3/3(土)、4(日)の2日間、見事な晴天に恵まれた群馬県・谷川岳天神平スキー場。このフィールドを舞台に開催されたのはTENJIN BANKEDSLALOM 2018。今年から一般参加のエントリーフォーマットが、早い者勝ちではなく抽選に変更され、見事に当選し全国各地から集まった好き者たち。また全国各地で開催されたバンクドの定型大会を勝ち進んだ強者。そしてローカルや国内外のプロライダーなど、過去最多エントリーの389名が集まった。
このレポート記事では、5つのテーマに沿って、この大会やバンクドスラロームの魅力について伝えたいと思う。
バンクドスラロームの醍醐味
そもそも、この大会のコンセプトについて触れておきたい。バンクドスラロームとは、地形を活かした十数カ所に及ぶバンクコースを利用してタイムトライアルを競うもの。スタートからゴールまでコースから外れることなく滑り降りるシンプルなもので、滑ることさえできれば誰でも楽しめる。子供から大人まで各カテゴリーごとにクラスが分かれ、参加者の年齢やレベルは関係なく全員が楽しむことができる大会だ。
バンクドの大会に出たことがある人はその醍醐味を知っていると思うが、シンプルだからこそ難しい部分がある。スタートからゴールまでの1本には、1シーズンの自分の滑り込み具合が目に見えて反映されてしまう。自分の足の限界までバンクを踏み続け、スピードを殺さずにバンクを抜けなければならない総合滑走能力が試されるだけになかなか奥が深い。だからこそ、その1本の自分の滑りにどれだけ向き合ったか?そのリアルさがタイムにも反映されるから面白い。結果次第では、大人やプロライダーでさえも課題は残るし、もちろんキッズだって本気で悔しがる。攻めて無事に滑り終えることができれば、なんともいえない清々しさを味わうことができるのだ。
毎年変化するバンクコース
今回のコース距離は昨年よりも短く設定されていたが、その分テクニカルになった印象を受けた。スタート直後からスピードをつけることができるので、第2バンクからいきなりDQ(コースアウト・失格)する人もいた。そこを抜けた後の第4バンク、第6バンクでも苦戦する人が目立つ。特にレギュラースタンスのヒールサイドターンでエッジが抜けてしまう人が多かった。
その後は気持ちいい斜度とバンクの感覚でスピードを出して攻めることができるのだが、後半にある長めのフラットでスピードを出しすぎてしまうと、急カーブのやや浅めのバンクで捕まってしまう人が続出した。自分の滑走前に他の人の滑りを見て、「後半のこのセクションは慎重に行こう!」と、イメージするのだが、実際に滑ると気持ち良さが先行し、要注意スポットを忘れてしまうケースが多い。自分もここで捕まってしまった。
毎年全く同じコースが完成する訳ではなく、バンクの地形も時間とともに変化する。気温によってバーンがアイシーだったり、シャバ雪になることもあり板の走り具合も常に変化するので、滑るタイミングでのコンディションにあわせるあたりも面白い。まさにフリーライディングの醍醐味が詰まっているのが、このバンクドスラロームの魅力だと言える。
親子2世代で楽しむ姿
今大会で印象に残ったのは、親子2世代で楽しめる大会スタイルがより浸透していたこと。数年前から感じていたことではあるが、この数年の間でキッズたちも成長し、小学6年生以下のJuniorや、小学4年生以下のGrommetクラスも今まで以上に白熱していた。親子でエントリーをし、親が子の滑りをコース際で真剣に応援したり、中にはトップからボトムまで、コース脇を並走して動画に収める親の姿もあった。もちろん子供達の親にあたるベテラン勢も自分の滑りを子供に見せつけるべく、いぶし銀な素晴らしい滑りも見れた。
このように、子供から大人、一般、プロと関係なく、それぞれのカテゴリーにドラマがある。だからこそ、それぞれの世代で盛り上がり、その楽しみは継承していく。このカルチャーは日本のスノーボードシーンにおいてとても重要なものだと感じた大会でもあった。
大会を裏で支えた立役者たち
そして何よりも数日前からこのコース造成をしてくれたスタッフへの感謝。彼らがいなければコースはできず、大会も開催できない。レース中も、バンクが荒れるとシェイパーやスコップでバンクの整備をしてくれるなど、常にベストなバンクをキープしてくれていた。他にもタイム計測や、受付、MC、安全祈願、ブランドブースなど、多くの人のサポートがあってこの大会は成り立っている。
毎年、オーガナイザーの福島大造さんが話す、「みんなで作るバンクドスラローム!」というコンセプトは、裏方で支えてくれるスタッフや、会場を盛り上げるブランドブース、スキー場、参加者と集まった全ての人で作り上げられていることを示している。2日目のレース終了後、一番最後にディガー全員でコースを滑り降りてくる姿が清々しかった。
全国各地で開催されるバンクドの大会はまだまだ続く
今シーズン、残りの日程でも全国各地でバンクドスラロームの大会が開催される。大会ごとにそれぞれコンセプトも違うので、ぜひタイミングがあえば色々な大会を挑戦してみてはいかがだろうか。中には上位入賞者には来年のTENJIN BANKEDSLALOM 2019への出場切符をGETできる定型大会もある。
まだまだ自分の滑りを磨き、ぜひ来年こそはここバンクドの総本山である天神平へ。