Round 4 BLACK PEARL Cup@Noboribetsu Sanlaiva Dual Slalom

サンライバスキー場2日目、天気は快晴。漂う雲が空の蒼さを引き立てる。

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セントラルコースにたなびく2対のコース フィニッシュエリアを見下ろすスタートゲートは選手のグリッドインを静かに待つ。昨日のGSのスタート位置から140m下った棚からのスタートとなる全長340m、標高差65mのコースを、NPO法人グローバル・チャレンジ・プロジェクト理事長を務める戸崎啓貴プロによるセットが始まる。スタートから最大斜度26°へ向けストレート気味に誘導され、片斜面に反するように7旗門目にバナナの深いゲートで右に大きく降り込まれリズムをかえる。全体的に左に垂れたコースは、特に左のレッドコース中盤に垂れの細かな変化がインスペクションから選手を悩ます。コース終盤の緩斜面にうまく速度をのせてフィニッシュに繋げるか。戸崎のくりだした絶妙なセットはこの後、予測を超えるゲームとなっていった。

23625068-DF88-43D1-BDBC-C69BA67D35D2DU予選、ランキング順にスタートが開始された。
先ずは左、レッドコース#2志鷹(OGASAKA)のスタートから後を追うように時間をおいてスタートを切る右ブルーコース#1三木(T-Alive)、志鷹との距離を徐々に詰めフニッシュラインへ並んでゆく。三木32.64に対し志鷹33.89でそれぞれ1本目のベストタイムをマークする。続く#3吉井(BLACKPEARL)が35.93、#4勇上(SG)は36.35で後続の出方を待つ。#5玉尾(Sasakijuku)が36.21が吉井の背後へつけると、今大会の立役者、続く#7宮武(SIG-NATURE)が解き放たれたかのように快走を魅せ33.83の好タイムで三木の直後につけ2本目を伺う。

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男子は#1河島(AMICSS)が右ブルーコースから、#2川口(PANDASTUDIO)が左レッドコース。スタートを切ると綺麗に並走し同じリズムで斜面を駆け降りる、左右差によるか、前に出た河島に対し、片斜面ながら下りの始まりが若干早い川口が緩斜面でスルスルと間合いを詰めフィニッシュラインで河島に居並ぶ。河島30.09、川口29.81で其々コースのベストタイムを刻み、後続を傍観する。続く#3成田(AMICSS)、#4澤井(monster ja)は其々33.01、32.48。この後、後続選手がこの間に割り込んでくる。続く#5KIMUTOMO(F2ALBERTA)が31.77、前日表彰台と好調の#6杉本(SG JAPAN)も31.71。#18今井(F2VOLTAGE)が32.46、#19から戸田(SG*UPZ)は31.41。#22から今(YONEX.MAC)が31.39。そして昨日優勝しプロ登録を済ませ#23からの後方スタートとなる野藤が31.01、前日さながら好ポジションで2本目を伺う。

予選2本目、1本目のタイム順に各自グリッドにつく。
女子は1本目同様、三木、志鷹がコースを入れ替えスタートを切る。コースもそれなりの荒れが見え出し、レッドコースの垂れの変化が微妙に選手を惑わし時計を遅らせる。三木が35.50に対し志鷹が35.70と肉薄。続く宮武が35.76と接敵、同タイムながら志鷹を躱し2番手でKOに対し優位なグリッドを確保する。勇上が37.74、吉井が38.54、玉尾38.74と軒並み1本目よりタイムを下げながらも凌ぎを削る。

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男子、河島、川口からのスタート、コースを入れ替えただけで1本目と変わらね様相で互いに先を譲らずゲートをくぐる。レッドの河島が先ほどの借りを返すかのようにゴール手前で差しにかかるがまたもや僅差で僅かに川口に逃げられるも、川口31.23、対し河島31.39と其々が2本目のベストタイムを刻む。

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野藤、今も好調。前2人のライン上をトレースし並走。今32.08、野藤32.83とすぐ背後につき次の走者をゴールで見守る。杉本、戸田がコースに送り出され己に鞭をうつと堪らず杉本がバランスを失い戸田がこれを置き去りにする。戸田が会心のランで31.69で3番手を奪取。杉本はミスがたたり34.97。KIMUTOMO、今井、徐々に牙をむき始めたレッドコースに捕まったKIMUTOMOがコントロールを失いDQとなる、対するブルーの今井は32.46と好タイムでポジションをキープ。成田、澤井はスルスルとスタートから前に出る澤井に後れをとる成田35.21、澤井は32.84 と今井の背後にポジションを置く。橋本が34.87でポジションを詰めると、それより後の選手はタイムを伸ばせずグリッドが確定していく。僅かに垂れの大きいレッドコース緩斜面手前に垂れ→フラット→垂れと、選手の平衡感覚を狂わす僅かな起伏がKOの勝敗を分けていくことになる。

16人のグリッドが決まった男子KOファイナルは

1st Round

Heat1,16位 河村vs1位川口

Heat2,9位 田島vs8位 杉本

Heat3,12位 菊田vs5位 野藤

Heat4,13位 大塚vs4位 今

Heat5,14位 黒木vs3位 戸田

Heat6,11位 橋本vs6位 今井

Heat7,10位 成田vs7位 澤井

Heat8,15位 小嶋vs2位 河島

結果順当に予選上位者が1/4ファイナルに駒を進める.

居揃った男女各8名、俄かに動き出すゲーム。集中力の欠いた選手を舞台から引きずり下ろす。

8名の女子1st Roundは

Heat1,8位 金澤vs1.三木

Heat2,5位 勇上vs4位 地下

Heat3,6位 吉井vs3位 志鷹

Heat4,7位 玉尾vs2位 宮武

のオーダーで開始される。1本目、悠々と相手を引き離し余裕の三木が2本目のレッドコース中盤で操作を失いボードが横を向く慌てて追いかけるも万事休す、一度速度を完全に失ったボードは沈黙したまま金澤に金星を許してしまう。相手のミスにも救われ危ういところで勝ちを拾った勇上が下剋上。吉井の健闘も虚しく志鷹が順当にかちあがる。今回の大会準備の疲れも見せず、充実したランでKOを楽しむ宮武はきっちりと玉尾を下しセミファイナルへと駒を進めた。

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予選のタイム差通りきっちりと川口が杉本を下すと、予選タイムで肉薄の今が野藤に0.26差でリード、2本目、今がレッドコースの毒牙にかかり野藤に勢いを与える。
1本目に0.82差で追う戸田が大きくコースを外れ消沈、KOに入り更に調子をつかんだ今井に拍車がかかる。スタート直後のゲートを最短で繋ぎタイムを稼ぐ澤井が河島に並びかかり1本目を0.56と迫るも、動じない河島が澤井を抑え勝ち進む。

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予選、女子の1,4位、男子の3,4位が姿を消し混戦の様相、セミファイナルに入り女子は危ない場面も見せながら勇上が下位を下し勝ち上がると、予選が同タイムの志鷹と宮武、知ったバーンのブルーコースをじっくりと攻略する宮武を、レッドの志鷹がボードを抑え込みながら攻め宮武に遅れまいと追走。

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2本目もリードと、地の利を活かした宮武がホームの意地で志鷹を下す。

 

男子はレッドコース、バナナの処理で僅かに腰の浮いた川口の隙をつきリズムを崩さずラインを引き上げる野藤が0.81の貯金、2本目に攻める川口が並びかけるも、寸でのところでエッジがのらず川口がスモールファイナルへまわることとなる。スタートゲートのタイミングに苦慮する今井に手加減なしでスタートから飛び出す河島、リードを奪った1本目も構わずファイナルを想定してか、レッドの2本目も攻めたくる。危うい攻めのランで更に今井を置き去りにし勝ち上がる。

スモールファイナル女子は予選8位から健闘の金澤を実力でしっかりと距離をあけ志鷹が表彰台を守った。

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男子は危なげなく1本目に貯金を持った川口、ツキを味方に勝ち上がってきた今井が最後のランを諦めず猛チャージで後を追うと川口のミスをも誘ったか緩斜面で前に出てフィニッシュ予選6位から表彰台をゲットした。

ファイナルは女子、宮武vs勇上。予選5位からツキをもって勝ち上がってきた勇上に対し、地元の大きな声援に期待のかかる宮武の速さは十分。会場のムードも一色に染まる。自ら作り込んだ大会に色々なおもいを巡らしグリッドへ入る。スタートゲートが開きいつもとは一味違う馴染みのコースを駆け降りる宮武のランは観る者にとっても感慨深い。

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2本をきっちりと滑り終え、教え子たちの待つフィニッシュエリアに危なげなく降り立った宮武を道産子達の歓喜が取り囲んだ。

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男子は河島vs野藤。昨日の攻防もあり一瞬たりとも目が離せない。同時に斜面へ雪崩れ込む2人、KOに入ってからの滑りは、攻めの河島に対しラインを引き上げのせる野藤。相反しながらも同時に並んでゲートをくぐる。何方かといえば攻略の難しいレッドコースで後れを取りたくない、ブルーでは少しでも貯金が欲しい。何人も奈落へ引きずり落としたレッドコースを野藤が巧みに処理をし速度を乗せるとフィニッシュラインへ向けて伸び始める。もつれるようにしかし僅かに河島の前へ野藤の身体がラインを割った。
2本目、0.2の差でゲートが開く。スタートの上手い河島の見切りで野藤の貯金を削ると、1本目と同様、更にボードをねじ伏せる河島がバナナで前にで野藤を引っ張る。レッドの鬼門ポイントを攻め立てる河島がヒールサイドで僅かに詰まり野藤が頭を出すと、焦りが出たか河島、堪えきれず最後の緩斜面で失速。

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世界を相手に戦ってきた野藤の冷静沈着な攻めの姿勢に軍配があがりガッツポーズの勝利を勝ち取った。

2日続けての逆転劇の野藤劇場。大会誘致から運営企画まで全てをこなし最後は久々の優勝で華を添える宮武と劇的なファイナルで盛り上がりを魅せたBLACK PEARL Cup@Noboribetsu Sanlaiva DU。北海道スノーボード協会様や登別スキー連盟様の行き届いた運営の下、登別市をはじめとする宮武選手の熱い想いに賛同して頂いた地元登別の各スポンサー様のご協力のお陰をもちまして無事に幕を閉じることとなりました。地元関係者様に深く感謝をいたします。

AL次戦は本州に戻り、‪2月10日‬、黒姫高原スノーパークでの「9th CSBA on SNOWFESTA DU」ご期待ください!

All Photo : Gokatsu