僕らの七日間深夜戦争《後編 Day 5~7 》

スノーボーディングと真剣に向き合った先に見えるもの

社会人の一般スノーボーダー集団 “toolatefilm” 。彼らは自分たちが生まれ育った函館エリアの素晴らしさを次世代のスノーボーダーへ伝えるべく、地元でのアーバンスノーボーディングに拘り体現している。仕事を終え、家事を手伝い、夜な夜なストリートスポットへ集合してシューティングを続ける日々。この企画は、そんな彼らがシーズン頭の1週間(七日間)を毎晩撮影し続けるという気狂いな挑戦を記録したもの。先週配信した《前編》の4日間では、日々コンディションが変わる中での撮影の難しさや撮影トラブルなど、仕事をしながら毎晩臨む撮影は、様々なハプニングや体力的な負担があった。同時にそれぞれのメンバーがスポットに拘る想いを感じることができた。

残りの3日間、彼らは撮影を無事メイクすることができたのだろうか?そして、今まで以上にスノーボーディングと真剣に向き合った先には一体どんな感情が生まれるのか。今週の《後編》では、残りの3日間をtoolatefilm代表の堀尾氏の日記とムービーで振り返りつつ、各メンバーがこの撮影を通じて感じた生のコメントを伝えたいと思う。
Photo: sadaphoto

函館を代表する有名な坂もフィールド
函館を代表する有名な坂もアーバンスノーボーディングのフィールドになる


toolatefilm 7days night war diary
後半3日間の日記

 

《DAY5》
12月15日(金曜日)撮影: 18:30~24:00
「今日も相変わらず天気がいい。この日は現場の仕切りや今まで若い奴らにスポットを回してきた自分も気合いを入れて出陣した。自分と石本のグーフィーチームでバックサイドのダブルダウンに挑んだが、結果として2人ともスラム&ノーメイクの洗礼を受け、今シーズンの宿題を残して終了。昼間は通常生活を送り、夜に撮影して今日で5日目。自分ら2人のライディングを見て、明らかに集中力が無くなっているのを周りも感じている。この企画でまたひとつ学んだ。今思えば集中力が欠ける中で、慢心と過信が招いたスラムだったんだと思う。
幸い早めに集合し早めにスラムしてこのスポットを終了したことで時間が余り、次のセクションのトランスファーセッションでカットを確保することができた。その後公園でフリーランをして撮影は終了。それにしても全員の疲労が半端ない。その中でなんとかカットを残そうとしてるクルーの姿は、『働きながらでも真剣に向き合えばできる!』それを互いに証明するために、助け合いながらやっているように見えた。苦しいけれど最高だ」

寺田有佑のトランスファー
寺田有佑のトランスファー
佐藤真雄のトランスファー
佐藤真雄のトランスファー
2箇所目の街中FREERUNスポットを作戦会議中
公園にフリーランでラインの落書きをするため作戦会議中
北海道ソウルフード・ラーメン山岡家。撮影後深夜のラーメンは最高だ
北海道ソウルフードのラーメン山岡家。撮影後深夜のラーメンは最高だ

《DAY6》
12月16日(土曜日)撮影: 19:00~24:00
「6日目になるとみんな疲労困憊。『どうする?どこで何を撮る?』予定していたスポット全てが状況が悪く悩んでいた時、カメラマンの『普通に街中の坂を滑れば良くないですか?』の一言に導かれ、ザ・函館フリーラン!! 愛する地元の景色に心も体も癒されたセッションになった。アーバンスノーボーディングってスラム、リスク、そんなことを想像しがちだが、『坂があって雪があるから滑る!』。ただそれだけで、スノーボードは楽しい。フリーランの後、別のスポットで撮影をしてキックアウトされる前に撤収し、さらっとこの日は終了。残すは後1日だ」

除雪の塊を削ってジャンプ石本 眞那斗
除雪の塊を削って、函館アーバンに向かいジャンプする石本 眞那斗
カメラ
FILMING
設営
2箇所目のスポットを設営後、作戦会議。夜な夜な設営も手慣れたもの
芳賀 卓
芳賀 卓もこの日カットを残す

《DAY7》
12月17日(日曜日)撮影: 22:00~2:00
「『カメラのレンズが傷ついちゃっててダメだ!』。いよいよ最終日を迎えたこの日に、メインのビデオカメラのレンズが負傷してしまった。撮影前にカメラ屋に走り、急遽ステップアップリングを購入して古いレンズを取り付け急造して対応した。買い出し班と現場班で効率よく時間を使う。この日の撮影スポットは、予定していたポイントが函館特有のカラカラの寒さで雪が全く固まらず急遽変更。誰かが前もって確認に行けたら行く。そのスタイルが功を奏して、的確に効率良く場所を移動することができた。7日目になると撮影の行動もみんな慣れたもんだ。しかし体は正直で、蓄積された負担でオヤジチームの腰痛が酷くなっていた。ストリートでのハンドレールのランディングはほとんどフラットなので、最終日はなるべくランディングに負担のかからない、斜度がある着地の場所をチョイスしウォールランディングのイージーセッションを決行した。最終日のこのスポットでメイクしたライダー、メイクできなかったライダーと、誰もが次に繋がる撮影になったに違いない。北海道の雪の少ないエリアの小さなクルーが、ちょっと降雪があったからってなんとなく始めた企画はこうして終了した。
”toolatefilm 7days night war(僕らの7日間深夜戦争)” 。終わった後の安堵感は半端じゃなかった。達成感よりも無事生還した安堵感が先だった」

公園に落書きフリーラン作戦会議中
撮影スポットではみんなで力をあわせて作業する。設営FAINAL!
佐藤知紀はレールからドロップ
佐藤知紀はレールから渾身のドロップ
ボス堀尾義紀。家業のクリーニング屋は四代目。年末は忙しい
堀尾義紀の家業はクリーニング四代目。年末は忙しい
ボス堀尾義紀
toolatefilmボス堀尾義紀

 

 

「僕らの七日間深夜戦争」をメイクしたクルーが感じたこと

「週1か週2の撮影でも身体がキツいのに、始めは1週間の撮影とか本気でバカだと思った。ましてや12月、まだ体も出来てないし滑り込んでもいない。でも何だかんだ乗り気な自分となんだかんだ乗り気なクルー。撮影を無事終えてみて感じたことは、結局みんなスノーボードが好きで自分のエリアをレペゼンしてるいかれた愛すべきヤツらだった!」by 佐藤知紀

「この七日間は楽しかったけど疲れた。初日の雨、次の日からドカ雪っていう悪条件には慣れているのでギリギリ乗り切れたけど、さすがに後半は体が持たなかった。でも毎日笑って過ごすことができた。 この企画をメイクした “toolatefilmクルー” を誇りに思う」by 芳賀卓

「このクルーでスノーボードをして5年目。ボス(堀尾義紀)の突発的な発言や行動にも慣れた。自分の課題も見つかって最高のシーズンスタートが切れた充実した七日間だった」by 寺田祐介

「怖い思いも痛い思いも沢山したけど、動画や写真も残せていい経験ができた。自由な発想で遊ぶ先輩たちから多くを学ぶことができた。体力的にキツかったけど、またすぐに撮影へ行きたい!今年は全員を潰して、トリパートを奪うつもりでいます」by 石本 眞那斗

「初日に熱を出し戦線離脱してしまったため、毎日の状況をLINEで確認しながら悶々としていた。次のシューティングではいいフッテージを残したい」by 松崎美穂

「今まで “toolatefilm” の動画を見ていて、今回初めて撮影に参加させてもらって嬉しかった。とても勉強になったし、とても刺激を受けた。この撮影での経験を生かし、これから始まるシーズンを楽しんで行きたい」by 佐藤真央

「1カットを撮るのにものすごく時間がかかっていることに衝撃を受けた。作業、機材、場所の選定など、全く経験がない世界だったのでビックリした。今回は思うような滑りはできなかったけど次は頑張りたい!」by 川村光佑

「いいシーズンの滑り出しができたけど、総括としてやっぱりキツかった。でも、クルーとしても個としても成長できたし、多くの課題も見つかった。仕事をしながらでも、真剣にスノーボーディングと向き合えば、結構色々できんだなと思ったし、何よりもクルーの絆が深まった。これからも変わらないスタンスで、函館アーバンスノーボーディングを表現していきたい」by 堀尾義紀

 

7days night war FIN.

 

14_写真-2016-11-16-0-04-02-(1)のコピーtoolatefilm vimeo
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