18.19 PSA ASIA Snowboard Pro Tour
Round 4
『GSS presents Sanada Juyushi CUP 2019
Duel Slalom』
長野県 「菅平パインビークスキー場」
暖冬の為、キャンセルになったAL初戦から1週遅れ、菅平へ向け選手が集結する。木曜まで降り続いた雪雲も東へ抜けコンディションも整い待望の初戦に向け着々と準備がとりおこなわれる。
右手より暁を浴びる四阿が鮮やかに染め静かに号砲を待つ。
菅平グランプリコース。全長350m最大斜度26°、23旗門、ブラックとオレンジの旗が映える。スタート直後から14mのインターバルで振り込まれたゲートは斜面中腹より振幅を整え右へ垂れたバナナへと吸い込まれゴール手前の緩斜面へ繋ぐ。昨年の王者、川口を欠く男子勢は、戸田がレッド、河島がグリーン、小嶋がブルービブを纏い、現地エントリーの野藤が最後尾付近からのスタート。イエロービブが眩しい宮武に続くレッドの志鷹、グリーンの勇上、越坂がブルーのビブをはおる。数々の名場面を産んだ馴染みのコースへと各選手がコースを丹念にチェックしてゆく。
女子1本目、コースへと躍り出る1組目の宮武と志鷹、居並んでコースを駆け降りる。対となり舞うかの如くシンクロしたエッジがゲートを捉える。起伏の大きいレッドコースが僅かにタイミングを狂わし時間を削りにかかる。レッドコース宮武(SIG-NATURE)36.11に対しブルーコースの志鷹(OGASAKA)35.22で火蓋が落とされる。
続く2組目、勇上(SG)37.72、越坂(笑顔スポーツ学園)35.42。3組目、三塚(AMICSS)38.87、吉井(BLACKPEARL)36.52とコースの左右差がタイムに影響を与える。
男子1本目、1組目ブルーコース単走の戸田(UPZ)が32.89、2組目レッドコースの河島(AMICSS)も32.89、河島に食らいつく小嶋([SN])33.46と目安のタイムを刻む。3組目からの今井(VOLTAGE)が32.38の快走でラップを更新すると直後の澤井(KESSLER)33.35、成田(AMICSS)33.92。かたやレッドコース上位陣が崩れる中、6組目からの黒木(MOSSFLUX)が34.68、8組目ブルーコースから清水が快走し33.17と河島に迫る。12組目の翠川(OGASAKAALC)が35.11とレッドコースの各選手が苦戦する。17組目後方よりブルーコースの白川(YONEX)が33.40と好位置を奪取。最後尾よりスタートをきる野藤があっさりとラップを更新、31.65と他を圧倒するタイムを出し2本目をむかえる。
既にレッドコースの痛みは激しく深くあいた穴が地雷となり選手を陥れる。まだ痛みの激しくないブルーコース、左右差が予選を混沌とさせ、KOへの生き残りに明暗を分ける。
予選2本目、女子は同じオーダーでコースを入れ替えスタート、レッドコースを上手く攻略する志鷹が37.50、ブルー宮武37.75。続いて越坂が38.36で宮武を躱し2番手に浮上、勇上が39.60。三塚が41.80と隙を作ると、後続より植野、本田(MOSS)、金澤が40秒台を出しグリッドの隙間を埋めてゆく。
男子に移り1組目の野藤、河島からスタート、快調に飛ばす両者、しかしながらレッドの野藤がコースに捕まる。快走の河島33.01に対し遅れた野藤34.95。合計タイムで河島65.90、野藤66.60。
続く今井もコースに捕らわれ35.58で野藤の後ろへ、清水33.04と、野藤を躱し河島の背後につける。続く戸田がレッドコースを攻略、並走する平林を背に従え32.96と2本を揃え、河島を躱しトップに躍り出る。平林も34.22の好タイムで今井を躱す。レッドコースでは澤井35.39、白川34.96と苦しみながらグリッドを確保、ブルーコースから黒木35.81、青山、35.63、富田(OGASAKA)35.54、長友35.89(AMICSSsmow)とKOに名乗りを挙げた。
KO前のコース整備でレッドコースの荒れも幾分か解消されたようにも見えるが、一度傷んだコースの崩れは時間の問題か。KO1回戦、落ち着いた滑りで上位陣が、順当に予選格下相手を下し勝上がりを決めてゆく。
1/4Fainal
#8 三塚(AMICSS) vs #1 志鷹(OGASAKA)
#5 勇上(SG) vs #4 植野
#6 本多(MOSS) vs #3 宮武(SIG-NATURE)
#7 金澤 vs #2 越坂(笑顔スポーツ学園)
男子
#1 戸田(UPZ) vs #8 澤井(KESSLER)
#5 平林 vs #4 野藤
#3 清水 vs #6 今井(VOLTAGE)
#7 白川(YONEX) vs #2 河島(AMICSS)
志鷹、勇上、宮武が相手を引き離し勝ち上がる。予選2位の越坂は自滅、金澤を次の舞台へおくった。
男子は既に半数が篩に落とされ精鋭の対戦となっきた。1本目レッドを駆る澤井が僅差で喰らえつくも、レッドを攻略した戸田の滑りが上回り順当に勝ち上がる。レッドに再度捕まる野藤が平林の後塵を浴びるもブルーコースを落ち着いて処理し勝機を取り戻す。KO、掘れに相性の良い今井が登り調子、2本を確実に取り駒を進める。河島も1本目のレッドコースから対する白川を引き離し危なげなくセミファイナルへ勝ち上がった。
SemiFainal。更にえぐれるレッドコース、バナナばかりか前後のヒールサイドの掘れが2段3段と深みを増し、比例してブルーコースも荒れが目立つ。陽も傾きブルーコース中腹から左へと影が染みてゆき刻々と表情を変えてゆく。
セミファイナル志鷹vs勇上。レッドの志鷹がスタート直後から引き離しにかかるがバナナ手前のヒールサイドで毒牙にかかり失速。そのまま後れを取り戻すことなく、勇上が志鷹を下した。予選から通して落ち着きを払う滑りの宮武、金澤を取り残し予定通りの決勝を迎える。
2度の篩をかけ4名の精鋭が肉薄する。選手の力量の他、左右差のコースによる因子は如何ばかりか。先にレッドで競り合えば勝算はでかい。
野藤vs戸田、先にレッドを駆る野藤、此処までのミスを修正し軌道を変え戸田と並び斜面を下る。両者譲らず0.25で折返し、レッドを果敢に攻める戸田を抑え野藤が制した。
今井vs河島、グーフィーの今井が陰り始めたブルーコースのヒールサイドでスプレーを上げながら河島の背を追い0.28と喰らえつくも、2本目、今井の追撃を退け河島が決勝へ向かった。
3位決定戦は、志鷹が金澤を押さえ込み。1本目競った今井を2本目で突き放した戸田が弑した。
決勝。宮武の安定した滑りは勇上相手に動じない。隙を見せずブレのないフォームが確実に雪面をゲートを捉える。1ターンごと着実に水を開け勇上の追従を許さず、1日通して堅調な板捌きが、昨年、登別大会からのDU連勝を積むこととなった。
Women Result
優勝 宮武 祥子 (SIG-NATURE)
2位 勇上 華子 (SG)
3位 志鷹 あかり (OGASAKA)
先にレッドを駆る河島、胸を貸す野藤は肩越しに河島を警戒する。レギュラー、グーフィー両者背を向け同時にコースへ躍り出る。昨年の登別大会を彷彿させる決勝。出だしから直ぐ様、回転数を上げ短く攻める河島に対し、ワイドにラインを取り仕掛けるタイミングを計るかのように接敵する野藤。縦に繋ぐ河島が5旗門ほどで既に身体一つ前に出、野藤の視野を侵食する。冷静に事を運ぶ野藤の前で、河島のボードが悲鳴を上げる。ヒールサイドで詰り流れを失いかけるもすぐさま立て直し戦線に戻る。野藤の視界から消え去る事無く耐えて走る河島。刹那、流れ出そうとするトウサイドを、乱れを最小限に冷静に立て直し河島に並ぶ野藤。再度、堪らず破綻する河島のヒールサイドは2度と速度を取り戻すことなく消沈する。
1.89秒のビハインドは大きい。後方からの2本目の追撃虚しく届かず、崩れぬ野藤は貯金を残し河島を退し見事な3勝目をあげた。
Men Result
優勝 野藤 優貴
2位 河島 広輔 (AMICCS)
3位 戸田 大也 (UPZ)
4位 今井 凌 (VOLTAGE)
5位 清水 大智
6位 平林 龍人
堅調なトップ陣の戦いは激しく、高いレベルでの見応えのある戦いが繰り広げられた一方、若手の成長も垣間見え、新たな時代を予感させられるレースとなりました。新規参入メンバー、若手の活躍が良い作用をもたらし更に熱い凌ぎあいが、レースを混沌と面白くさせてくれることでしょう。
連戦に向け各自、思い思いに帳へと就く。明日は舞台をチャンピオンコースに移してのGS。GSS presents Sanada Juyushi CUP 2019 GS でも更なるハイスピードバトルが展開されることでしょう。ご期待ください。
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菅平パインビークスキー場:https://pinebeak.jp
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