SNOWBANK 2023レポ&アスリートの社会貢献活動「HEROs AWARD」を受賞した主催者の荒井ダゼ氏インタビュー。

こんにちは、プロスノーボーダー藤沼 到です!昨年も11/11~12に代々木公園「東京雪祭」で開催されたジブスタイルバトルにて先輩のレジェンドライダー露崎訓史さんと共にMCを務めました!例年イベント全体の様子をお伝えしてきましたが、今年は大会結果と共にもう一点大きなニュースをお知らせいたします。そのニュースとはSNOWBANK主催者のダゼこと荒井daze善正氏が、この度、日本財団が主催するHEROs AWARDにて先日12月18日に表彰されたのです。この記事の後半ではダゼ氏のインタビューもお届けしたいと思います!
Text: 藤沼 到
All Photo:  SNOWBANK オフィシャル

露崎訓史さん(左)と共にMCを務めた私、藤沼 到(右)

まずは例年、一般参加選手による熱い伝説が生まれるイベント初日。音楽ステージでは「HUSKING BEE」「G-FREAK FACTORY」「キリハレバレ」といった大物アーティスト達が代々木公園全体のボルテージを上げに上げまくる。

HUSKING BEEのライブ
G-FREAK FACTORYのライブも会場を盛り上げた

そんな中で行われた、特設雪広場での一般参加選手によるジブスタイルバトル。こちらは勝ち上がるとイベント二日目(日曜日)の招待選手達に混ざって戦える権利をゲットできる事もあり、日々技を磨き、自分がシーンの最前線で輝く出番を待ち焦がれる若手ライダー達の登竜門的な意味を持つ大会となっています。

多くの観客が見守る中開催されたジブバトル
初日の一般キッズで1位となった笹本琉稀

…とは言え、そんなガチ勢の熱い戦いも見ものですが、東京のど真ん中という渋谷でスノーボードができる機会はまず皆無と言っても良いレベルであり…。しかしながら参加資格は特に定められておらず、エントリー期間中に申込みさえできれば誰でも出場可能なので、ぜひ来年以降皆さんにもエントリーしていただきたいです!(うまくレールに乗れなくても安全に滑っていただけたらMC到が全力で応援します!)

そんな大会初日、一般参加選手戦とはいえ、ファイナリスト達のレベルは年々凄まじくハイレベルになっており、当然ジャッジの難易度も難しくなっております。

そんな難しい役回りを務めてくれたのは…。

石川敦士(中央)、河合徹子(左)、千葉真人(右)という、一流ライダー達

様々なパークをプロデュースし「スクローバー」チームを牽引する石川ジャッジ。かつてこのスノーバンクの女王として君臨した「てっちん」こと河合ジャッジ。なんと翌日には自らも選手として大会出場をする「SNEAKYZ」千葉ジャッジ。
そんな本物のジャッジ陣から判定されるとなると選手達は一切ごまかしがきかない状況、全力で挑むのみとなっており、それはそれは超絶ハイレベルな戦いが繰り広げられました。

そして、見事初日を勝ち抜いたのは以下の人達になります。

<男子>
1位 松岡秀樹
2位 大木風輝
同率3位 小沼 悠、大坪 脩三郎

<女子>
1位 松岡杏樹
2位 大島みどり
3位 遠藤恵菜

<一般キッズFINAL>
1位 笹本琉稀

一般参加選手と言いながら彼らはほぼ全員がすでに日本スノーシーンで活躍するライダー達でした!全員スタイルがバッキバキに決まっておりました!

会場内ではキッズスノーボード体験も実施
そり遊びコンテンツも用意され、東京にいながらリアルな雪を体験できる

そしてイベント2日目、11月12日はいよいよインビテーションライダーの登場となり、イベント初日の前日には朝の公開練習時しかライディングしていなかった全国から集められたトップライダーが、予選からその実力を爆発させてくれます。

音楽ステージでは『Arakezuri』『TOTALFAT』『DAZEBAND』が出演してそれらバンド目当ての来場者も多く見られました。

DAZEBANDも大人気!
毎年恒例WOWもイベントを盛り上げる

そんな大会2日目は初日からジャッジを務めてくれていた石川ジャッジの他、ジャッジ陣も入れ替わり、八王子プロショップパスタイムオーナーでもあるプロライダー、田栗賢二ジャッジ。例年この東京雪祭には選手として代々木を沸かせ続けてきたイクメンパパこと関 功ジャッジと、ライダーとしても世にその名が知れ渡る豪華ジャッジ陣を迎えて大会2日目の競技が開催されました。

2日目ジャッジ陣は田栗賢二(右)、石川敦士(中央)、関 功(左)

そんな強豪揃いの予選を勝ち抜いたのが。

<男子13名のファイナリスト>
米野舜士、増田吏玖、山田悠翔、戸田真人、藤谷瞭至、鈴木冬生、仁井誠偉、橋本開人、今野颯心、渡辺雄太、濱田海人、大木風輝、小沼 悠

<女子11名のファイナリスト>
Miyon、坂本 妃菜乃、榊原心菜、榊原仁菜、石原晴菜、高橋あおい、大石智代、前田涼葉、芳家里菜、松岡杏樹、大島みどり

ファイナリストに名を連ねたメンバーを見れば、誰が勝ってもおかしくないと一目瞭然の激アツ決勝ラウンド。激闘を勝ち抜き、表彰式で名前を呼ばれた入賞者は。

<JIB STYLE BATTLE2023結果>
メンズ
優勝 今野颯心
2位 渡辺雄太
3位 藤谷瞭至
ベストトリック賞:大木風輝

メンズ優勝: 今野颯心

ウィメンズ
優勝 芳家里菜
2位 石原晴菜
3位 榊原仁菜

ウィメンズ優勝: 芳家里菜
入賞者の面々

今年もファイナル終了後まで熱いトリックを狙い続けたライダー達の活躍もあり、目標としていた献血者数を達成する事が出来ました。今年のイベント実績を記載して大会レポートを締めさせていただきます。

<献血骨髄ドナー登録数結果> 受付数 500名、献血者数 439名、ドナー登録数 79名
<来場者数> 土曜:15,000人、日曜:20,000人、合計:35,000人(代々木公園調べ)

次回も2024年11月9~10日に開催を予定しております。来年も代々木公園で皆さんとお会いできる事を楽しみにしております!



さて、今年も様々なドラマが生まれた東京雪祭SNOWBANKでしたが、今年は特筆すべき点がもう一つ…!SNOWBANK主催者のダゼこと荒井daze善正氏がこの度、日本財団が主催する「HEROs AWARD」にて表彰されることになったのです。その点についてダゼ君本人にインタビューをおこない色々語ってもらいました!

-Q到 : スノーバンクも無事に13回目が閉幕しましたが、今の気持ちを聞かせてください

DAZE(以下,D): 2011年にSNOWBANKがスタートして13回開催してみて、はじめた当初は「なんでスノーボードと献血?骨髄ドナー登録?」って、みんなの中に?マークが浮かんでいたけど、13回目が終わった今はライダー達もイベントの意味がわかっていて、それぞれが発信してくれたり、ライディングで集客に協力してくれている。スノーボードを知らない人にスノーボードを。また、献血やドナー登録を知らないスノーボーダーや音楽関係者には献血や骨髄ドナー登録の事を知って欲しかったっていう観点から渋谷でやりたいと思ったんだよね。

キッズクラスに関しては12歳までしか出られないので、SNOWBANKが立ち上がった年にはまだ生まれていない子達しかもう出られないからね。そんな長い年月の中でみんなの意識が変わってきてくれたっていう嬉しさはあるよね。

俺がライダーに求めていた事は、とにかく格好良いライディングをしてもらってお客さんを呼んでくれたらいいなと思ってたけど、みんながイベントの意味を理解してくれてそれぞれが発信してくれているっていう部分もすごく嬉しくて…。ライダー自身も献血やドナー登録をしてくれていたり、「16歳以上じゃないと献血できないから自分はライディングで貢献します」ってSNSに書いてくれたり、そういう部分が本当に嬉しいよね。

-Q到: 参加ライダーの意識も「社会貢献」っていう部分につながってきているんですかね?

D: 社会貢献なんて格好良く言う必要もないんだけど、どっかの誰かを助ける1つのパートになっているっていう…。そんな自然な流れを作れた事が本当にSNOWBANKを立ち上げて良かったと思う部分かなって。

東京雪祭の現場で多くのスタッフをまとめるダゼ氏

「本来プロライダーの滑りは見られないはず」って昔アンディさん(北海道レジェンドライダー安藤健次)が言ってたんだよね。その理由はプロと同じ速度感で素人は滑れないから…。だからカメラマンが映像に残してやっとDVDで見られるわけだし。けど、「プロの滑りを見て欲しい!だから渋谷で!あの形で!コンパクトに!」っていう発想につながったんだ。

-Q到: ダゼ君がアスリートの社会貢献活動を表彰するHEROs AWARD(ヒーローズアワード)を受賞したということで、大変話題になっているんですが、知らない人にもわかりやすくどんなことが起きたのか教えていただけますか?

D: HEROs AWARDは2017年からスタートしていて、サッカーの中田英寿さんが「日本財団にスポーツアスリートの社会貢献を表彰しよう。そして、様々なスポーツ同士がつながろう」ということが発端で始まったんだ。2018年からノミネートさせてもらって、アワードや活動にも参加させてもらっていたんだけど、実際にHEROsAWARDを受賞するのはサッカーの巻誠一郎さんや北澤 豪さん、有森裕子さんや、野球の鳥谷 敬さんとか錚錚たる面子が受賞していく中で、まぁ…到底俺なんてないだろうなっていう(笑)。有森さんや鳥谷さんみたいにオリンピックやトッププロとして結果を出した人間じゃないし…。

そんな中で今回受賞できたのは凄く嬉しかったっていうか…。総合力っていうか、俺が受賞したっていうよりもこの13年間の「東京雪祭SNOWBANK PAY IT FORWARD」に関わった、事務局長の育ちゃん(ダゼ君の奥さん荒井育子さん)はもちろん、MCの到くんもそうだし、キリちゃん(キリハレバレ)、ツンさん(露崎訓史)もそうだし、ライダーはライディングでバンドマンはバンドで、アーティストはアートで、協賛メーカー、ボランティア、雪主さん… など、イベントに関わった全員が評価されたっていうのが嬉しいかな。

「HEROs AWARD 2023」にて、今回アスリート部⾨で受賞したダゼ氏。Photo: HEROs AWARD 2023オフィシャル提供

-Q到:本来スノーボーダーが名を連ねている事だけでも凄いのに表彰されたんですもんね。それが凄いですよね。

D:それは俺が凄いんじゃなくて、みんなが地道にやり続けたことが評価されたって事が凄く嬉しくて。やっと関わってくれたみんなに「HEROs AWARDをみんなで受賞したよ!」って言葉を返せる。

-Q到: ダゼ君も誰かのおかげで骨髄移植手術を受けられて(※DAZE本人も2007年「慢性活動性EBウィルス感染症」を発症し、2008年に骨髄バンクを通じて骨髄移植。その後プロスノーボーダーとして復帰した経緯がある)現在があるんですもんね?

D: そう、ドナー登録者だったり献血者のおかげで13年過ごせて、今もみんなに助けられながらだけど、けどスノーボード業界が評価されたって事が本当に嬉しい。今まではオリンピック選手やサッカー、野球選手達が受賞するアワードだったから、ウィンタースポーツが初めて受賞したって事がすごく価値のある物に感じたかな。

錚々たるメンバーが集まった「HEROs AWARD 2023」式典での集合写真。ダゼ氏の他には、元競泳⽇本代表 伊藤華英さん、プロ野球選⼿の和⽥ 毅さん、チーム・リーグ部⾨では、北海道⽇本ハムファイターズ、企業部⾨では、アディダスジャパン株式会社、さらにアーティストには歌⼿の⼀⻘窈さんが「HEROs AWARD」を受賞。Photo: HEROs AWARD 2023オフィシャル提供

-Q到: どんどん規模が大きくなってきたスノーバンクですが、今後の展望は?

D: もともと大きくしたくてやってたわけではなくて、これで飯食ってる訳でもないし、根本にあるのは治療が必要な患者さんがいつでも治療のスタートラインに立てる環境を創り、スノーボードの素晴らしさを雪山に行かなくても伝えられる環境のためにやっているだけだから。別にでかくしたいって活動ではないから。

俺の目標は…、SNOWBANKが必要ない社会を創るっていう事かな?献血やドナー登録が当たり前の世の中になればSNOWBANKの活動は必要なくなるわけだし。

自分が闘病していた時、日産エクストレイルジャム(過去、東京ドームで開催されたビックエアコンテスト)がなくなって、トヨタビッグエア(札幌開催)がなくなって…。都会の人が仕事帰りにスーツのまま友達を誘ってビール片手にスノーボードを見られていた機会がなくなってしまった…。けど絶対あったほうが良いし、そんな機会をまたライダー達がそれぞれ作っていく流れになったらベストかなって。そしたらスノーバンクはもう解散!10年後、20年後に今の若手ライダー達が凄い規模の大会をやっていて、俺はそこにビール片手に参加する側になるっていう(笑)。

それを目指したいかな。だからこそ、今出てくれているライダー達にはどんどんアイディアを盗んで欲しいし、スノーバンクの夜にみんな試写会をやれば良いじゃんって思うし…。そりゃ今の時代SNSでもYouTubeでも映像は見られるけど、渋谷で、現場で、物理的に人を集めて、パーティ会場でみんなで乾杯しながら1本の作品を見る機会を作って欲しい。そんな事を「自分達がやるならどうやったら良いのか?」とか、みんな考えて欲しいし。それをみんながやってくれるなら…俺は楽しみながら飲みに行くわってね(笑)。

ダゼ氏の奥さんであり東京雪祭の事務局長でもある荒井育子さんもこのイベントを支える大きな役割を担う

1人のスノーボーダーとその妻が、自らの身に降りかかった病気&闘病生活をきっかけにして始まった「SNOWBANK PAY IT FORWARD」。それは着実に渋谷に根を張り、芽生え、成長し、いつしか社会に必要とされる大きなエネルギーを生み出す活動となりました。道はまだ途中ですが、これからも僕はこの活動を応援し続けていきたいと思います。イベントの成長と共に素敵な経験をさせてもらえて嬉しいです。

ダゼ君これからも走り続けてください!SNOWBANKが必要のない社会を目指して!

今回の東京雪祭スタッフみんなで集合写真。受賞したHEROs AWARDは、イベントに関わった全員が評価されたことが嬉しいと話すダゼ氏。