Round 9 Kandatsu Big Air

「面白い!」
この大会を会場で観戦した人は、誰もが素直に思ったでしょう。

先日閉幕したばかりの平昌の効果もあり、日本中がウインタースポーツに目を向けていると言っても過言ではない、そんな2018年2月28日、神立高原スキー場にて日本中からトッププロが集結して、開催されたのがPSAプロツアー、ラウンド9「KANDATSU BIG AIR」でした。

今や全国各地に点在するエアマットランディングを有するジャンプ練習施設の増加も手伝ってか、近年凄まじい勢いで選手のレベルが上がっている日本スノーボード界ですが、今大会も通年己の技を磨き上げ続けた選手達が、そのスキルを遺憾無く発揮できるパーフェクトシェイプな18メートルのジャンプ台が造設されていました。

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出場選手の中には、日本を代表する世界レベルのライダー達の姿も数多くあり、開催前から期待感で胸が熱くなりました。

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競技は予選2本を飛び、女子は二つに分かれた各ヒートから得点の高い2名と全体から総合点が高い1名、計5名の選手が決勝へ進めて
男子は各ヒートから4名、全体から2名の計10人が予選を通過できるルールでした。
男女合わせて15名のファイナリストはとてつもないハイレベルな予選ラウンドを勝ち上がり決勝へ駒を進めました。
女子は540、720、900、1080、男子は540、720、900、1080、1260など様々なトリックが飛び出しましたが

女子は大きなバックサイド720を正確に着地して決勝へ進めるかどうか、男子はバックサイドダブルコーク1080を乱れずに大きく、しっかりとグラブも決め切って予選通過なるか?という超絶ハイレベルな戦いになりました。
決勝はそれぞれの選手が3本飛び、異なる2つのトリックのベストスコアの合計で争い、さらにこの異なるトリックは回転方向を変えなくてはいけないという、近年国際大会でも採用される変則的なルールとなっており、このルールをしっかりと理解して、個々の実力を出し切らなくてはいけないという、過酷な決勝ラウンドになりました。
つまり、仮に良いジャンプが一本決まってもそのジャンプと回転方向を真逆にしたもう1つのトリックを決めなくては順位を上げることができないということになるので、選手の多くは1本目、もしくは2本目までには得意なトリックを決めて、回転方向の違うもう1トリックに挑むということになりました。

全ての選手のジャンプを紹介したいのですが、ここでは入賞者のジャンプと会場をおおいに沸かせたジャンプについて触れさせていただきます。

女子3位の吉沢 光璃選手(YONEX/ムラサキスポーツ/ガリウム/クリプトン)は一本目に大きな大きなバックサイド720を決めて決勝1本目から高得点を叩き出しましたが、2本目、3本目とフロント回転のトリックを決めきれず、得点を伸ばしきることができませんでした。しかしながら空中で体を大きく使ってスピンをコントロールする男子選手顔負けのスピンは、さすがルーキーオブザイヤー受賞選手といった堂々としたエアーでした。

また女子のファイナリスト中、バックサイド720、フロントサイド720、バックサイド720と、唯一3本中1本のミスも犯さなかった相澤 真央(YONEX/A-BONY)選手が2位に入りました。相沢選手は2本目まで安定して得点を重ねると、ラストエアーでは1本目に放ったバックサイド720よりも完成度を上げた超特大のバックサイド720をストンプしてオーディエンスの度肝を抜きました。

女子1位は今大会中最も目立っていた女子選手と言っても過言ではない村瀬 心椛選手(ムラサキスポーツイオン各務原店/富山KINGS/ネクサスジュニアアスリート)。

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Rider:Kokomo Murase

村瀬選手は1本目にバックサイド900を決めるも、2本目に放ったフロント900の着地でミスを犯してしまいました。しかし3本目には巨大なフロントサイド720テールのロンググラブを完璧に決めて文句なしの優勝を果たしました。
村瀬選手はこの日公開練習1本目からバックサイド900やバックサイドダブルコーク1080をメイクする絶好調ぶりを見せており、本人も大会後のインタビューで1260にトライしたかったと語り、優勝してもなお若干悔しそうにも見える表情を見せていました。
今後間違いなく世界と渡り合っていく選手になることを感じさせてくれる圧巻の滑りでした。

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ジャンプを讃える女子選手たち

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ジャンプ後の女子ファイナリスト

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表彰式女子トップ3

男子は決勝2本目にバックサイドダブルコーク1260を決めた驚異の小学生、荻原 大翔選手(BURTON/OAKLEY/GALLIUM/鎧武者/チューンナップ工房MK/Flyhillつくばみらいジャンプスキー場/ムラサキスポーツ神田小川町)が6位。

決勝1本目にスイッチバックサイドダブルコーク1260を文句なしに決めて、2本目、3本目とトリプルコーク1440に挑み続けた相澤 亮が5位に。

3371DFD8-409B-4EF2-9E1C-7818E546F4C5トリプルに挑んだ亮を讃える選手達

決勝ラウンドで放たれたトリックで最も高得点を叩き出した、キャブダブル1260を1本目にクリーンメイクして、その後フロントダブルコーク1080、スイッチバックサイドダブルコーク1260を狙うも、惜しくも決めきれなかった大塚 健選手(BURTON/Analog/anon/ムラサキスポーツ神田小川町店/埼玉QUEST/スノーヴァ溝の口R246/チューンナップ工房MK)が4位に入りました。

男子3位には2本目にバックサイドダブルコーク1080をクリーンメイクして、3本目になんとダブルバックフリップを大きくしっかりと決めた伊藤 祐生(QUIKSILVER/ICAN)選手が入りました。
伊藤選手は他の選手がやっていない、横回転の入らない純粋なインバーテッドスピンであるダブルバックフリップが、2本目終了時にはまだ自らが充分得点を伸ばせていなかったレギュラー左回転となることをしっかりと把握して、3本目にチョイスしてきました。
勝負運びのうまさ、頭の良さを感じさせる素晴らしいトリックの組み立てを見せつけて表彰台へ登ることになりました。

男子2位はスイッチバックサイド1080とキャブ1080をクリーンに決めた梅原 颯太選手(
NOVEMBER/flux/ashram/sandbox/fruitwax/VERITA BOARDSHOP/sandbox/X-JAM高井富士/谷町眼鏡店)彼の滑りは常にスムーズで、さらに時として他の選手があまりやっていないようなグラブを回転中に入れるなど、同じトリックでもオリジナリティ溢れる技へと変えてしまうような魅力を感じました。日本スノーボード界のMr.スムーズと呼んでもおかしくないでしょう。

そして、そんな熾烈を極めた超絶バトルを勝ち抜いたのは、神立プロ戦3連勝の神立無敵の男、飛田 流輝選手(ボルコム/エレクトリック/ガリウム/ダカイン/Fジャンク/スカルキャンディ/石打丸山お宿いのや/ARK)。

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Rider:Ruki Tobita

飛田選手が決勝で採用された2本のエアーはスイッチバックサイドダブルコーク1260とバックサイドダブルコーク1260という、どちらも超高難度なトリックで、さらにこれらの技を誰よりも高く激しく、着地の瞬間にどよめきが起きるほどの完成度で決め、文句なしの神立3連覇を達成しました。飛田選手は表彰式後に「ジャンプも好きだけど、自分が好きなジブもあるスロープスタイルが好きなので、猫魔プロ戦も頑張りたいです。」と語ってくれました。

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表彰式男子トップ6

僕の質問に答えてくれる勝者、村瀬選手&飛田選手から、アニメの中のヒーローやヒロインが放つようなオーラを感じた人は会場に大勢いたのではないかと思いました。

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プライスボードを持ったルキ

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プライスボードを持ったココモ

これほどまでにハイレベルな戦いを間近で観られるプロツアー。是非会場に足を運んで選手を応援して欲しいです。

次のフリースタイル種目開催は3月3日猫魔スロープスタイルセッションとなります。

応援宜しくお願いします。

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出番を終えて他の選手を見守る女子男子ファイナリスト達

女子リザルト
1位 村瀬 心椛
ムラサキスポーツイオン各務原店/富山KINGS/ネクサスジュニアアスリート
2位 相澤 真央
YONEX/A-BONY
3位 吉沢 光璃
YONEX/ムラサキスポーツ/ガリウム/クリプトン

男子リザルト
1位 飛田 流輝
ボルコム/エレクトリック/ガリウム/ダカイン/Fジャンク/スカルキャンディ/石打丸山お宿いのや/ARK
2位 梅原 颯太
NOVEMBER/flux/ashram/sandbox/fruitwax/VERITA BOARDSHOP/sandbox/X-JAM高井富士/谷町眼鏡店
3位 伊藤 祐生
QUIKSILVER/ICAN
4位 大塚 健
BURTON/Analog/anon/ムラサキスポーツ神田小川町店/埼玉QUEST/スノーヴァ溝の口R246/チューンナップ工房MK
5位 相澤 亮
YONEX/A-BONY/CALLA
6位 荻原 大翔
BURTON/OAKLEY/GALLIUM/鎧武者/チューンナップ工房MK/Flyhillつくばみらいジャンプスキー場/ムラサキスポーツ神田小川町

ALL PHOTO by DAISUKE SHIBATA Photography