<前編>では、スノーボードを始めてからストリートを滑るようになった経緯、10年間向き合ってきたストリートの魅力を探った。後編はアーティストとしての活動やDirty Pimpの活動、日本のガールズシーンをどう感じているかなどを聞いていく。
Edit+Text: Rie Watanabe
*こちらの記事は、「STAY HOME」スペシャルコンテンツとして、FREERUN本誌 2020年2月号(1月27発売)掲載インタビュー記事を特別公開しています。
DRAW FOR SOMEONE
自分の好きなものだけを描いていたけど
見てくれる人に届けるために描く喜びに、スノーボードを通して気づきました
-ここ数年は絵で表現する場も増えているね。
そうですね。母が美術の先生で家に画材があるような環境で、小さい頃から一緒に花を描きに行ったり、カップやリースなど気になったものを模写していました。他にも動物や癒されるものが好きで描いたり…。造形大学へ行きずっと趣味でやっていたのですが、『Dirty Pimp』のデザインディレクションを担当したことで、そういった面も知ってもらえるように。ありがたいことに専門誌の挿絵やスポンサードして頂いているブランドともお仕事をさせて頂けるようになりました。 来季はDEELUXEとのコラボも決まったり、UNIONとのコラボも3シーズン目となり、本当に嬉しいです。実は今回のインタビューページのノンブルアートも制作させてもらいました。
-ストリートもイラストもすべてスノーボードを通して活動の幅が広がっていったんだね。
はい! 私はもともと自分の世界に入って、スキルを磨いたり、自分だけで楽しんだり… 、自分の中だけですべてを完結していて、そういうことに気持ち良さを感じていたんです。だけど今は、それを見て誰かが喜んでくれたり、見てくれた人にとって何かしらのモチベーションになっているのが嬉しいんです。それが自分のためにもなって、人のためになっているって気づかせてくれたのがスノーボードなんです。スノーボードで出会った人たちを通して、活動の幅が広がっていったことが私にとってはすごく大きなことですね。軽い気持ちで始めたスノーボードだけど、なかったら本当に寂しい人生だったはず。だから、私はスノーボードを通してめちゃくちゃ大切なことに気づかされたと思っています。
-SNSなどを見ているとスノーボードのスタイルとギャップがあるかわいいイラストも多いよね?
私は可愛らしいのが大好きなんです。動物やモチーフ、ポケモンからカービィなどキャラクターも。だけど、自分自身は見ている人からカッコいいって思われたいのでそのギャップが自分でも把握しきれていないかも(笑)。
-アーティスト活動とスノーボードの両立はうまくできている?
本当は描くことに没頭したいんですが、あれもこれも、スノーボードの練習もしなきゃってなるとけっこう意識が分散しちゃって両立がうまくできないんです。今はそれが課題なので時間の使い方を練習しています。
-アーティストとしては今後はどういうことがやりたいの?
まだ漠然としていますが前にも話したとおり、自分の作品を通してそれを見てもらって、何かを感じてもらいたいんです。私は小さい頃から不安を感じやすいタイプだったから、自分の描いたもので同じような人たちの心を癒すことができたらなと思っています。描きたい世界観はとことん描きつつ、デザインに関してはより多くの人に届けるというのを意識して活動したいって思っています。
LEAD TO ONE
スノーボードを続けてきて
すべての流れが一本に繋がった
-中心ライダーでもありデザインのディレクションも手がける『Dirty Pimp』ではこれからどんなことをやっていくの?
まだ決定しているわけではないですが、Dirty Pimpとの企画とは別でメディアとして発信できるように準備していきたいと思っています。『Dirty Pimp』はビデオクルーで、時と場合によって飛び入りで参加するライダーがいたり、シーズンによってメンバーの変更などはあるけど、基本的に固定的な少人数のメンバーがメインなので、イケてると思えるライダーと、より積極的に絡んでいけたらなと思っています。ディレクターはDPで私はあくまでデザイン担当ですが…(笑)。魅力的なライダーがいても、知ってもらえる機会や知る手段さえないことはやっぱりもったいないですよね。だから、埋もれちゃっている原石のようなイケてるライダーたちが自由に表現できて、なおかつたくさんの人に知ってもらえる場所を作りたいんです。それはDVDじゃなくても紙やWEBでもいいと思っています。
-日本のガールズシーンについて何か思うことはある?
よく聞かれるのですが、私は頑張っている女の子たちが好きだから、コンペシーンでも映像でも、どのシーンもリスペクトしています。だからいろいろな形があっていいと思っています。その中で私はシーンを問わずいいバイブスを与えられる存在になっていきたいです。
-今回のインタビューでは今の自身の活動はスノーボードを通してすべて繋がっているっていうのをすごく感じたよ。
本当にそうなんです。何度も言っていますが、私は自分のライディングやアートなど発信するもので人の心を動かしたい!っていうのをいつも大事に思っています。スノーボードを通してストリートに出会い、どんなに辛くても10年続けてきて、今では国内外たくさんの人に自分のライディングを見てもらえるようになり、何かを感じてもらえているかな…って思えるように。スノーボードの活動を通してたくさんの関係者や仲間と出会い、小さい頃からずっとやっていたアートの活動も始まり、造形大学を卒業してしばらくは趣味になっていたけど、やってきたことがきちんと一本の線になりました。パークに興味を持ち始めてから憧れだったベアマウンテンのパーク映像だって、今では自分たちで撮影して発信できるように…。スノーボードをやっていたからこそ、全部の流れがうまく繋がったって思えるんです。だから、好きになったこと、夢中になったことをずっと続けてきてよかったと思えるし、今何か進む道に悩んでいる人がいたら、自分の心が選んだ道を続けていれば、すべてが繋がっていくっていうことも、決断するきっかけになれば嬉しいですね。
-最後に今後はどんな活動をしていきたい?
今はこの流れに任せつつ活動できればと思っています。表現していくというベースは変えず、アートの活動も広げていくために成長したいし、スノーボードでもいろいろな発信方法を考えたいですね。様々な表現方法を使い、癒しが必要な人には癒しを、モチベーションを上げたい人には高いモチベーションを! それを必要としている人たちにきっと届くということを信じて、自分らしく表現し続けたいですね。
『Dirty Pimp』フィルマーのDPから見たライダー34
34とは10年ぐらい一緒に動いているけど、ここまで負けず嫌いで気合いがあるガールズライダーは日本にはいないと思います。ストリートの最前線でやりながらもコンテストでも魅せ、パークでもいろんなトリックを表現している。好きなことだけをするんじゃなくて、彼女はいろんな事を考えながらも滑りに集中してスキルを磨いてきた、男女関係なく理想のライダー像の1人です。最近は国内外でスタイリッシュな滑りをするライダーと認識もされ、たくさん応援されているのを見て、俺もここまでやってきてよかったという気持ちです。
34 Miyon
1986年8月5日生まれ。福岡県福岡市出身。ムービークルー『Dirty Pimp』の中心ライダーであり、編集からアートディレクションまで担当。ムービー出演やコンテストでの活躍をキッカケに国内外で徐々に認知度が高まり、ストリートシーンで絶大な人気を誇る。造形大学出身のアーティストでもあり、雑誌の挿絵やスノーボードブランドとのコラボなど、その活動は多岐に渡る。
スポンサー: CAPiTA, DIMITO, UNION, DEELUXE, COAL, OAKLEY, RIKKA FEEMME
Go My Way.
– 3 4 M I Y O N I N T E R V I E W – END.
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STAY HOME特別コンテンツとして配信してきた「Go May Way.」はこの記事でひとまず終了します。ですが、まだまだ我慢の時期は続きます。皆さんに楽しんでもらえるようなコンテンツをこれからもアップしていきますので、みんなで家にいることを楽しみながら、困難を乗り越えていきましょう!