東京雪祭 SNOWBANK PAY IT FORWARD 2018

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東京都渋谷区代々木公園にて今年で8回目となる「Snowbank pay it forward」が開催された。

回を重ねるごとにその規模を増し、いつしか大会名には「東京雪祭」の文字が加えられ、厚生労働省や渋谷区、日本赤十字社、日本骨髄バンクなどが後援につく、現在国内で開催されているスノーボードイベントとしては極めて異例といえるほど大きな規模で開催されるイベントとなっており、スノーボーダーだけでなく様々なジャンルの人々から注目を集めるビッグイベントへと成長を続けてきた本イベント。

イベントの発起人であるSIMS Snowboardsライダー「荒井DAZE善正」さん(以下ダゼ君)は過去に難病「慢性活動性EBウィルス感染症」を発症したが、骨髄移植手術の成功で見事に病気を克服した世界でも数少ないスノーボードライダーである。

そんな大病を患ってもスノーボードを愛し続ける男ダゼ君は、過去国内に存在した街中でライダーが滑走するビッグイベントを作りたいという想い、そして自分を救ってくれた骨髄ドナーの存在を世間に広めたいという想いから渋谷の街中でスノーボードハンドレールの大会を開催して、さらにそこに集まってくれた人々に骨髄ドナー登録を呼びかけ、また献血の協力を呼びかけるという過去に存在することのなかった、唯一無二のスノーボードイベントを作り上げている。

そんな、参加することで社会貢献にもなるビッグイベントに我が「PSA ASIA(プロフェッショナル スノーボーダーズ アソシエーション アジア)」は今回で3回目の参加となり、今年は初めてのブース出展を行なった。

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ブース内では大会協賛でもお世話になっている注目のコスメブランド「ラピスラズリ」の商品サンプリング配布や、「西山酒造場」自慢の清酒「小鼓」の試飲会、また「PSA LAB」主導のもとスノーボードに関するアンケートを実施して、協力していただいた方に非売品のPSA ASIAステッカーをプレゼントした。

イベント中は出展ブースによって献血やドナー登録に協力してくれた来場者に様々なプレゼントが配られ、メインステージでの著名なアーティストのライブ、様々な飲食ブースの出展、スノーボードブランドやアパレルブランドの大特価セール、プロレス興行の開催、スキー場によるリフト券の早期割引販売、渋谷区長や有名芸能人によるトークライブなどが行われたが、今イベント中、来場者の多くが最も注目していた催しはやはり、北海道や岡山など東京から見てはるか遠方に当たるエリアからもジブ自慢のライダー達が代々木に集結したハンドレールの大会であった。

 

この大会にはPSA ASIA推薦ライダーとしてジブ、ジャンプ、スロープスタイルを得意とし、さらにスノーボードクロスのレースにも参戦していた実績を持つオールラウンダーの「今村 佑良プロ(SALOMON)」、新潟県妙高出身でオリジナルのラーメンを提供する「ラーメン平元」を経営する異色のスロープスタイラー「平元 洋太プロ」が参戦した。

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これまで開催された大会と同様に、初日は一般参加のライダー達が二日目に開催される招待選手達のセッションへ勝ち進むべく、わずかな枚数の切符をかけて順位を争った。

ハンドレールセッションで使用される特設ゲレンデのセクションは近年パワーアップしており、昨年からはついにセンターにダウンレール、サイドに両サイドへのアプローチが可能な2つのダブルダウンレールが設置され、ライダー達は行いたいトリックによって三通りのアプローチをチョイスできるスリーウェイジブセクションで順位を争う流れとなった。

大会の合間を縫って毎年行われている、キッズに向けたソリゲレンデ解放イベントであったが、快晴で気温が高まり、融雪の具合もかなり厳しく、設営を担当していたブレイブプロジェクトクルーやボランティアチームを悩ませていた。

またスノーボード界の人気者WOWクルーが仕切るWOWタイムも大会の昼休みと言える時間に行われ、大勢の来場者を楽しませていた。

高い気温はアプローチやランディングバーンのコンディションを崩しやすく、参加選手にとっても難しいコンディションであったと思われ、そんな熾烈を極めた大混戦の初日を勝ち進んだ猛者達は下記の通り

女子1位  イシハラ ハルナ

女子2位  モリタ アヤナ

女子3位  タカモリ ヒマリ

女子特別賞 セキ ヒイラギ

 

男子1位  タマムラ タカシ

男子2位  エンドウ マサシ

男子3位  サクマ ルイ

男子特別賞 マエダ リオン

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SNOWBANKにて初年度からMCを務める本記事の筆者「藤沼 到(head)」は、当日会場でも彼らを一般参加選手とコールしたが、初日の予選からメーカー所属のライダー達の姿も多く見られ、年に一度のお祭りイベントへの参加を純粋に楽しむ者、二日目での下克上を狙い完璧に調整してきている者、東京渋谷でのハンドレールセッションという極めて異例な空間で撮影されるスチール写真やムービーの撮れ高を稼ぎに来ている者など、選手各々が様々な思惑を持って、ここ代々木公園に集結していると感じた。

イベントへの注目度の高さは、現場を取り囲むオーディエンスの数や大勢のカメラマン達の人数で容易に理解できた。

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二日目も朝から文句なしの快晴で、まさにイベント日和と言えるコンデションであった。

気温も前日ほど上がらず、雪のコンディションも良い状況で大会は行われた。

ムービースターからオリンピアン、プロツアーランキングチャンピオン、W杯やX-GAMES常連選手も出場した二日目のレベルは男女ともに国内外合わせて見てもトップレベルと言って過言ではないほど高く、SNOWBANK開催中最も苦労したのは実はジャッジではないだろうかと思わせるほどの超絶バトルが繰り広げられた。

予選通過者は下記の通り

女子

ムラセ ココモ

ヤマグチ ミヨン

アサヤ ジュンナ

マツダ マイコ

オノザキ カリン

ムラセ ユラ

タカハシ アオイ

ウエキ レナ

男子

サイトウ カズヤ

チバ マナト

ナカムラ タカユキ

オオクボ ユウリ

タマムラ タカシ

エンドウ マサシ

トビタ ルキ

マツシタ ダイチ

オノザキ カイト

アカマエ ヨシアキ

ジングウジ カイト

サカモト ショウタ

ファイナル直前、大勢のオーディエンスがカメラモードに切り替えたスマートフォンを向ける中、SNOWBANK恒例となったマスコットキャラクター献血ちゃん滑走が行われ、なんと献血ちゃんが見事なリップスライドをメイクするという快挙を成し遂げ、過去一番の盛り上がりを見せたこの時間は、決勝を前に昂る選手達をさらに勢い付けるドラマティックなランとなった。

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あのレベルの滑りをあれほどの距離で、さらに無料で、さらに暖かい街中で観戦できるイベントは他に絶対にないので来年以降も開催される場合には、時間を作って観戦に行くことをお勧めする。

大会終了後にジャッジ陣が長い時間、頭を悩ませ続けて出したファイナルのリザルトはこちら。

女子優勝  ヤマグチ ミヨン

男子優勝  タマムラ タカシ

男子準優勝 トビタ ルキ

男子3位  オオクボ ユウリ

特別賞   オノザキ カイト

長い手足から生み出されるレール上での美しいスタイルは世界でも認められ、今や日本女子スノーボード界のムービースターとしてのポジションを確立した34(Miyon)ことヤマグチミヨンが優勝

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幾度となくダブルダウンレールへリスキーなトリックを仕掛けていた攻めの姿勢はもちろん、センターのダウンレールの先端を使ってのスピンからアプローチ方向へ戻るという、これまでのSNOWBANK史上誰も行なっていないオリジナリティ溢れるトリックを炸裂させたオノザキカイトが特別賞を受賞

 

snowbank8PSA ASIAスノーボードプロツアーでは必ず台風の目となり、見る者の度肝を抜くランを連発する平昌五輪日本代表オオクボユウリは流石の軽快な動きで予選から攻め続けて第3位に

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オオクボユウリと共に海外遠征から帰国してまだ日が浅かったはずの現PSAプロツアーランキングチャンピオン、過去にSNOWBANKでの優勝経験もあるトビタルキは両サイドのダブルダウンレールをまるで難易度の高くないフラットボックスをいなすかのように高難度なトリックを連発して第2位に

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初日の予選から二日目の決勝まで高難度なトリックを連発し続け、招待選手の中に入っても一際輝き続けた湘南ブラッシュ館長のタマムラタカシが超絶ハイレベルなレールバトルを制し、見事に抱えきれないほどの優勝商品と国内No. 1ジバーの称号をゲットした

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これまで開催されたどの大会よりも盛り上がったのではないかという2018年SNOWBANKはこうして幕を閉じた。

来場者数は

11月10日(土) 28,000人以上 11月11日(日) 32,000人以上 合 計 60,000人以上(代々木公園調べ)

献血・骨髄ドナー結果は

受付数:298名   献血実施数 :238名  骨髄ドナー登録数:117名

上記のような驚異的とも言える数字を叩き出した今イベントは、今や日本のスノーシーズンの到来を告げる風物詩的な存在としてスノーボーダーはもちろん、携わる全ての関係者、来場者の献血やドナー登録への意識を変え続けている。今後とも開催され続けて欲しいイベントであり、再び今イベントに携われる日が待ち遠しい。

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18~19シーズンがスタート、国内プロツアーの日程も発表され、今シーズン生まれる数々のドラマを目の当たりにできることが楽しみで仕方ない。

PSA ASIAスノーボードプロツアー開幕戦は1月11日~13日新潟県かぐらスキー場で開催予定のMitsumata Ups’n’ Downs Opening Kagura Cross Challenge 、フリースタイルとしての開幕戦は2月27日~3月2日長野県X-JAM高井富士で開催されるプロ戦初のスロープスタイル、ハーフパイプ、ストレートジャンプの三種目開催となるフリースタイルセッションin高井富士となる予定だ。

友達を誘ってプロ戦を観戦、選手の熱い滑りに大声で応え、雪上で共に熱いセッションをしよう。

 

Text:藤沼 到(head)

Photo:tqkqkun