じるという。MTNPIGはこれまでもPIGシリーズの中でも最も硬いモデルだった。そのためプロライダーがオープンな急斜面で高速ライディングするのに適した板として捉えられていた。しかし硬さを変えることなく、テールに入れられたスプリットで緩斜面でもカービングが深く切れ込めるように進化。元々このボードの得意な急斜面はもちろん、パウダーや地形でも板を操りやすくなってチームライダーだけでなく、試乗会でもかなり好評だったという。試乗した人の感想として多かったのは、斜度があってボコボコした地形でも板がブレにくいので安心感があり、しっかりとエッジグリップしてくれてターンもキレるというもの。強めのレスポンスはアグレッシブな上級者向けなのでチームライダーにもとても好評で、過去のMTNPIGと比較してもより遊びやすくなったと話すライダーも多い。以前より曲がりやすく感じるので、ある程度きつい斜度で乗るとこの板の特性がより感じられるという。今シーズン、フリーライドボードを買ってみたいという人にはおすすめの1本だ。
MTNPIG
テールに入れられたスプリットが特徴的なフリーライディングボード。PIGシリーズ独特のクイックな取り回しが魅力で、新たにリデザインされたスプリットテールがダイナミックなターンを演出。山全体を高速で駆け抜け、パウダーでもスプレーを巻き上げたい上級者のためのモデル。
★SIZE: 155, 159, 162, 160W, 164W
★PRICE: ¥90,200
遂に本格始動したRIDEのスプリットボード
さらに先シーズンにアーリーモデルとして展開されていた「SPLITPIG」がついに本格的に始動する。これまでもRIDEからスプリットボードのリリースを期待する声はたくさんあったが、RIDEとしては典型的なフリーライドボードではなくWARPIGの形状のスプリットボードを出してくるあたり、横ノリの気概を感じる。SPLITPIGはWARPIGのシェイプそのままだが、芯材にはWARPIGとSUPERPIGを合体させたようなコア材を採用。SUPERPIGはやや硬めの設定のためWARPIGの遊びやすさに高速安定性をプラスしている。またウォークモードのために少しキャンバーが足の下に入れられているので歩きやすい。ただサイズレンジがスモール(148)とラージ(154)の2サイズしかないので、今後よりラインナップが増えてくることに期待したい。
SPLITPIG
個性的なWARPIGのシェイプをスプリットボードに。WARPIGと同じディレクショナルのハイブリットキャンバーで、ウォークモードのためにWARPIGに比べて少しキャンバーが強く入っている。チームライダーの安藤健次もお気に入りの1本。
★SIZE: SMALL, LARGE
★PRICE: ¥176,000
今シーズンもRIDEからリリースされるモデルの中でも「山を遊び尽くすこと」を前提にデザインされたフリーライドボードにぜひ一度乗ってもらいたい。パークからもっと山へ、また地形やパウダーをこれまで以上に遊び尽くしたいと考える人には自分の滑りにあった板が必ず見つかるはずだ。
RIDER’S IMPRESSION
Photo:Tsukasa Uozumi
「ややワイドだから浮力と安定感があって、フレックスがミディアムなんで取り回しやすく、テーパーのシェイプがいいから曲がりやすい。オーリーも反発がけっこうあって飛べる。身軽に乗りこなせる、まさにオールラウンドボードって感じですね。パウダーも面白いし、春先のパークもコーンスノーも楽しめる。特に、妙高のように地形がポコポコしてるエリアで、飛んだり、当てたり、そういった遊びには本当に最適だなって思います。しかも、ボードに慣れるまで乗れない……じゃなくて最初から乗りやすいんですよ。大きな斜面のあるバックカントリーからゲレンデでの細かな地形遊びまで、ある程度は山を滑れる人が乗ると本当に楽しめるはずです」by 中西 圭 使用ボード: SMOKESCREEN
「『このテール、大丈夫?』ってのが第一印象。しかも、テールが割れる前は本当に曲がらないボードで……。テールが割れていても、実際はセンターラインに乗っていれば普通のテールと同じくオーリーも弾ける。そして、ターンの後半でボードを傾けてるときはテールだけがたわんでスナップするんですよ。だからテールの切り返しもクイックにできます。一番いいなって思ったのが、山の3D地形にスムースに合わせやすい点。今まで何気なく滑ってたところも、『ここ、こんなカタチしてたんだ』って感じられるし、それがめちゃくちゃ気持ちいいんですよね。ただ、高速安定性はいいし、スイッチ着地とかバターもできるけど、スイッチで滑るって気にはならないかも? やっぱり引っ掛かりもあるし、スプリットの部分からパウダーが抜けてくるから(笑)。それでも、それ以上に面白いから愛用してます」by 北江正輝 使用ボード: MTNPIG
「イメージとしてはSUPERPIGを割った感じ。キャンバーも入っててWARPIGよりも剛性もある。そもそもスプリットボードっていいライディングができないんじゃないかって避けてたんだ。でも、テストしたらスノーシューに比べて歩くのは30倍くらいラクで、レングスが短いからキックターンもノンストレス。しかも、パウダーを滑る分にはソリッドボードとそこまで変わらなかった。マッシュで360スピンをしたときも弱さを感じなかったし、中エッジの浮き沈みも感じなかった。ただ、普通のボードよりもパーツが多い分だけ重い(苦笑)。それを差し引いても使いたいってなるのは、歩いてるときと滑ってるときの背中の軽さ。超ラクだから。バックカントリーでターンするのが好きな人には、本当にオススメしたい一本だよ」by安藤健次 使用ボード: SPLITPIG
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