ホームゲレンデの奥利根から真正面のはるか遠くに見える山
厳冬期に狙う群馬・朝日岳
今年の1月、阿部亮介と前原大和の2人は厳冬期の群馬・朝日岳をアタックした。2年前に初挑戦し、今回はずっと狙いを定めていた新たな本沢の斜面への挑戦。この日のライディング映像とともに、ビハインドストリーを阿部亮介の言葉と、撮影に同行したカメラマンの写真で振り返る。
Text: Ryousuke Abe
2年前この山を初めてチャレンジしたときは未知という恐怖で押しつぶされそうだった。今回は2度目の挑戦となる群馬・朝日岳。初チェレンジの時との違いは、自分がこの山を少し知っている分、気持ちに余裕があり今回は以前の沢と違う本沢を狙えたことだった。
厳冬期に朝日岳を登る人はほぼいないため、本沢を滑走することができればファーストディセントになる。そこが狙う心に火をつけたきっかけだった。
今回のムービーでライディングしている斜面は、自分のホームゲレンデである奥利根からずっと眺めていた朝日岳ピークからの正面本谷。ずっと狙っていた斜面だ。
ピークまではトータル10時間のハイクでアクセスすることになる。夜中の2時から準備をし始め、3時に登り出し、白毛門(日本の三大急登)→ 笠ヶ岳 → 湯沢との県境にある朝日岳へと向かった。
この山は滑ったらすべて上り返さなくてはならないため、早めから動き出してもアタックにはテント泊が必要となる。-20℃の中で3人のテント泊。夜中に吹いた強風はテントが浮きそうになるほどだった。テントの中では肉や魚など贅沢な食事をする。なぜなら-20℃の中でのテント泊は翌日のハイクやアタックのことも踏まえ、とにかくカロリーを取るために食べまくる必要があるからだ。そこでの時間や気温、経験など全てが初めての経験だった。
そしてオフシーズンの秋に、食料とテントとガサバルマットを山の途中にある山小屋付近へ保管しておいていた。その理由は、当日のアタックに向け、なるべく荷物を少なくしたいことと、アタック当日に良い食事を取るために、事前に上げておく必要があるからだ。
2018年1月、遂に自分と前原大和は、朝日岳の本沢を無事にアタックすることができた。この斜面は斜度よりも地形が素晴らしく、まさに自然地形が広がるパークのような斜面だった。そして、このアタックはとにかく気分良く全てを成し遂げることができた。
これも全てバディである前原大和のナイスな計画のおかげだと思っている。今後も彼と朝日岳の新たな斜面を追求し、2月もアタックしようと計画中している。これからも地元みなかみを追求し続ける者として、このエリアの山の奥の奥まで紹介できるように挑戦し続けたい。