環境への負荷を抑えながらパウダーを楽しむ。PFCフリーという選択肢 I「patagonia / Powder Town」

パタゴニアは創業以来、環境への負荷を抑える製品作りを続けてきた。自然のなかで遊ぶことを愛する自分たちの生産活動が、皮肉にも自然を傷つける要因になっていることに早くから気づいたからだ。二酸化炭素の排出を減らすためにリサイクル素材を積極的に導入したり、農薬による土壌の汚染を防ぐためにオーガニックコットンを採用したり。ウエアの生産工程のなかでなにが負荷を与える要因で、どうすれば改善できるのかを探り、達成目標を設定しながら実践してきた。その取り組みのひとつのキーワードが『PFC フリー』だ。

PFC フリーへの動きはアパレルだけではなく様々な分野で進んでいる。スノーシーンでいえばワックスでもその流れは顕著にみられる。国際大会でPFC が含まれるワックスの使用が禁止されるなど、世界的な動きになりつつあるのだ。そんなPFC フリーのスノーウエアが、今季パタゴニアに登場する。


Motoki Takahashi
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Powder Town

Photo: ONOZUKA AKIRA

過酷な環境にも耐えられるようにラボやフィールドでのテストを繰り返して完成するパタゴニアのウエアは、シーズンを通してハードに滑るライダーたちからの信頼も厚い。ではニューモデルはどうだったのだろうか。

話を聞いたのは、北海道をベースに活動するマウンテン・フリースタイラー、高橋福樹(モトキ)。高校生までハーフパイプの選手として活動し、現在はバックカントリーをメインフィールドに毎冬を過ごす。中井孝治ら地元の先輩とともに山に入るうちに、山滑りの方が “しっくりくる” と感じるようになったそうだ。

「バックカントリーで滑るロングライドが気持ち良すぎて魅了されました。10代の頃はハーフパイプやパークを滑るのが当たり前でしたが、視野を広げれば世界中の雪が降ってる山は全てフィールドになるんだなって思って。そういう可能性のデカさだったりスノーボードがますますカッコ良く感じて、自然の地形がセクションやアイテムに見えるようになっていきました」

いい斜面を求め、ときには未開の斜面を求めて、常に山の中を動き回るモトキがウエアを選ぶ上で重要だと思うポイントは体を守ってくれることと、動きやすさだという。

「例えばビブパンの肩の位置が合わないとか、そういう細かいところも気になります。Powder Town(パウダータウン)はパタゴニアのなかだと太身でルーズに着られるんですが、生地がすごく柔らかいので、体を動かすときに干渉しないんです。滑ってる時の着心地が良くて、パフォーマンスを出しやすいですね」
防水性や撥水性についても不満は全くないようだ。

「一見『大丈夫なの?』って思うほど柔らかいのに防水もしっかり効いているんですよね。北海道の場合、ハイシーズンはドライだからそれほど必要ないんです。春になればなるほど撥水や防水は必要になりますが浸みてくることはなかったです。春先に一度洗濯したら、かなり撥水性が復活しましたし」
取材時、ちょうどカムイみさかでのハープパイプキャンプの最中だったのだが、室内のベシャベシャな人工雪でも全く問題ない、とのこと。さらに性能以外の部分でも信頼を感じるという。

「ウエアだけじゃなく道具に対しては、壊れたときの不安は正直ずっとあります。でもそれを修理できる部門があるというのが安心につながっていますね」
パタゴニアは修理をしながらなるべく長く着る「Worn Wear」という考え方を提唱しているが、共感する部分があるようだ。

「すごく気に入ってるものって愛着もわくし信頼感も出てくる。昔のモデルを着ることについて、パタゴニアも推奨しているので、そういうスタンスも好きですね。まだ使えるのに流行りや物欲でどんどん新しいモノに切り替える風潮が本当に嫌…というか昔から理解できないところだったから」
こういう部分も含めて、モトキはパタゴニアを着続ける。

「循環型のものづくりにフォーカスしたり、エネルギー問題に取り組んだり、そういう働きかけを企業としてやっているのはすごいことだと思うんですよね。それを利益度外視でやってるのは単純にブランドとしてめちゃめちゃかっこいいと思います」

今シーズンは1 年ぶりに本州の山を滑るため、北海道を離れロードトリップに出かける予定のモトキ。気候も雪質も山も全く違う本州で、どんな斜面とどんな仲間に出会えるのか。


残留性のあるフッ素化合物をつかわずに
タフなコンディションにも耐える性能を備えた
Powder Town

環境にも人にもやさしいPFCフリー

PFCというのはウエアの耐久性撥水(DWR)加工に使われる化学物質のことだ。PFC には有害なフッ素化合物が含まれていて、このフッ素化合物の製造過程で水質が汚染される。汚染された水や空気、食物を通して人間の体に入れば、今度は体内に蓄積し、我々の健康にも影響を及ぼす可能性があるのだ。しかも自然には分解されないので、自然界に長期間残り続けてしまう。PFC を使用しない= PFCフリーの製品に触れることは、そういった現状を知り、フィールドを守るためにどう行動できるかを考えるきっかけにもなる。

<耐久性撥水(DWR)加工のPFCフリーへの、パタゴニアの取り組み>

十分な防水・撥水性能を約束

パタゴニアのPFC フリーへの取り組みは2013年からスタートしている。ではなぜ今年までスノーウエアに採用されなかったのだろう。当初はフッ素を全く使用しない場合、PFC と同じだけの撥水性を実現するのが難しかった。数年をかけてテストを重ね、ようやく十分な撥水性を実現したのだ。防水性については、独自の防水性基準H2No®(エイチツーノー)がその性能を保証する。「H2No」のロゴは、ラボとアウトドアフィールドの両方で実施される過酷なテストを通過した証。機能を犠牲にすることなく、環境への悪影響を最小限に抑えた製品こそがパタゴニアの定義する最高の製品なのだ。

フッ素を使用しなくても撥水性は十分。もし、撥水力が弱まってきたと感じても、メンテナンス(洗濯)をおこなうことで復活する
ラボでのテスト、そして、フィールドではアンバサダーがあらゆる天候下で着用してチェックし、その結果をフィードバックし改良される。この工程がパタゴニア独自の防水性基準「H2No(エイチツーノー)」だ。


H2Noのテストはこのようにおこなわれている

定期的なメンテナンスはウエアを正しく機能させる

長年の研究努力によって撥水性はPFC を使用した際と同レベルの水準に達したわけだが、油や泥までを同じレベルで弾くわけではない。そのため、生地表面に油や泥が付着すると撥水性が一時的に低下してしまう。

そこで重要なのがウエアのメンテナンス(洗濯)だ。生地に付着した汚れを落とし、正しく乾燥させれば撥水効果は復活する。漂白剤や柔軟剤などが含まれた洗剤を避けるなどの注意は必要だが、ウエアをキレイに保つことは劣化を防ぐことにもつながり、結果的に長くウエアを着続けられるなどいいことだらけ。板にワックスを塗るように、ウエアのメンテナンスもスノーライフの一部に組み込んでみてはいかがだろう。

<パタゴニア製品の洗濯方法はこちらのページをチェック>

ユーザーフレンドリー

Powder Townはパタゴニアのスノーウエアのなかでもかなり安い価格帯に設定されている。その背景には彼らの目標であるこんな思いが込められている。「より多くの人に使ってみたいと思ってもらえれば、このウエアのストーリーにも共感してくれる人が増えるかもしれない。そして、こういう製品を選ぶユーザーが増えることで、市場にも同じような理念の製品が増えて欲しい。その波紋が広がることを目指している」。ウエアを選ぶときにそれがどのように作られているかを考えることが、スノーボードを愛好する人たちのスタンダードになっていくようにと。


Powder Town

動きやすさを重視した2レイヤーシェル。非常に柔らかい生地と立体裁断フィットがライディング時の動きを妨げないと多くのアンバサダーが愛用する。パタゴニア初のPFC フリーウエアで素材にはリサイクルポリエステルを使用。ウィメンズにはメンズと同じ2レイヤーシェルのジャケット・パンツ・ビブス。そして寒さが苦手な女性のために中綿入りのジャケットとパンツもリリース。

<Powder Townの詳細はこちら>>> Men’s Powder Town>

<Powder Townの詳細はこちら>>> Wemen’s Powder Town>

M’s Powder Town Jkt
Size: XS ~ XL Color: 全5色 Price: ¥42,900
M’s Powder Town Pants
Size: XS ~ XL Color: 全4色 Price: ¥30,800
M’s Powder Town Bibs
Size: XS ~ XL Color: 全4色 Price: ¥38,500

パタゴニア日本支社 カスタマーサービス
Tel: 0800-8887-447