みなさんはBurtonから発売されている「Family Tree」というボードについて、どんなボードというイメージを持っているだろうか?意外と多くの人が「Family Tree=パウダーボード」と考えているのではないだろうか。確かにパウダーを滑るというスノーボードの原点の楽しみを追求したボードが多くラインナップされている。しかしそのパウダーの楽しみをベースにしながらも、楽しみ方には様々なスタイルがある。そのスタイルを探究することで新しいボードが次々と誕生する。そしてその1本のボードがスノーボードの楽しさの新たなる可能性を導き出す。可能性は無限大に存在し、スノーボードの進化も止まることはない。そんな奥深さを持つボード、それがFamily Tree。
グラフィックはライン全てがほぼ同一カラーでありながらも、1本1本が突き抜けた楽しさを追求し、乗り手のテンションを上げてくれる魅力が凝縮されている個性的なボード。
でも、だからといってFamily Treeはコントロールが難しいボードでは全くない。エキスパートに限定されるボードでもない。
今年は雪も良さそうだ。いつも以上にスノーボードの奥深い楽しさにも向き合える気がする。だからこそ、もっと具体的に知りたい。
そこで実際に「Family Treeとはどんな魅力を備えたボードなのか?」竹内正則、中山裕也、降旗由紀、藤森由香、Family Treeの魅力を熟知する4人のBurtonライダーたちに話を聞いてみた。


MASANORI TAKEUCHI_竹内正則

スノーボードはギアが大切、だから一般の人こそギアに頼るべき。
自分が体験できる楽しさを加速させてくれる可能性が
Family Treeには溢れている。

僕はFamily Treeが登場した頃からずっと開発にも携わってきて、自分がつくったモデルもいくつか出してきました。今シーズンもSENSEIというモデルが登場しますが、これまでも、ラインナップのなかのボードも試しつつ、自分の求めるボードを趣向を変えながら作ってきました。Family Treeは、正に僕のスノーボードライフには欠かせないコレクションですね。Burtonのライダードリブンのプロジェクトなかでも特に新しいものを作って、テストして、シーンに斬新な影響を与えるものをラインナップとして発信する。それをかなり速いサイクルでやっているのがFamily Treeです。1本1本に各ライダー、開発者がいます。それはあまり表には出てこないのですが、実はそこにライダーのスタイルや環境が、ボードの特徴としてかなり反映されていると思います。それも面白いところです。特にカテゴリーとしての縛りもなくて、「Family Tree=パウダーボード」ということでもない。パウダーだけに特化してということでもなく、いろいろなスタイルがある。「パウダーを滑る」というスノーボードで一番楽しいことにいろんな要素は詰まっていますが、そこには多彩な方向からのアプローチがあるんです。
僕のつくってきたボードは、グルーミングされた斜面もカービングがしっかりキレるというのが特徴です。カービングで繋げて楽しんでいくボード。キャンバーのディレクショナルシェイプが基本としてあって、そこにその時代に合った新しい要素をアレンジしています。もちろんいろんな試行錯誤はありますが「カーブで綺麗な弧を描く」という拘りは譲れないところです。それが僕が作るボードの「パウダーの中での滑りやすさ、滑る魅力」にもなってきます。
スノーボードはギアが大切です。技術があればボードが環境に合っていなくても乗りこなせる場合もありますが、一般の人こそギアに頼るべき。それにより味わえる楽しさの大きさは全然違う。それがわかればもっとギアへの興味は高くなるはずだって思います。スノーボードの楽しさを加速させてくれる可能性が、Family Treeには溢れています。

スピードが出て、速さで浮力を出して、パウダーのなかをクルーズする。その微妙なコントロールを楽しむために生まれたのがSENSEIというボード

SENSEI × 竹内正則(使用サイズ 161)

近年パウダーを意識した太めのボードが多い中でこれは細めです。僕は161cmを基本として作ったんですが、センターのワイドが24.7cmです。その分スピードが出て、速さで浮力を出して、パウダーのなかをクルーズしていく、ちょっとマニアックな雰囲気もありますが、カービングもすごくキレて、テーパードしていない、今どきの形として、乗り味もちょっと珍しいボードでしょう。テーパードさせずにテイルのキレを出しながら、アグレッシブにスピードを出して攻めていくような感じで、そこに安定感が出てくる。コントロールも幅が狭い分クイックで、その辺の操作感を自分で楽しむわけです。低速でも簡単にボードが浮いてきて深いパウダーを抜けていけるという決してオートマチックなボードでなくて、自分なりに加重したり抜重したりしながらコントロールする面白さを味わうボードです。SENSEIの詳細情報はコチラ

 

YUYA NAKAYAMA_中山悠也

Family Treeのラインの中でも、僕は特徴的なボードにひかれます。
1本1本にいろんな刺激があり、それと向き合うことで
自分のライディングの幅を広げることにもつながります。

僕はSPLITボードに乗りたいと思ったことがきっかけで、5年前くらいからFamily Treeに乗り始めました。Family Treeに乗る前は、メインで乗っていたオールラウンドタイプのボードを持って、スノーシューを使いながらバックカントリーに入っていたんです。でも、周りからは「SPLITボードの方が楽だよ」って言われていました。「それならあ乗ってみよう」って思ったときにSPLITがFamily Treeのラインにあって、その時に「Family Treeって、どういう意味?」って説明を受けたら「家系図のこと」って言われて。コンセプトを聞くと、2つのボードを掛け合わせて、全く新しいコンセプトのボードを誕生させるということ。親がいて、子供が生まれるみたいな感じですよね。その話を聞いたら、とても興味が湧いてきて。だからFamily Treeのシリーズにはいろいろなタイプが現れてくるんです。もちろん優等生タイプも多いんですが、中にはかなり特徴的なものがあったり。特にプロトタイプ(試作品)の段階ではね。最終的にラインに残ってシーンに登場してくるのは、厳選されたものがほとんどだと思うんですけど、そういうストーリー性があるモノとしてあらためてFamilyTreeのボードを見ると面白いなって思っています。
僕はいろんなフィールドにいって、経験を重ねたいと思っているから、ちょっと特徴的なボードにも興味を持ちますね。Family Treeは自分のライディングの幅を広げてくれるんですよ。「これ、スタイルがすごく出ているな」っていうボードに乗ってみたりしてきました。いろんな刺激があるから面白い。もし、自分がボードをデザインするんだったらここをこうしてとか考えるのとか好きですよ。自分が求めているもの、世間が求めているものといろいろ考えてどう作ろうとか、乗っていると考えたくなりますね。すでにいろんな可能性が提案されてきているという中で、さらに新しいものを作り出すのってなかなか難しそうだけど、だからこそ考えるのが面白いんです。FamilyTreeと暖炉と酒があったら、ボード談義もはずんで結構楽しめちゃいますよ。

SPLITだけでなく、SENSEIやフリーフットのBACKSEAT DRIVERなど、様々なボードに乗ることで自分のライディングの幅が広がっていくと語る

HOMETOWN HERO SPLIT × 中山悠也(使用サイズ 158)

今年は4モデルもSPLITがあるんで、悩んじゃう人も多いかも知れないですが、その中でもHOMETOWN HEROのSPLITは、スイッチでも滑れるし、扱いやすいですよ。自分が今よく滑っている谷川岳天神平とか青森の岩木山といった山のフィールドにもちょうど合っていますね。もともとHOMETOWN HEROがすごくオールラウンド性能に優れて、扱いやすいボードなのでその特徴をバランス良く引き継いでいる感じです。HOMETOWN HERO SPLITの詳細情報はコチラ

 

YUKI FURIHATA_降旗由紀

雪山のどんなところでも遊べる
しかも、キッカーやハーフパイプまで
広い世界を楽しめるフリーライディングボード。

私にとってフリーライディングを攻めるというより、楽しむためのボードという感じです。Family Treeに乗りながらも、結構フリースタイルな滑りを楽しんでいますよ。ハーフパイプでも入れてしまう。そこがいいところ。パウダーだけに特化しているというより、普通にフリースタイルも含め、オールラウンドに楽しめるんです。
Family Treeというとパウダー、フリーライディングというイメージが強いかもしれないですが、ノーズがとんがり過ぎていたり、テイルが割れすぎていたり、パウダーに特化し過ぎているものばかりじゃない。私がFamily Treeがいいなと思うところは、基本的な性能が「行き過ぎていない」ところなんです。パウダーやフリーライディングの性能は優れながらも、基本はオールラウンドに楽しめるということ。フリースタイルで飛びたい、跳ねたいという人にも当てはまる余裕を持っているボードだというところですね。
Family Treeというシリーズが、特別なイメージを抱かれやすいのかも知れないですが、フリースタイルボードから乗り換えても違和感なく楽しめると思います。いままでバリバリにフリースタイルをやっていた人にもひとつのステップとしてFamily Treeにぜひ乗ってみて欲しい。きっと新たなるスノーボードの楽しさを見つけていくのに最高のきっかけとなるに違いないです。

フリースタイルを楽しんでいる人にとっても乗りやすく、親しみやすいボード。彼女自身もそう強く感じているという。POW RENCHと共にHOMETOWN HEROも彼女ライディングには欠かせないギアだ

POW WRENCH × 降旗由紀(使用サイズ 142)

ノーズが少し張っていて、柔らかめ。テイルが短いのでコントロールしやすくて、ツリーランでも小回りがすごく効きます。本州の雪山では少しタイトなツリーランすることが多いので、それにすごく適している感じです。私は142cmに乗っているんですが、それでも十分な浮力がありますね。そして、テイル乗りした時の扱いやすさは抜群です。さらに、テイルの先端がカットされた形状なので意外とテイルが無いように見えるんですが、先端までエッジを使えるのでカービングしてもターンをしっかり引っ張ることができるんです。そういうところもとても気持ちいいです。
POW WRENCHの詳細情報はコチラ

 

YUKA FUJIMORI_藤森由香

ナショナルチーム引退後、
滑るフィールドや乗り味の違うボードを求めて使い始めました。
驚くほど自然に馴染めたほどの親しみやすさと
オールラウンドで楽に乗れるところが魅力的です。

Family Treeは大人のスノーボードの楽しみ方という部分が盛り込まれたボードだと思っています。パウダーだとか、フリーランだったりとか「気持ちよくスノーボードを楽しみたいという」ことをとにかく優先したい人のためのボードっていう感じ。私もそういうスノーボードを求めていたことから、Family Treeに乗り始めたっていう感じです。最初乗ったのは2019-2020のSTORY BOARDというモデル。実は私って今まで色んなボードに変えるってことをあまりしてこなかったんです。自分のフィーリングにピッタリ合ったボードで滑り込みたいという気持ちが強いので。さらに私はフリーランだと高速で滑るのが好きなので、それに耐えられるボードでないと嫌なんです。それで硬めのしっかりしたボードの選択になんですが、STORY BOARDはそこにピッタリとハマりました。最新のSTORY BOARDはレギュラーライン入りしてしまったんで、HOMETOWN HEROを使い始めたんですけど、フリースタイル系ボードのような扱いやすさがとても際立っている感じでした。しっかりと山滑りもできるのですが、とても遊びやすさが際立っているところが魅力かなって思います。
フリーラインディングのボードっていっても、難しいものではない。Family Treeはそれをすごく感じさせてくれると思います。フリーライディングする人たちのためのみたいな敷居の高さを感じている人がいるかも知れないけど、そうじゃないんです。私も乗る前にちょっとそんな風に感じていたこともあったんですが、乗ってみたらガラリと認識が変わりましたね。もっとオールラウンドに楽しめる、そして楽に乗れるという身近さを備えているボードなんです。

フリーライディングのボードと言っても難しいものではない。彼女自身も実際に乗ってみて、その親しみやすさに驚いたという

HOMETOWN HERO × 藤森由香(使用サイズ 144)

私はCustomみたいなボードがもともと好きだったというのがあるんで、そういう乗りやすさを備えながらの山滑りでも十分いける懐の広さみたいな ところを持ったボードがHOMETOWN HEROですね。やっぱりパウダーだとフリースタイルボードでは、後ろ足重心でノーズを浮かすことを考えていかないとスムーズに滑れないけど、HOMETOWN HEROではすごく浮力があってパウダーでは楽だし、普通に乗ってもクセがないところがいいですね。
HOMETOWN HEROの詳細情報はコチラ

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