1月末にアメリカ・コロラド州アスペンで開催されたX GAMESのスノーボード女子ハーフパイプで2大会連続銅メダルを獲得した松本遥奈。10日、現地アメリカよりオンラインの合同取材があり、約30分間に渡り今の心境や今後の目標、想いを語った。
写真提供: アミューズ
「今まで経験してきたことをプラスに捉えて、スノーボードを楽しみたい」
-X GAMESで2大会連続銅メダルを獲得した感想は?
滑り的にはあまり満足がいってなく悔しい部分もあります。本当はラークスのワールドカップのファイナルでできなかったこと、同じ技なんですけど空中の見せ方などのクオリティをあげてX GAMESで見せたかったんですけど、それができなかったので悔しい結果になってしまいました。でもメダルを取れたのは素直に嬉しいですし、楽しい大会になりました。
-今大会で金メダルを獲得したクロエ・キム選手。彼女との差はどんなところにあると思いますか?
クロエ選手はエアーの高さもありますし、技の難易度でも、私ができない技(F1260やCAB1080)ができているので、そこはもっと練習して追いつかないといけないところだと思っています。今自分ができる技の完成度を上げて、空中での演技をしっかりできるようになれば、少しずつ近づけるのかなと。アメリカでの滞在期間中に空中の演技力や技の完成度を上げていきたいですね。今の私は彼女とレベルが違うので抜かすというのは難しいですが、近づいていきたいと思っています。
-前回の平昌オリンピック出場後に何を思いましたか?またその後の自分の目標は?
平昌オリンピックに出場して、小学4年生の頃から描いていた夢「オリンピックに出たい」という自分の将来の目標が叶って…。その後セカンドキャリアも考えるなかで、どうしていこうかすごく考えたんですけど、やっぱり自分が一番好きなのはスノーボードでした。平昌では嬉しい気持ちと悔しい気持ちの両方があったんですが、大舞台を経験して変わったことも沢山あります。だからこそ、「スノーボードの魅力をもっとみなさんに伝えていきたい」と、またその感情が芽生えてきて。親が背中を押してくれたのもあって、選手活動を続けることにしました。
-次の北京オリンピックに向け、今はどんな心境ですか?
まだ今は北京オリンピックに出たいという感じではなくて…。平昌の時は、オリンピックに出たいという気持ちが強すぎて、スノーボードの楽しさから少し離れていた部分もありました。本番が近づくにつれ頑張らなくちゃいけないとか成績を残さなきゃいけないというプレッシャーが強くなってしまって、楽しいスノーボードが少しずつ離れてしまっていました。平昌が終わると、あらためて根本にあるスノーボードの楽しさをもっと自分で実感したいと思うようになっていったんです。自分が楽しんでいれば、周りにも楽しさがより伝わるのかなと思って。今はそのことを一番に意識して、今まで経験してきたことをプラスに捉えて楽しむスノーボードを続けています。そのなかで、コンテストでも納得できる自分の滑りをしたい。それで結果が付いてくればいいなと思ってるんです。
-北京まで残り約1年ですが、3年前と比べて成長している部分は?また次は縦回転など、この技にフォーカスを当てたいというイメージはありますか?
平昌の頃に比べ、今はF1080の完成度が少しずつ上がっていてコンテストでも出せるようになってきているので、そこが少し成長した部分だと思います。あとは、空中でのグラブが甘いなという意識があるので、F900とかF1080でもしっかり掴んで着地にもっていけるような練習をしていきたいです。縦回転については、北京オリンピックまであと1年ですし、今から練習するよりも自分ができる技の完成度を上げ、グラブを少しでも長くしっかり掴めるようにすることを一番に考えています。
-コロナ禍での今シーズンですが、そのなかでどんなことを意識して取り組んでいますか?
今シーズンは、予定されていた大会などもキャンセルになってしまったり、日本と海外との行き来が最初の方はスムーズにできなくて。11月から海外に行くことができず、12月のアメリカからスタートというなかなか雪上に立つことが難しい大変なシーズンの始まりでした。だからこそ雪上に立てる時は集中して何かひとつでもやりたい課題を決めて、それをクリアするというように、以前より短い時間のなかでもなるべく考えながら時間を使い、練習に取り組むようにしています。
-今年のオフシーズンはどんなトレーニングを予定していますか?
今はアメリカでもスポーツジムがクローズしている状況で、シーズン中は一度も筋力トレーニングができていないんです。だからどんどん筋力が落ちてしまっているので、そこをシーズンが終わってからすぐに戻さなくてはいけないと思っています。それに、現時点で自分ができない課題を実感できているので、今自分が苦手としている技に結びつくような体の動かし方をトレーナーさんに教えてもらって、そこを強化しながら怪我をしないような体づくりをして、雪上トレーニングに入っていきたいと思っています。
▼X GAMESアスペン女子スーパーパイプのオフィシャル映像