MOSS×高鷲スノーパーク&ダイナランド。雪山、スノーリゾートがさらに楽しい場所であるように【後編】

岐阜エリア最大級のゲレンデ、高鷲スノーパークとダイナランドはパークやハーフパイプ、地形と、様々なフリースタイルを楽しむための作り込みが充実し、多くのスノーボーダーが訪れる人気リゾートだ。近年ではRを楽しむモンスターバンクスが登場し、新たなるフリースタイルのムーブメントを牽引。さらにMOSS SNOWBOARD、MOSS SNOWSTICKとのコラボレーション企画が随所でスタート。高鷲スノーパーク、ダイナランド共にスキー場とスノーボードブランドが協力して、スノーボーダーにとって、より楽しい場所であるために次々と積極的な取り組みがおこなわれている。それは金銭の絡んだタイアップ企画でなく、思いで繋がったタイアップ企画なのだという。なぜ、そのような企画がスタートしたのか、それを動かす思いとは何なのか?


moss×ダイナランド
コラボに込められた思い

コース自体の面白さをユーザーに伝えたいという思いからコラボがスタート
高鷲スノーパークで始まったMOSSとのコラボレーション企画はお隣ダイナランドへも派生していく。
ダイナランドのある岐阜県奥美濃の高鷲エリアは「コンビニの数よりもスキー場の数が多い」とまで言われるスキー場の過密エリア。そんな群雄割拠のスキー場地帯において、いかに「ダイナランド」を選んでもらうか。これがダイナランドの長年の課題だった。広大なゲレンデ面積とロングコースを持つ高鷲スノーパークや充実したパークエリアが人気の鷲ヶ岳スキー場。そんな強力なライバルたちに負けないダイナランドの魅力を再度考え直したどり着いた答えは「純粋なコース自体の持つ面白さ」だった。シチュエーションの全く異なる5か所のツリーランエリア、起伏に富んだロングコースに抜群のコンディションを誇るナイター営業など、コース自体の魅力は他のスキー場と比べても十分に誇れるもので、その魅力を知ってもらいたいと考えていた。そんな時にMOSSとのコラボレーション企画の話がわきあがる。フリーランを中心とした自然体に近いスタイルと自然の地形や雪の味わいを求めるイメージを持つMOSSとのコラボは、ダイナランドの持つコースの面白さをユーザーに伝えるのにぴったりだった。

最長2,800mの距離を朝日を迎えながら滑れる『アサダイナ(土日祝日のみAM6:00~)』さらにナイター営業『ヨルダイナ(〜23時まで)』もダイナランドの特別な魅力のひとつ
写真 / MOSS SNOWSTICK RIDER 内田 利法

互いの得意分野を提案しながら満足度の高い現場を作っていく
実施したコラボ企画は2つ。MOSS SNOWSTICKのフラッグシップモデルをレンタルできる「MOSSデモセンター」。そして、MOSSと協力しながら作り上げたプレイフィールド「DYNALAND BANKS powerd by MOSS」だ。
「MOSSデモセンター」は今シーズンからスタートした企画で、MOSS SNOWSTICKの板に実際に触れ、MOSSの板が持つフリーランを軸に自然体に近いライディングを楽しむという感覚を、ダイナランドの多様なコースで確認してもらう。滑る楽しさを再確認できる試みだ。

今年から開設されたMOSSレンタルデモセンター。 ダイナバンクスや地形を活かしてフリーライディングができるようになっているゲレンデにフィットするSNOWSTICKのラインアップが楽しめる(初年度はレンタルして正規ディーラーで注文予約するとMOSSからティーシャツプレゼントがもらえる特典付き)
売店内にはMOSSファミリーでもある水彩画アーティスト『田口悦子 Etsu.』とのコラボラッピングが施されている。ラッピングはPIONEERMOSS 50th用に書き下ろしたデザイン。この原画は ”高鷲スノーパーク山頂<TAKASU TERRACE>” 店内に展示中。さらには<特別コラボメニュー ”スノーサーフサンド” >にも展開中
レストハウスの通路にもコラボをイメージした巨大ポスターが飾られ、どこに行ってもMOSSのイメージを感じられる

「DYNALAND BANKS powerd by MOSS」は2シーズン前から登場したコースで、1つのコースの中に面白さを詰め込むというコンセプトで造設。近年のフリーライディング人気もあり、ユーザーのニーズに合わせたコース造りを実現するためにタッグを組んだ。MOSSのフィーリングと理念に基づくコース造りに対する意見を形にするためダイナランドスタッフの技術と経験が発揮され実現した。

さらに、ゲレンデのコース作りの相互協力だけではなく、ライディングイベントや試乗会などを通じて滑り方、遊び方を提案してリードしていく取り組みも行われている。

初年度にバンクイベントが開催された
現場でのMOSSライダーによる滑り方・遊び方の提案は、滑る楽しさをユーザーが感じとれる最良の方法なのかもしれない。今季は<PIONEERMOSS創立50周年記念>記念イベントが行われる

パークやバンクなどのアイテムに限らず、コースにおいても少しずつ「違う景色」を楽しんでもらえるように工夫を続けている。ここ数年でツリーランエリアは2箇所増え、安定した雪を提供できるように人工降雪機を今期造設。さらに、オフシーズンの間に地形を調節し、コースからコースへの接続、圧雪域からツリーランエリアへの入り口、ターン弧を確保するためのコース幅など、自然な流れの中でコースを満喫できるようなコース造成や間伐を行っている。

今年で3年目となる<ダイナランドバンクスpowerd by MOSS>。通常オープンであればナイター滑走時間でも楽しめるバンクコース
オフシーズンから小雪の対策の為に土盛りから整備し、万全の状態を整えている
(写真奥)ゲレンデのコース作りや現場責任者を務める後藤氏。(写真手前)現場のサポートと、売店やレンタル関係を取り仕切っている冨永氏

高鷲スノーパークと同様に、このコラボレーションにはユーザーに対する「純粋に滑る楽しさを感じてもらいたい」という思いが根底にある。そのためにスキー場はあくなき努力を続け、MOSSは自分たちの持ち続けてきた理念を惜しみなく提供する。こういった思いが重なって、我々はどんな天候でもコンディションでも、その日1日を満足して、さらには今後のスノーボードライフをより楽しむためのヒントを得られるのだろう。

ダイナランドの広報を担当している平田氏。MOSSとのコラボレーションやダイナランドの魅力を知り尽くし、広くユーザーに伝えている

今後もダイナランドは、西日本最大級のBIGゲレンデというキャッチフレーズのその裏で「分かる人だけがちょっとだけニヤリとする」ような仕掛けを雪にまぶしていく。利さやお手軽さが取りざたされている中で、本来目指すべき「コースの面白さ」をきちんと追及する、そんなスキー場であり続ける。


高鷲スノーパーク&ダイナランドとのコラボレーション企画の発起人の1人でありMOSSの窓口でもある岡村氏は、自分の育った高鷲スノーパーク・ダイナランドでMOSSライダーとライディングセッションなども行っている。動画ではMOSSの散策ボードの展示会や試乗会などの様子がまとめられている

動画は2019年撮影の「パイオニアモス WEST TRIP」


岡村庸平
1980年4月11日生まれ。1999年からスノーボードを始め、2006年にプロへと昇格。アマチュア時代から高鷲にこもり、尾瀬戸倉のパークプロデューサーになるまで長くを高鷲を軸に活動。高鷲への熱い想いを持ち続け、MOSSに就職後、コラボレーション企画を実現させる。現在はスノーボードメーカー、パイオニアモス社で営業開発を行う。プロライダー時代はハイカスケードキャンプのディガースタッフやNPOアスリート環境活動の役員など、様々な経験を積んでいる。

スノーボード歴:1999年~現在
公式リザルト:2006年 PSA南郷アルビレックスカップ準優勝(プロ資格獲得)
MOSSライダー歴:2003年~2013年
MOSS社員・営業開発:2013年~現在

ディガー経歴
2003年~2008年 ハイカジャパン・ハイケスケードキャンプ(USA)ディガースタッフ
2009年~2010年 高鷲スノーパークハーフパイプエリアプロデューサー
2010年~2013年 AREA51s尾瀬戸倉雪番長パークプロデューサー

NPOアスリート環境活動
2007年~2010年 NPO役員として『名古屋久屋大通公園アースリートフェスタ』開催 役員・選手・ディガー兼任


MOSS×高鷲スノーパーク&ダイナランド。雪山、スノーリゾートがさらに楽しい場所であるように【前編】 はコチラ