15年目の東京雪祭SNOWBANKレポ!渋谷発、都市型スノー文化の到達点とは?

代々木公園に雪が舞う二日間。2025年で15回目を迎えた「東京雪祭 SNOWBANK PAY IT FORWARD」は、街のど真ん中でスノーボード、そして音楽と社会貢献が合わさる、日本屈指のアーバン・スノーイベントだ。会場では、一般参加からトップライダーまでが凌ぎを削る「JIB STYLE BATTLE」をはじめ、アーティストライブ、キッズ向けコンテンツ、献血・骨髄ドナー登録など多彩なプログラムが展開。来場者とライダーが一体となる熱気に包まれ、イベントの原点である「いのちをつなぐ」という理念が、15年の重みとともに強く共有された。この記事では、イベントのMCを務めて15年にもなる藤沼 到にこのイベントを振り返ってもらった。
Text: 藤沼 到(RIDE FOR A SMILE)
ALL Photo: 東京雪祭 SNOWBANK PAY IT FORWARDオフィシャル


渋谷・原宿の真ん中で続く15年の軌跡。ジブと音楽と献血がつなぐ“SNOWBANK”という文化

2025年11月8日~9日代々木公園、15回目のSNOWBANKが開催されました。
こんにちは同イベントで14回目の司会進行役を務めたプロスノーボーダー藤沼 到です。(近頃MCの仕事多めで日本各地の皆さんとお会いできて非常に嬉しいです。ありがとうございます!)。

14回目の司会進行役を務めた藤沼 到(左)と平田 巧(右)

こちらのイベントは最寄り駅の原宿駅や渋谷駅から1キロ圏内という街のど真ん中、日本東京若者カルチャーの中心地とも言える場所で、15年に渡って開催され続けている、スノーボーダー&スキーヤーが参加できる日本スノーシーンを代表するアーバンイベントです。

初回からこれまでずっと実施されてきたSNOWBANKの目玉コンテンツと言える「JIB STYLE BATTLE」では、一般参加ライダー達がインビテーションライダー達との決戦を夢見て、しのぎを削る1日目と、シーンを牽引するインビテーションライダー達が集結して今シーズンスタート時のキング&クイーンを決定する2日目と、イベント開催期間の両日に渡って熱いジブバトルが繰り広げられます。

街のど真ん中に雪を持ってきて熱いジブバトルが繰り広げられた2日間

こちらのジブバトルでは現在、センターにダウンレールと両サイドにダブルダウンレールが配置された3WAYレールというレイアウトとなっていますが、イベント立ち上げ当時はダウンレール1本のみで順位を争っていました。(当時レールと公言していましたが、ナローボックスだったと記憶しております)。

回数を重ねる度に進化してきた今大会のレイアウト

使用されるセクションも年々パワーアップしてきたSNOWBANKは、いつしかイベント名も「東京雪祭~SNOWBANK PAY IT FORWARD」となり、イベント立ち上げ当時はメインステージ前に配置されていた雪広場もステージから距離を離してビジョンカーを配置、さらに多くのアーティストがイベントを盛り上げるライブと特設ゲレンデのレールセッションが交互に繰り返される構成となっており、来場者は常に非日常的なショーを観戦できるエンターテイメント性が高く、渋谷区からも後援を受ける大きなイベントへと成長しました。

来場者が東京で雪に触れ遊べる環境がこのイベントの特徴でもある

このイベントの大きな目的は「献血実施者」「骨髄ドナー登録者」を募る事で、イベント主催者の荒井”DAZE”善正は、かつて難病を患った際、骨髄移植をして難病を克服した経緯があり、移植前に本人と適合するドナーが見つかるまでの間の不安やもどかしさが、このイベントを15回成功させてきた原動力となっていると思えます。闘病生活を支えた育子夫人は今やSNOWBANK事務局長となり、まさに夫婦二人三脚で活動を続け、現在では日本スノーシーンのキックオフイベントとして認知されるまで成長させてきたと言えるでしょう。

このイベントの主催者である荒井”DAZE”善正氏
SNOWBANK事務局長を務めこのイベントを裏で支える育子夫人
ライダー長澤颯飛も笑顔で献血をおこなった
スイカこと石原晴菜も献血。このように多くのライダーたちも献血に参加する
今年も多くの人が献血した
ボランティアスタッフの協力のもと、今年で15回目を迎えた「東京雪祭 SNOWBANK PAY IT FORWARD」

 

変わりゆく天気も熱気を止めない。SNOWBANKを彩ったバトル、ライブ、そして新たな勝者たち

イベント初日の雪広場では、開会式恒例カドマンさんの安全祈願から始まり、JIB STYLE BATTLEでは招待選手の公開練習が行われ、一般参加選手による2日目への出場権をかけた戦いが繰り広げられました。ジャッジは、石川敦士、千葉真人、関 功の3名。

初日のジャッジはこのの3人が務めた

一般参加選手とはいえメーカーからのサポートを受ける選手達の姿も多数見られ、ハイレベルな争いが繰り広げられる中、メインステージでの表彰式で名前を呼ばれた選手達は下記の通りです。

大人顔負けのライディングを魅せた阿左美 逢夢

キッズ
優勝: 阿左美 逢夢

滑りで多くのギャラリーを沸かせた大島みどり

女子
優勝: 大島みどり
準優勝: 城市羽那
3位: 若木莉帆

見事男子優勝を手にした福岡幸佑は翌日のバトルへコマを進めた

男子
優勝: 福岡幸佑
準優勝: 長沼和輝
3位: 北山泰士
ベストトリック: 三浦地平

15年の歴史を振り返ってみてもスキーヤーの2日目本戦進出は初と思われ、ベストトリック賞を飾った三浦選手は日本国内のフリースタイルスキーヤーに希望を与える選手となりました。

この日雪広場以外の場所でも様々な催しが行われておりメインステージでは、「キリハレバレ」「ORCALAND」「TOTALFAT」といったアーティストの皆さんがライブ演奏を行い、雪広場横では献血車や、数多くのスキー場やショップ、メーカーテントがブース出展していて、「HUB FUN」スケートボード体験コーナーや雪広場側から見える陸橋の向こう側では日本財団「HERO’s」に在籍するアスリートの皆さんが会場を大いに沸かせており、トランポリンやソリゲレンデタイムなどお子様に人気のコンテンツも滞りなく開催されました。もちろん「WOW」の皆さんも大活躍しました!

キリハレバレのLIVE
「HUB FUN」スケートボード体験コーナー
アートコーナーではキッズがお絵かきに夢中
会場内にはトランポリンも設置
「HERO’s」に在籍するアスリートも子供たちを楽しませる
「WOW」がイベントを盛り上げる

終日ポカポカ陽気のイベント初日、平和そのものといった空気の中、無事にイベントが終了しましたが、2日目は早朝からまさかの雨模様…。

メインステージでの催しは天候に左右される事なく開催されますが、その他雨の影響を受ける催しは中止を余儀なくされるなど運営人には若干の緊張が走る中、なんとか雨足も弱まり2日目のコンテンツがスタートしました。

この日メインステージを盛り上げたアーティストは「LOW IQ 01&THE RHYTHM MAKERS」「AIK」そして「DAZEBAND」の3組。そんなアーティストが出演するライブは午後からのスケジュールとなっており、東京雪祭2日目は雪広場での招待ライダー達による予選ラウンドが始まる事で徐々に熱気の渦に包まれていくのでした。

イベントオーガナイザー荒井”DAZE”善正氏も「DAZEBAND」として自ら歌う

この日は参加選手としての出番がある千葉真人にかわり、石川敦士&ミヨンのジャッジチームと合流したのは自身もSNOWBANKで様々な伝説を築いてきた小川凌稀。

ジャッジたちはライダーたちのアツい滑りを見て興奮気味!

初日を勝ち抜いた一般参加選手達が招待選手に混ざって登場する予選ラウンドが、2日目の午前中から繰り広げられ、正午になる頃には男子14名女子8名のファイナリストが出揃いました。

そうそう、今回特筆すべき点が一点ありまして…。

2日目予選が終わり「ソリゲレンデ受付はアライマウンテンリゾートブースで行って下さい!決勝進出者は13:00頃に発表します!」…と、アナウンスを終えた直後から著者の藤沼 到個人的にもっとも緊張感が高まる時間の幕開けとなりました。

何故なら…15年携わってきたこちらのイベントでしたが、今回はじめて音楽ライブ演奏を担当する時間が設けられていたのです!

しかもこの時間はしっかり雨!演奏するビジョンカー前ステージに屋根は無し!!(笑)。

準備していた機材を車から運び出してくる事から我々「イタル&デンジャラーズ」の闘いが始りました(笑)。

雨にも負けず歌い切った「イタル&デンジャラーズ」のLIVE

DJ RYOHEY君(刺繍縫-nui-)やPAシローさん達の暖かい配慮と優しいお客様のおかげで無事に出番を乗り切り、その後の「星野リゾート ネコママウンテン」トークライブへバトンタッチできたのでした。(皆様暖かい声援をありがとうございました)。

その後、ビジョンカー前雪広場ステージでは、この冬話題の女子イベント「The Uninvited」トークライブ、さらに「AIR MIX」トークライブ、そして「SAJ全日本選手権ビッグエアー」トークライブと、この冬「星野リゾート ネコママウンテン」で行われる目玉3イベントのトークライブが行われて雪広場前の熱が上がったところで献血ちゃんこと「チッチちゃん」の「献血ちゃんラン」が行われ、その流れで決勝戦が行われました。

午前中に行われた激戦となった予選ラウンドを勝ち抜いたライダー達は下記の通りです。

男子ファイナリスト
松下大地、渡辺六斗、岡嶋大空、長澤颯飛、米野舜士、畠山和也、遠藤柾志、高橋烈男、梅原颯太、土屋波澄、坂本翔大、榎本遼太、松岡秀樹、三浦地平

女子ファイナリスト
花田 雫、高橋あおい、中山珠莉、福澤 璃沙子、高森日葵、坂本 妃菜乃、滝沢 由里香、松岡杏樹

オーディエンスは大いに沸きに沸きまくり、二日間MCとして声を枯らして叫び続けた平田 巧&私藤沼、そしてジャッジ陣を悩ませ続け、見事メインステージで行われたダゼバンドライブ直後の表彰式で名前を呼ばれた入賞者達は下記の通りです

女子
優勝: 坂本 妃菜乃
準優勝: 高森日葵
3位: 花田 雫
ベストトリック: 福澤 璃沙子

花田 雫も滑りでオーディエンスを盛り上げた
終始安定したライディングで魅せた高森日葵
見事女子優勝を果たした坂本 妃菜乃

男子
優勝: 松岡秀樹
準優勝: 梅原颯太
3位: 米野舜士
ベストトリック: 松下大地

乗れてる滑りで魅せた米野舜士
勢いのあるライディングで会場を盛り上げた松岡秀樹
オリジナリティある滑りとボードで魅せる梅原颯太

ファイナリストの繰り出すトリックの難易度はいずれも異次元レベルで、誰が勝ってもおかしくない状況下、子供の頃からSNOWBANKに挑み続けた今大会のウィナーである松岡&坂本両選手への勝利者インタビューが行われ表彰式は閉幕となりました。

今回の表彰式中、思い出深い出来事がありまして、ステージ手伝いの学生さんから小声で、ジャッジの方々からの伝言で「上位は本当に僅差だったと付け加えて公言してほしい」と言われるほどの超接戦となりました。

そして閉幕のタイミングで告げられた今回の献血実施数並びに骨髄ドナー数は、

東京雪祭2025 終了報告
受付数:401名
献血実施数:357名
骨髄ドナー数:49名

さらに来年は16年目にして初めて開催予定週がかわり、来年の開催は、2026年10月31日(土)~11月1日(日)の開催に決定しました!

なんと来年2026年は東京雪祭SNOWBANK初のハロウイン開催となり、一体どのようなドラマが生まれるのでしょうか!? 非常に楽しみです!来年も必ず代々木公園でお会いしましょう!ありがとうございました!


オフィシャルサイト
https://sbpif.net/tokyosnowfes/