ワールドカップ・ビッグエア年間王者の座についた木村葵来はいったいどんな選手なのか?

木村葵来(キラ)は23/24シーズン、FISワールドカップのビッグエア種目で年間ランキング1位を獲得したスノーボーダーだ。

小学6年生の時にオリンピックでスノーボード競技を観て、スロープスタイル、ビックエア競技を始めた。
抜群の運動神経と持ち前のセンスで急成長を成し遂げ、中学2年生の時にプロ資格を取得。
さらにそのスキルをどんどん磨き上げ、2023年1月に初めて出場したワールドカップでいきなり3位表彰台に上る。

そこから次々と大きな舞台で活躍し、アッという間に年間王者の座についた。そんな怒涛の追い上げからキラの世界の頂点への挑戦は始まった。
きっと今シーズンも世界の頂点の競い合いに必ず絡んでくるだろうこの名を知っておいて欲しいのだ。


スノーボードが本当に好きでやっているので
苦手があるのが嫌なんです

 

Q
先日の中国でのビッグエアーのスタートリストには名前がなかったけど
A
実は今年ニュージーランドで練習中に怪我をしてしまって、深刻な怪我っていうほどではなく、もうだいぶいい感じなんですが、様子を見ながら練習も再開していいて、次の大会(オーストリアWC)には間に合うと思います。
Q
フィジカルが凄く、難しい技でも習得するスピードも速いってう噂ですが、それは自分のどんなところが影響してきたのかな?
A
体操をやっていたんですよ。空中での体の使い方だったり、着地にスムーズに持っていける体の動かし方とか、そういうイメージが頭の中で全てイメージできていると、わりと体が動いてくれるんです。そういうところにすごく経験が役立っているって思っています。
僕は本格的に始めた頃からずっと西村大輔さんに教わってきました。ジャンプのアプローチのラインの取り方から、抜ける瞬間の動作、板の掴み方まで結構細かく教えてもらってきました。少しのミスでもジャンプが乱れてしまうから、そこはもうひやすら回数を重ねてミスしないように練習しています。
Q
地道に練習するのが好きなタイプ?
A
はい、そうですね。難しい技とかになると、自分にできないことがあるんだ。じゃあやるかってやる気になりますね。楽しいですよ。
Q
中学2年の時にプロ資格を取って、その頃から目標は世界に向いていたの?
A
その頃はまだわかんなかった、多分何も考えてなかったかな(笑)高校1〜2年の頃かな、初めて海外に練習しに行って、自分にもこんな力があるんだみたいな。いけるんだっていう手応えを感じてからですね。
Q
自分の成長する過程で力になってくれた人ベスト3をあげるとしたら誰?
A
まずは、今のマネージャーさんです。自分のスポンサーの話を持ってきていただいたり、練習時の宿泊先や送迎とかも含めて、本当にお世話になっていて有難いと思っています。次に西村大輔さん。僕にずっと付き添ってコーチングしてくれたんです。そしてやっぱりお父さん、お母さんです。1番僕のことを支えてくれてきた。まだ、これからの僕ですが、本当に感謝しかないです。
Q
スロープとビッグエア、競技として強いていうとどっちが得意とかあるんですか?
A
特に無いです。スノーボードが好きでやってることなので、得意不得意も感じずに、全部楽しくやっています。それと苦手があるのが嫌なんです。すごい好きなことやってるのに何で苦手なことあるんだよみたいな感じで僕は考えているんで、苦手をなくそうと思っていつも練習しています。
Q
今、目標に掲げて練習していることは?
A
先日の中国のワールドカップのビッグエアでも6回転勝負になっていて、やばいなって思っています。現状で自分は大会では5回転半まで。6回転を大会でやるにはその基礎をもっと固めて、それをもうひたすらやり込んでいかないとと思っています。
Q
YONEXのボードの調子は?
A
とにかく自分に合っていて調子がいいです。扱いやすく、滑りやすい。ずっとYONEXのボードに乗ってきたので、自分の体の一部みたいになっています。
ずっとYONEXのギアを使い続けているキラ。自分の体の一部のようにギアが馴染んでいるという。まさにバランス感抜群のスピンはこの一体感から生み出されるといえよう


優勝の数をひとつでも多く勝ちとりたい

 

Q
弟の悠斗(ユウト)くんもかなりのレベルに上がってきてるみたいだけど、どんな風に意識してる?
A
油断していると抜かれるっていう風にも思いますし、一方では純粋に嬉しいと思っています。
Q
将来的には平野兄弟(歩・海祝)や冨田姉妹(せな・るき)のように世界を兄弟で回るのも近いね。そんなとき、兄としてどういう風に弟をサポートしていきたい?
A
やはり表彰台に上って欲しいし、僕の経験も踏まえてアドバイスしたり。今でも弟から聞いてくることもあるし、タイミングが合えば一緒に滑って練習しますし。そんな時、そんなことできるんだって思うことも多い。弟も5回転はできて、練習では5回転半までいってますし。結構なライバルになってきますね。
Q
今、どんどん難易度が高くなって、ライバルも多くなって。そんな状況の中で、自分はどう準備していこうって思ってる?
A
やはり基礎が必要なので、そこをまずはちゃんとやりながら、少しずつ調整していきます。無理に上げようとせずに自分のペースでやっていこうかなって思います。
Q
キラくんは基本的にメンタルがすごく落ち着いているタイプだよね。
A
よく言われます。1本目コケても2本目でちゃんと決めるってことが結構あるんで、みんなからそこ凄いって言われたりしてます。
Q
そのメンタルの強さはどこから?
A
親ですかね。そういう部分にとても厳しかったんで。鍛えられました。
Q
今シーズンの目標は?
A
今年は出だしが怪我で遅れてしまってはいるんですが、優勝を狙います。昨シーズンは後半疲労が出てきたりもあったんですが、世界選手権もあるのでそこで優勝できるように調整していきたい。優勝の数をひとつでも多くしたいです。
Q
日本人選手間のなかでもライバルがいっぱいいる時代ですね。
A
そうですね。みんな仲はいいんですが、大会となれば「やっぱあいつには負けないぞ」みたいな感じになると思います。でもそのなかでも誰にも負けないように頑張りたいなと思っています。

明るく、元気で、素直で話していても気持ちのいい答えを返してくれる。そんな人間的な魅力も溢れる木村葵来。
フルストンプで力強く繰り出すジャンプは、トップクラスの高さ、まさにバランスの良さを感じさせるスピン。
ジブの巧さも併せ持ち、スロープスタイルでの成績も大いに期待されるところ。フィジカルの強さ、そして何といってもメンタルでの強さも大きな武器となり、きっと今シーズンも大いに話題を振りまいてくれそうな存在だ。

12月13日、木村葵来選手はYONEXが対外活動を通じて企業イメージを高め、社業発展に特に功績のあった選手を表彰する「YONEX AWARDS 2024 Athletes of the Year」に選ばれ、表彰された。

使用ボードはYONEX STYLAHOLIC、BINDING、BOOTS、WEARとYONEX製品をずっと使用し続け、世界の舞台へとたどりついた 

【主な戦績】(2024.12.18現在)
<2024/2025シーズン>
ワールドカップ スロープスタイル(Cardrona/ニュージーランド) 5位
<2023/2024シーズン>
ビッグエア種目・年間総合ランキング 1位
ヨーロッパカップ スロープスタイル(Corvatsch/スイス) 2位
全日本選手権大会 スロープスタイル(栂池/長野)優勝
全日本選手権大会 ビックエア(栂池/長野)2位
アジアカップ ビッグエア(ネコママウンテン/福島) 3位
ワールドカップ スロープスタイル(Laax/スイス) 7位
ワールドカップ ビッグエア(Edomonton/カナダ) 5位
ワールドカップ ビッグエア(Beijing/中国)
ワールドカップ ビッグエア(Chur/スイス) 2位
FISニュージーランド大会 スロープスタイル (Cardrona/ニュージーランド)2位
<2022/2023シーズン>
ヨーロピアンカップ ビッグエア(Corvatsch/スイス) 優勝
白馬ブックオフ大会 ビックエア (栂池/長野)5位
白馬COW DAYスロープスタイル大会 (白馬47/長野)優勝
全日本選手権ニセコ大会 スロープスタイル(ニセコ/北海道)3位
全日本選手権ニセコ大会 ビックエア(ニセコ/北海道)2位
ノーアムカップ ビックエア(Horseshoe Resort/カナダ)優勝
ノーアムカップ スロープスタイル(Horseshoe Resort/カナダ)優勝
FISアルツビックエア大会(ネコママウンテン/福島)優勝
北海道選手権大会 スロープスタイル (ニセコ/北海道)優勝
日本スロープスタイルオープン (ニセコ/北海道)2位
ワールドカップ ビッグエア(Kreischberg/オーストリア) 3位