2023年10月6日の夜、北海道・札幌にあるレストランバーに次々と人が集まりだしていた。プロスノーボーダー、安藤健次が50歳にしてシグネチャーボード「ANDY ✕ DAYZE WARPIG」をリリースする、そのローンチパーティーだ。アンディの愛称で愛されている安藤健次は京都に生まれ、現在は北海道をベースに活躍している。スノーボードだけではなくスケートボード、自転車、そして釣りを愛する遊びの玄人だ。
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50歳でのシグネチャーリリースは前代未聞の快挙
会場にはプロスノーボーダーもたくさん詰めかけ、アンディの人望の厚さがうかがえた。そして壁にはアンディがこれまでに乗ってきたボードがステッカーチューンもそのままにずらりと並べられている。彼の歩んできた軌跡の濃さと、歩みを止めない彼のバイタリティの凄まじさに改めて脱帽。会場には今回のアンディのボードグラフィックを担当したDAYZEこと堀井良輔の顔も見えた。
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安藤健次がシグネチャーを出したのはこれが初めてではない。39歳でRIDEに移籍する前、国産ボードブランドで十数本のシグネチャーモデルをリリースしてきた。それだけに、シグネチャーを出すことは彼にとっては目新しいことではなかったが、今回の1本には特別な思い入れがあるという。
「子供の頃から憧れていた世界というか、スケートボードもそうやけど昔からアメリカのブランドからシグネチャーモデルを出したいという夢があった。それが叶ったんがいちばん嬉しいな」
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日本人ライダーのシグネチャーボードが世界展開されてきた歴史は少ない。それを成し遂げた人はこれまで10人いたかどうかだろう。自身の名前がモデル名になるには、よほど世界的に認知されていなければグローバルブランドからのシグネチャーリリースなど夢のまた夢だ。
「今回のは今までやってきた功績とかそういった意味もあって、RIDEのアメリカサイドがレジェンド的な意味合いで出してくれたのかもしれない。でも単純に世界中の人がこの板を気に入ってくれて乗ってくれたらめちゃくちゃ嬉しい」
国内外問わず、多くのプロライダーが年齢や様々な要因を理由に次々とプロから退いていく中で、アンディは昔と変わらないスタンスで滑り続けてきた。継続は力なりとはよく言ったもので、アンディの功績は世界レベルで評価されたと言える。
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アンディの常識を覆したWARPIGとの出会い
アンディがこれまでに出してきたシグネチャーモデルは、どれも基本的なシェイプやボードデザインは同じだった。サイドカーブは緩めでフレックスはガッチガチのディレクショナルツインのキャンバーボード。自分のスタイルに合った板はこのシェイプだと信じて疑わなかったという。そしてRIDEへ移籍して出会った最初のWARPIGがアンディのスノーボード人生を一変させた。
「WARPIGが送られてきた時は『なんだこれ?』っていう感想。だって普段159㎝の板に乗ってる人に148㎝の板を送る?って。しかもこんなに太い板。こんなん乗れるワケないっしょって送られてきた段ボールから2ヶ月くらい出してもいなかった」
そしてパークとバンクドを足したようなイベント、ミックスナッツに出る時にせっかくだからという理由でその板をテストしてみることにしたという。
「板から伝わってくる振動で『これ浮くな!』っていうのが分かったから、次の日に札幌国際でパウダーを滑りに行った。予想どおりパウダーで浮くし、自分のやりたかったことを楽にさせてくれることにビックリした。形状はディレクショナルだけどセッティングの位置はツインだし、フラットなのになんで?って感じ。エンジニアの勝利やと思ったね。オレはライダーとしてこの板を考え出せなかったから」
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アンディとDAYZEがここで繋がった
自身のシグネチャーの話が決まり、グラフィックを誰に頼むかという時にすぐにDAYZEのアーティスト名で数々の作品を残してきた堀井良輔の名前を挙げた。
「昔から良輔の絵が好きやったし、もし何か一緒にできるチャンスがあったら絶対描いてもらいたいと思ってた」
良輔もアンディの申し出を受けてすぐに快諾。アンディからは「お前がオレを感じるイメージで描いてほしい」とだけ伝え、あとはすべて任せた。出来上がってきたグラフィックは素晴らしい出来だった。
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最後に何か伝えたいことはありますか?と聞くと、周りへの感謝の言葉が溢れた。
「この板はオレだけのものじゃなくて、オレが出会った人たちがいて初めて作れたと思ってる。数えきれないほどの出会いがあって北海道まで来た。そこで、またたくさんの人に知り合って、いろんな経験と知識を得てここまで来れた。だから自分の板っていうより、アメリカと日本のRIDEの人たちや仲間たちの存在、それに自分を育てあげてくれた人たちと作った板だと思ってる。あとオレが自由奔放にやってこれたんはもちろん家族の理解があったから。オレを自由にさせてくれた奥さんもそうだし、娘にもめっちゃ感謝してる。最後に、こんなおっさんでもシグネチャーボードを出せたんやから、若い人にも目指して欲しいな」
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そして、こちがそのムービーとなる。ぜひアンディの実績と想いが詰まった映像作品をチェックしてほしい。
さらに、本誌FREERUNの最新号(10/27発売)の表紙を飾ったアンディ。今号の特集内でも彼のページを掲載している。ぜひ今後の活躍にも期待したい。おめでとう!アンディ!!
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