「CALI TO JAPAN TRIP」 EPISODE 4 – 北海道の旅 ルスツ編。

日本へ来たからには絶対に行きたかったニセコエリア。数日間ニセコを楽しんだ私たちは、旅の最後にこのエリアのシンボルである羊蹄山を挟んだ太平洋側に位置するルスツリゾートを訪れた。
Text: Yukie Ueda
Special Thanks: ルスツリゾート

※本企画は、上田ユキエの息子・虎之介(トラ)が、日本各地を訪れ、滑りながらそのエリアやリゾート施設の魅力を英語で海外の人へ伝えるとういうエンターテイメントコンテンツをYouTubeチャンネル『TORA BURGER』で配信。SBN FREERUNの連載記事では、その動画とコラボして上田ユキエ目線で各地の旅の記録を残していく。

自然の遊園地

まるでおとぎの世界に入り込んだようなリゾート感

冬のルスツリゾートに到着すると、雪景色の中に佇む大きな観覧車やジェットコースターの存在に圧倒される。そのメルヘンチックな光景には子供だけでなく初めて訪れる大人も心が踊るだろう。
リゾートにはイゾラ、イースト、ウエストと3つの山頂へ向かってそれぞれ長いゴンドラが掛かっており、ゲレンデだけでもスキー場3つ分ほどの大きさがありそうなほど。加えて夏季に営業される遊園地やゴルフコースを合わせるとその敷地の広さはさすが北海道だ。

「ちっちゃいラスベガスみたいだー!」と、トラ
ホテル内のアーケードにはアトラクションとスノーボードショップが共存している

ちょっとラスベガスを彷彿させるようなアーケードが立ち並ぶホテル内から一歩外に出ればゲレンデが広がっている。ホテル前にはファミリーや子供が楽しめそうなウエストマウンテンがあるが、私たちはより地形の面白そうなイゾラ、イーストエリアへ向かうことにした。そこへはホテル前から移動するためのゴンドラがかかっており、気温の低い北海道の山の中でも快適に移動することができる。

ルスツには4本もゴンドラがあり、快適に山の上の銀世界へと移動させてくれる

私はこれまで二度ほどルスツに来たことはあるが、案内できるほど山を知らない。自分が熟知している山を案内するのもいいが、見知らぬ山をみんなで地図を広げながら滑るのもまた楽しいもの。雪景色の中に不思議に溶け込んでいる遊園地を眺めながら、家族でワクワクしながらスノーボード探検に出かけた。

正面に見えるのはイゾラマウンテン。いくつものコースがあり1日じゃ遊びきれない!

極上の白い世界

ゴンドラで山を上ると、白銀の世界が視界一面に広がった。厚みを持ちながらも見るからに軽そうな雪を纏った木々が出迎えてくれている。

ハロー!ルスツの極上パウダー

元々圧雪されていた広いバーンにはほどよく新雪が覆いかぶさり、カービングが夢のように気持ち良い。トラはグランドトリックをしながら気持ちよさそうにフワフワとした雪面を踊るように滑り降りていく。まるで雲の上を自由に滑っているような気分だった。

ムービーで見たのか、広いバーンにグラウンドトリックで自分の弧を描くトラ

先の尖ったボードを持つ人たちが向かうイゾラ方向も気になったが、私たちはスキーヤーがひとり入って行ったラインを目安に、まだほとんど踏み入れられていないバーンへ入って行ってみた。
するとそこには足跡のない極上の白い世界が広がっていた。

WOW! 思わず歓声をあげながら滑ってゆく私たち

どっさりと雪を抱えた木々の間には充分な感覚が空いていて、いろんな形をしたマッシュが豊富にあった。どこを飛んでも着地はバフバフと柔らかく、やりたい放題だ。

いいサイズのマッシュを見つけてファーストドロップから気持ちよくメイク!
テームドッグでバフバフの着地へダイブ!

私たちはそれぞれ好きなアトラクションを見つけては楽しんだ。まるで森の中の遊園地だ。

私は私のラインをゆく

木のアーチをくぐり、誰かが付けてくれたラインを追って林の中を駆け抜け、何度もゴンドラに乗っては遊びながら降りた。

息子のスピードに煽られながら、木の中を駆け抜けるのもまた楽しい

そこはまさに、自然の遊園地だった。

ゲレンデに一歩足を踏み入れれば、コース内にはまるでバックカントリーのような地形が広がっている。そのギャップに驚きながら、私たちは時間の許す限りランチも食べずに真っ白な雪をかぶり続けた。

ここは子供も大人も喜ばせる雪山の巨大遊園地だ。

メリーゴーランドもジェットコースターも魅力的だけれど、私たちスノーボーダーにとってこのフィールドはまさに自然地形で作られたテレインアイランドだった。

フェリーに乗るまで滑る

満足するまでパウダーを滑った私たちは、ボードについた雪を払って車に積みこみフェリー乗り場へと向かった。
夜の7時過ぎに出航するフェリーは滑り疲れて眠っている間に本州へと運んでくれるのだ。大浴場につかり、ビールを飲みながら海を眺め疲れを癒すこともできる。

船の上の朝日。海の上は特別な時間が流れている

フェリーの旅は、国内移動でも何か特別な旅感がある。車ごと移動できるので荷物の多いスノーボーダーにとって便利でもある。
海外からの観光客がストップし、空いているリゾートの状況は苦しい部分もあるが、この素晴らしい雪とフィールドは、私たちスノーボーダーに光を与えてくれているようにも感じる。
自然は素晴らしく、日本には宝物がたくさんあるのだと気づかせてくれたからだ。

アメリカに戻ったら、私たちはきっと北海道の雪のことを語り続けるだろう。
この小さな少年に刻まれた記憶も、スノーボーダーである限り片隅に残り続け、そしていつかまた足を運ぶのだろう。

船旅はより一層旅の記憶を濃くしてくれるだろう

TORA BURGER#18 RUSUTSU RESORTS@HOKKAIDO 北海道ルスツリゾート

CALI TO JAPAN TRIP」過去の記事
EPISODE 1 – 北海道旭川の旅。はこちら
EPISODE 2 – 岩手夏油の旅。はこちら
EPISODE 3 – 北海道ニセコの旅。はこちら

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★PROFILE
上田ユキエ
プロスノーボーダー歴27年。ハーフパイプとビッグエアーの選手としてプロ戦やワールドカップを転戦し、ムービー制作やスノーボードブランド立ち上げなど日本のガールズシーンを盛り上げたのち、結婚を機にアメリカカリフォルニア州へ移住。マンモスマウンテンに拠点を移し日本とアメリカでスノーボード活動を続けて来たが、今回家族ごと1年間の日本移住を果たす。
SPONSOR: K2 SNOWBOARDING, BILLABONG, UN, RONIN EYEWEAR, HAYASHI WAX

ORION 虎之介
2011年4月5日生まれ9歳。カリフォルニア生まれの日系アメリカ人3世バイリンガル。スノーボードとスケートボードが大好き。USASA全米スノーボード選手権2019 7Under部門総合3位。
SPONSOR: K2 SNOWBOARDING, BILLABONG, VONZIPPER, UN. RONIN EYEWEAR, ETNIES, HAYASHI WAX, MAMMOTH TRAMPOLINE CLUB