13回目の開催となった「TENJIN BANKED SLALOM 2023」。今年はどんなコースが造られ、どんな大会になったのか?

3/4(土)~5(日)に群馬・谷川岳天神平スキー場で開催された「TENJIN BANKED SLALOM 2023」。この記事では、大会プロデューサー福島大造氏のコメントとともに今大会を振り返る。

ハードな天候とコース状況だった初日

大会初日は、予想以上に冷えたことでカリカリのアイシーなコース状態になってしまった。さらに、後半バンクのスピードコントロールが肝となり、天神らしいハードコアなコースに。そのコンディションのなかで大会運営サイドが下したスケジュールが、初日はコースインスペクションに重点を置き、その中でオープン男子とマスター男子の予選のみ進行するという決断だった。この日の判断を大会プロデューサーの福島大造氏はこう振り返る。

「今年は結構ハードなコース状況と当日のコンディションだったこともあり、急遽スケジュールを変更しました。とにかく初日はコースインスペクションの時間を長くして、少しでも多く参加者にコースチェックをしてもらうことにしたんです。とりあえず昼過ぎまではコースに入ってくださいっていう感じで。あと、オープン男子のエントリー数が多かったこともあって、残りの限られた時間の中でできる限り予選を進めることにしました。午後も天気が悪かったりして時間も掛かったんで、結局オープン男子とマスター男子の2クラスだけ予選をして、他のクラスは翌日の一本勝負という形にしました」。

北原あゆみ
久保田 空也
加藤 彩也香
左上)憧れのテリエと記念撮影 右上)2人ともファイナルに勝ち進んだ佐藤亜耶&佐藤夏生 左下)VOLCOMロッキー(左)と、加藤彩也香(右) 右下)毎年スタートエリアをまとめる加藤健次
美谷島 慎


今大会のコースコンセプトとは?

 今年で13回目となった「TENJIN BANKED SLALOM」。過去様々なコースが造られてきたが、今年のコースコンセプトを続けて聞いた。

「コースを造る段階からみんなで1つのバンクを完成させてから次のバンクに行こうっていう感じでやってました。上はアップスして、上がって下がってを繰り返す気持ち良いラインを意識して。見た目は難しそうだけど実際に滑ると気持良いコース造りを意識していった感じです。天神バンクドの場合、どうしても下のテントエリアからみんなの滑りを見られるように正面を落としたいっていうのがあって。最初は全然違うラインで、大岩の反対側までトラバースを長くしてたんです。で、そっち側の地形を使って落としていこうっていう計画もあって。でも、上から完成したコースを降りてきたら『あっ、こここうやって行けるんじゃない?その方が下も繋がるし』っていう新たなラインの話しになっていって。それでみんなで滑ってチェックしながら結果あのラインになったんです。ただ途中雪でコースが埋まったりしてコース造成が少し遅れていました。それで最終的には自分たちの理想よりも縦のラインが強くなりすぎちゃって、結果ハイスピードなコースになってしまった。特にみんなが苦戦した後半バンクの2箇所は、レギュラーのトゥーサイドターンが難しくなってしまって…。上手い連中はタイミング良くチェックしてから気持ち良く行けてたんですけど、チェックの仕方が悪いと難しいコースになってしまいましたね。そこは自分たちも反省している点です」。

急遽MCの世代交代となった勝山尚徳と平良 光のふたり
大久保 勇利
西田洋介
ブランドブースエリア
OPEN女子2位 小暮 南
山﨑恵太

苦戦が強いられた今大会のコース

 約一週間前から20人ほどのディガーたちによって、滑りながらみんなで意見を出し合いコースが造成されていく「TENJIN BANKED SLALOM」。こうして毎年試行錯誤し工夫しながら造られるコースだが、今回は特に苦戦が強いられたようだ。

「実際、土曜日が終わってからかなり色々な場所を直しました。後半のバンクに関しては、初日よりもだいぶ変えたんです。高いところで70~80㎝くらいボトムを上げたり受けを作ったり。2箇所くらい圧雪車を使って直して。それで初日よりはだいぶ滑りやすくはなったんですけど、それでも後半はハイスピードだと難しく、滑り手のテクニックが必要でしたね。ただその中でもトップ選手たちは上手く滑ってくるから見応えはあったかなと思います」。

OPEN男子3位 濱口誕人
OPEN男子2位 齊藤蒼太
GRAND MASTER(50UP)男子1位 高橋信吾
OPEN女子1位 中村優花

 こうしたバンクドコース造成のビハインドストーリーを聞くと、この大会運営の大変さが伝わってくる。天候によって変化するコース状況や、上から下までスピードをうまくコース上で調整させながらどう気持ち良く滑って降りられるかなど…。そうした造り手たちの考えと造成技術によってコースが完成され大会が進行される。今大会も色々な問題がありながらも、2日目は晴天に恵まれ無事1人1本を滑ることができ、スーパーファイナルも行うことができた。福島大造氏は最後にこう今大会を締めくくった。

「最終的にあれだけ多くの人がゴールを囲って参加者たちが滑ってくるのを見てくれたし、各クラスのみんなも楽しんで滑ってくれました。天神らしい難しいコースでしたけど、いい感じで終われたのかなって思います。今大会も本当にありがとうございました」。

大会プロデューサー 福島大造氏
佐藤夏生
造成に丸3日かかったというスタート直後のトンネルセクション
そのトンネルを高速でくぐり抜けるTerje Haakonsen
OPEN男子1位 Terje Haakonsen(大会2連覇!)
左)ゴールエリアで検討を讃え合うZIMBABWE谷澤 智と真木蔵人 右)テントエリアでWAXチューン(S TUNE)をするフォトグラファー遠藤 励と勝山尚徳
佐藤亜耶
J.P. Martin
Mike Cummins
大会ラストはディガーたちのパーティラン
OPEN男子優勝のTerje Haakonsenと、OPEN女子優勝の中村優花

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