ライダー稲村 樹が世界を転戦し、今のコンテストシーンをライダー目線で切り取っていくイナムライフの第3弾!今回は、アメリカのコロラドへ。WORLD CUP BIG AIRの応援へ。女子のレベルの高さを感じて来た
プレシーズンでもある12月、僕は例年通りアメリカのコロラド州にあるKeystoneやBreckenridgeで滑り込むことにした。ここは早い時期からパークがしっかりと作られている為、本格的なシーズンを前にしっかりと滑り込む事ができる。日本人ライダー達もシーズン前の足慣らしに多く訪れる場所だ。
デンバー空港からCMEというバスを利用し2時間ほどで僕たちが住むことになるFriscoという街に到着する。この街の周辺にはKeystone, Breckenridge, Cooperなど様々なスキー場が点在している。そして、少し車を走らせた所にUS OPENの会場でもあるVailに行く事ができる。
Keystone Area51 Park
今年のコロラドはびっくりするほどの雪不足だった。たぶんいつもより気温が高かったことが原因で降雪機を降らすことができなかったのが原因だと思う。雪不足の影響でスキー場のコースも少ししか開いていない、パークのオープン日も例年よりがかなり遅れていた。
僕が滞在している期間にBreckenridgeのパークが開く事がなかったので、今年はKeystoneをメインに滑っていた。
Big Air World cup in cooper mountain
この時期、コロラドではDEW TOURやWORLD CUPなどのビッグコンテストが開催される。
今回、DEW TOURには日本人が出場していなかったが、Cooperで行われたWORLD CUP BIGAIRには藤森由香(BURTON)、広野あさみ(OGASAKA)の二人の日本人が出場するので応援に行ってきた。今回、この大会はUS GRANDPRIX(日本で例えると全日本選手権)という事もあり男女共に良いメンツが集まっていた。
大会のフォーマットとしては予選は2本中1本のベストラン、決勝は3本中2本のベストランカウントという方式で行われた。
予選からこの程度の技ができないと戦えないと言わんばかりに20人程のライダー達がトリプルコークを出してきていた。しかし、その技の全てがバックサイドのトリプルコーク1440。
グラブや高さなどで他の人に差をつけないと全く点数が伸びない状況となっていた。
結果から言うと2方向のトリプルコークをメイクした Max Parrot、Sebastien Toutant のカナダ人コンビがワンツーフィニッシュ。たくさんのライダー達が1方向ならトリプルを回せるが、2方向のトリプルを大会でしっかりとメイクしてくるライダーはまだまだ少ない。2方向のトリプルをメイクする事が今後のビックエアーの大会でトップを争う最低条件となってくるであろう。
そして、今回の大会は女子のレベルの高さに驚かされた。
ライダー達がメイク率が良かったのはもちろん、予選からダブルコークや900をメイクするライダーがいるなど見応えのある戦いとなった。ハイレベルになった要因にはライダー達のレべルが上がっているのはもちろん、ビッグキッカーを用意されていた場所がスキー場のコース内のあった事も影響しているのではないかと僕は思っている。
かつて開催されていたTOYOTA BIGAIRの様に櫓を組んで行われるビッグエアー大会は設計上の問題なのか余計にGがかかる事やアプローチの距離や幅も決められているため、体重や脚力などの筋力が劣る女子にとっては持っている力を十分に発揮する事が難しい様に思う。そして、女子のビッグエアーが開催される様になったのもまだまだ最近の話。
今までは”本来の力を出す事が出来なかっただけ”の様に僕は思えた。どちらにせよ、ライダー達のレベルが上がっている事に疑いの余地はない。シーズン中にもどこまで上がるのか凄く楽しみだ。
コロラドはこの早い時期からフリーランやパークを滑り込めるのはもちろん、DEW TOURやWORLD CUPのように世界でもトップレベルの大会を間近で観戦する事ができる。シーズン始めの滑り込みを兼ねてトップレベルの本気を身近で体験したい人、将来そのレベルで戦っていきたいと思っている人にとっては一度来ることをオススメしたい。きっとシーズン始めには良い刺激になるはずだ。