VANS HI-STANDARD SERIES@苗場にフォトグラファー・ZIZOが潜入

日本初上陸となるVANS主催のイベント、その名も「VANS HI-STANDARD SERIES at Naeba Ski Resort」。悪天候にも関わらず朝8時から夜8時まで、新潟・苗場の特設会場は老若男女のフリースタイラーたちで大いに盛り上がった。その潜入ルポをフォトグラファーのZIZOがお届けする。

Photo+Text: ZIZO

これが会場の全景だ

まず、「VANS HI-STANDARD SERIES」が、どんなイベントだったかについて。ひと言で伝えるなら、まさに現金なイベント(笑)。

だって、プロライダーたちが参加者をジャッジングし、カッコいいライディング、印象の残るトリックを決めたときにチケットが配られるんだから。そして、そのチケットが現金との引換券(1枚1,000円)となっていて、ライディング終了後にすぐさまお金をゲットできるというもの。そんな頑張ったら結果がすぐに出る(正しくは、もらえる?)という斬新なシステムだから、このイベントに興味津々で、参加者がたくさん集まっていたのは言うまでもないよね。

ジャッジを担当したのは、左から谷口貴裕、戸田真人、久保田 空也の3人

昼の部は第1ヒートと第2ヒートに分かれていて、それぞれ約1時間くらいのジャムセッションがおこなわれた。なので、参加者は存分に滑る時間、アピールする時間があったと思う。

ただ、天候は風が強く、雪がチラついたり激しくなったりで、ジャッジをしていたライダー陣とMC役を務めたジェシー池下は寒さにヤラれそうになっていたけど、参加者のアツい滑りが間髪入れず続くから一瞬たりとも目が離せない状況。僕もずっとシャッターを押していたからね。

マイクで実況と笑いを提供していたジェシー

降りしきる雪や止めどなく吹いている風でアプローチのスピード感覚はつかみづらいはずなのに、参加者はそんなことをまったく感じさせないトリックの見せ合いが続いたんだ。

皆んなハイクが速い! 早く滑りたいから? それとも天気が悪くて寒いから身体をあっためたくて?
ちなみに第1ヒートで僕が個人的にカッコいいなと思った写真がコレ

何よりもライダーがいいと思った参加者にチケットが配られていくんだけど、やっぱりライダーに認められるのは嬉しいよね。

イケてる滑りをした参加者に空也が歩み寄りチケットを手渡す
参加者にはライダーも多くいて、STONPの撮影に参加してる渡辺雄太はけっこう稼いでいたみたい

レベルに関係なく楽しく、かつ攻められるイベントだからこそ、参加者の多くはライダーたちのトリックを見てマネをしようと頑張ったり、自分の限界にチャレンジしたりと、各々が自分のスタンダードを超えてく様は、これぞセッションって感じがして、撮影している僕も本当に楽しかったんだ。

「日本初開催のイベントのわりにはガヤガヤした感じが面白かったですね。(大久保)ユウリ、(小川)リョウキ、(鈴木)トウイ、(長澤)ハヤトをはじめ、こんなにもライダーがいていいのってくらい遊びに来てくれていて、参加者はライダーとのセッションも楽しかったんじゃないかな? オレもケガさえなければ、もっと滑りたかったっす! ずっと吹雪いていたけど、アツいスノーボーダーが集まると、やっぱり自然と楽しくなる。そんなイベントでした」
ーーー久保田 空也
イベントに遊びに来ていた中村貴之のウォールライド
ヒート終了後、チケットを現金に換金するという今まで見たことのない風景

第2ヒートはさらにハイレベルなトリックバトルになったように感じた。参加者もキッズや女の子も多く、いろんなセクションを自由に使って、いろんな遊び方を披露していたからねライダーたちもクレイジーなボードさばきで参加者たちの目を奪っていた。

NISSAN X-TRAIL RAIL JAMでBEST IMPRESSIONライダーに選ばれた鈴木冬生はスタイルで魅せる
小川凌稀は異次元のボードコントロールでレールを攻略
こんなキュートな笑顔を見せてくれるのに滑りは超絶男勝りだった高森日葵
え? このウォールで、そんなに飛ぶ?の1枚

そんな激アツな昼の部を終え、あたりが暗くなってきた頃、夜の部が始まった。キッカー、ボックス、レール。それぞれのセクションでベストトリックを決定するジャムセッションがおこなわれたんだ。

かなり吹雪いていたけど、夜も皆んなアツかった

レールセッションで個人的にカッコいいと思った写真を3枚ピックアップ

ボックスセッションは同日に開催されていた大規模な試乗会「SBJ ON SNOW」の会場からも人が流れて来てギャラリーも増え、会場は大盛り上がり。やっぱりトリックの見せ合い(魅せ合い)ってスノーボードの醍醐味のひとつだよね。

熾烈なスタイル合戦中の1カット
「けっこうな悪天候なのに、皆んな、ずっとガッチリと滑っていて、いい意味でスノーボーダーはやっぱりバカだなーって感じが最高な雰囲気のいいイベントでしたね。『最近、スノーボードを始めたばっかです』って言う人も突っ込んでたり、ライダーたちの滑りを見てバイブスがアガって攻める人も多くて見てて本当に楽しかった。まぁ、今回は初めてだから開催できたことが良かった。レベルに関係なく誰でも入れるアイテムで魅せるっていうのがイベントのキモだから、そこは変えずに次回は自分もセクションとかを考えたいっすね」
ーーー戸田真人

キッカーセッションは、カメラマンもそれぞれスタイルを出していた印象があったね。僕もストロボを使った作品撮りっぽい感じがして、かなり楽しかった。

ライダーもカッコいいけどカメラマンたちもスタイル出てるでしょ?
やっぱりメソッド・トゥイークは映える
「上手い下手に関係なく、攻めた姿勢を披露したり、自分のとっておきの1本を魅せたり、スタイルにこだわったり……に、僕らジャッジがチケットをあげるっていう勝ち負けもなく、これまで日本になかった面白い内容のイベントでしたね。しかも、参加費無料でお金がもらえるし、ライダーもかなり遊びに来てくれたから彼らの滑りを見たり一緒にセッションできるし、参加した人たちはメリットだらけだったんじゃないかな? 何より悪天候でもこれだけ盛り上がったんだからヤバいっすよね」
ーーー谷口貴裕

約12時間にわたる長かったイベントの最後は参加者で記念撮影。そして、その後、ジャッジ陣からすべてのセクションを通して一番よかった参加者(ライダーを除く)をMVPとして発表。こうして日本初開催となったイベントは締めくくられたんだ。

MVPの塩谷洋太さん
軽い身のこなしが印象的だった
最後の最後まで盛り上がったのは、この写真を見ればわかるよね?