ゲレンデのコース脇、何気ない地形にこそ美しさを見出し、流れるようにライディングしながら独創的なラインを描く男。それがフランス出身のスノーボーダー、アーサー・ロンゴだ。1988年、アルプスの麓グレノーブルで生まれ育ち、スノーボードに魅了されると、世界的な舞台へと歩みを進める。US OPENやオリンピックなどのコンテストに出場し、その名を広く知られる存在になったのだが、彼の本質が世界を魅了したのは、その後のバックカントリーとゲレンデにおける “創造的な滑り” にある。
2017年に公開された「SHE – SIDE HITS EUPHORIA」で披露された、地形を読む力とサイドヒットを自在に操るスタイル。それは映像でありながら、観る者の感情に訴える “動くアート” だった。ラインの取り方、リズム、緩急、そしてジャンプのタイミングすべてに「ロンゴらしさ」が宿る。無駄な力を感じさせず、しかしどこまでも強く印象に残る。彼の滑りが支持される理由は、スキルの高さ以上に、その “感性の豊かさ” にあるのだ。
そんなアーサー・ロンゴが、 “TRUE TO THIS” のコンセプトを掲げるVOLCOMとともに生み出したのがこのウエアだ。今季の最新モデルは、彼自身が実際にフィールドでテストを重ねた実用重視かつカルチャードリブンな一着。単なるシグネチャーではなく、滑りの哲学と美意識を形にした “表現ツール” としてデザインされている。
ジャケットは、ゆったりとしたバギーフィットのシルエットをベースに、15,000mmの耐水性と15,000gm²の透湿性を兼ね備えた「V-SCIENCE 3レイヤー」構造を採用。環境負荷を考慮し、PFASフリーのDWR(耐久撥水)加工が施されている点も見逃せない。さらに、VOLCOMの代名詞である「ZIP TECH」をはじめ、ゴーグルポケット、チケットリング、ホイッスル付きジッププルなど、実用的なディテールも充実している。
そして、毎年楽しみな彼のアイコンだが、今年はフロントの裾に星型のフェルトワッペンが縫い付けられている。これは自身が書き下ろしたアートワークで、彼の滑りと思想を象徴するシンボルだ。
このジャケットが持つ本当の魅力は、派手な機能やデザインではなく、「削ぎ落とすことで研ぎ澄まされる」という美意識なのかもしれない。無駄をそぎ落とし、本当に必要なディテールだけに集約することで、滑り手の集中力と創造力を引き出す。どこまでも自分らしく滑りたいと願うライダーにとって、このジャケットは外装以上の意味を持つ “内面を映す鏡” のような存在になる。
ターゲットは、カテゴライズされたスタイルにとらわれず、ゲレンデという地形を読解し、その日その時の雪と光と風を感じながら、自分のラインを描きたいと願うスノーボーダーたち。速さや派手さではなく、「どう滑るか」「なぜそのラインを選ぶか」に重きを置くすべての人に、このジャケットは滑りの中に「自分」を込めるといういメッセージを語りかけてくる。
スタイルとは、単に見た目の問題ではない。それは生き方であり、選択の連続の果てに形づくられるもの。アーサー・ロンゴの滑りと、このジャケットは、そのことを教えてくれる。



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