今季ラストのユキエハウスのゲストは、スロープスタイルの大会ではお馴染、個性的なキャラと愛嬌のある性格で人気のガールズライダー・星野文香。
アスリートとしてコンテストシーンで活躍する傍、最近は一眼レフを片手に周りのライダー達を撮っては映像も制作し、表現者というマルチな才能を持つ彼女。マンモスでの滞在で感じた彼女の魅力を上田ユキエが綴る。
Text: Yukie Ueda
声の大きな女の子の登場
元気な女の子がやってきた。起きてから寝るまでとにかく大きな声で喋る、笑う。周りを明るくさせる太陽みたいな女の子だ。
プロスノーボーダー星野文香。
SNSでよく見る顔だ。彼女の投稿を見ていると、SNSを上手に利用していることがわかる。自己満足に留まらず、伝えるべきことをしっかり表現できる女の子だと感心していた。
文香とは面識がなかったが、4年ほど前からメッセージのやり取りをしてきた。会ったことがないのに長文の人生相談が送られてきたりもした(笑)。少々たじろぎそうなものだが、素直に投げかけてくる文香の問いかけに対するアドバイスは自然と溢れてきた。まだ会っていなくても、私にとって文香はこのスノーボード界の後輩だった。
「ユキエさんのいる場所に行ってみたい」と言っていた文香がとうとう目の前に現れたのは、この春のマンモスだった。
いよいよ声が大きくて想像以上に元気な女の子と2ヶ月近く生活を共にすることになった。彼女は持ち前の明るさで、あっという間に我が家に溶け込んでいった。
雪山で光る彼女のセンス
文香は今時な女の子でもあり、アスリートでもあり、表現者でもある。自ら滑り手としてライディングする傍ら、一眼レフを片手に周りのライダー達を撮る。映像も制作する。
今や誰でも携帯を使って簡単に撮影や映像編集が出来るけれど、文香はそれなりの機材を揃え、素人以上の知識とセンスが備わっていた。絵を残し作品を作る事が好きなのだ。写真や映像に対するこだわりと情熱を感じた。
20代後半、まだまだ自分のスノーボーディングも進化するだろう。だけれど、スノーボードにはいろんな可能性と付加価値があることを、彼女も知っている。そのために何をしたらいいのか、しなくてはならないのか、今彼女は見つけ出している最中だった。
彼女のスノーボード
10歳で初めて乗ったスノーボード。雪国で生まれ育ち家の周りには雪だらけ。小学生の彼女は一日中滑っていた。面白くて仕方なかった。
20歳で飛び出した海外。自分以外にもこんなにスノーボードが好きな人たちがいるんだと知り、刺激だらけで感動した。
英語が好きで、勉強した。誰とでも明るく話すことのできる性格は、海外でも生かされた。間違えても発音が難しくても堂々と自前の大きな声で話す彼女に海外の人たちは聞く耳を持ち、時に言葉や発音を教えてくれた。そんな彼女の姿は今でも見受けられる。
彼女は行く先々でその土地の友達を作っていった。
文香にとってスノーボードってどんなものなのかと聞いてみた。
「スノーボードによっていろんな人に出会えたり、人生が豊かになってる」
見えない未来へ手探りで進む
「ヒントは沢山あるんですけど。まだどうしたらそれが形になるのかわからないんです」。
文香が滞在している間、私は何度も文香からのインタビューを受けた。それはスノーボードの帰り道だったり、夕ご飯の準備をしている時だったり。
「ユキエさんは、どうやって好きなことを仕事にできたんだと思いますか?」
まっすぐな目で尋ねてくる。
私は自分がスノーボードビジネスを始めた20代後半を思い返しながら、あれこれと語った。メモを取りそうな勢いで、その言葉一つ一つを彼女は拾っていたように思う。
あの頃と今では時代が違う。けれどいつの時代だって、視野を広く持ち、アンテナを張っていなくては新しいことは出来ない。
文香は言う。「時代の流れでインスタやユーチューブが身近なスノーボーダーに伝える一番の簡単なルートになっているから、SNSを大事にしているんです」。しかしその反面、海の外へも自分で足を運び、目で見て感じるという一番アナログなことを大切にしているのだった。
茶色い髪を無造作にまとめ、今時のメイクやファッションに身を包みながらも、なぜか昭和の雰囲気を感じさせる不思議な女の子。その雰囲気は彼女の中身をそのまま映し出しているのだろうと思う。
星野文香なりのスノーボードとの関わり方を確立し、きっと近い未来この業界に明るい華を添えてくれるのではないだろうかと期待する。
Profile
星野文香
1989年11月3日生まれ。新潟県出身、長野県在住。
雪国で生まれ育ち、高校を卒業と同時にJWSC(全日本ウィンタースポーツ専門学校)へ入学。スノーボードスロープスタイル競技でプロ昇格。現在は “Who’s TV” にて動画を配信。女の子ならではの目線で、スノーボードだけでなく日本と海外のライフスタイルも含めた【ハッピー・スノーボード・ライフ】を沢山の人に伝えたいと活動中。Sponsor: ROXY、SALOMON, ムラサキスポーツ新潟、POWgloves、PoPhdwr、ELECTRIC、 Ice tune、小布施クエスト、Feiyu Tech、moumou house、 Leeds Dog Supply 、星野農産、Dale 、Smile field
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★この記事のライター
上田ユキエ
1973年1月22日生まれ。東京出身。カナダウィスラーでスノーボードを始め24年、ハーフパイプやビッグエアーなどの競技を経て、ガーズルムービープロダクション “LIL” を立ち上げ日本のガールズシーンを牽引。結婚を機にアメリカへ移住し6歳の息子(トラノスケ)を育てながらプロ活動を続け、現在はバックカントリーの魅力にはまり国内外の様々なフィールドを開拓中。2017年4月マンモスマウンテンに拠点を移し、よりナチュラルに山の近くで家族と新たな生活をスタートさせている。
Sponsor: K2 SNOWBOARDING, Billabong, MORISPO SPAZIO, NEFF, RONIN, ZOOT, CORAZON SHIBUYA, LALALATV
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