Burtonが開発したスノーボードの快適さをより高めてくれる最新の足回りシステム「Step On®︎」。市場に初登場して以来、5シーズン目を迎えて製品はさらに洗練され、ラインナップの幅も広がった。
「いつものストラップタイプからそろそろStep On®︎に変えてみようか」と思っている人も多いことだろう。そこで今回、Burtonの足回りを熟知しているショップの方々にご自身の体験談も伺いながら、Step On®︎とストラップタイプ、選択のポイントについて聞いてみた。
ぜひ、今シーズンの足回り選びの参考にして欲しい。
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VOLCOM STORE SENDAI(宮城)
https://www.facebook.com/VolcomSendai/
店長
高橋聖一さん(Seiichi Takahashi)
<僕が使うのは?>
ゲレンデではStep On®の使用率が高いけど本気のときは……
昨シーズンからなんですけど、ゲレンデを滑るときはほとんどStep On®を使うようになりました。キッカケは、お店の看板女将(降旗)ユキちゃんが前から愛用してるのを近くで見てきたし、一緒に滑りに行くとユキちゃんがリフトを降りて、ガチン、バーッ、って先に行っちゃう姿を見て羨ましく思う自分がいて(笑)。ただ、僕のなかで「Step On®、本当に大丈夫なの?」って信用してない部分もありました。でも、実際に使い始めると、そこまで違和感もなくてノンストレスだし、サーフライクにもスケートライクにも遊べる。「全然Step On®でいいじゃん」って(笑)。僕はStep On®だとやわらかい足回りが好きで、バインディングはノーマルタイプ、ブーツはSWATHを履いてました。今シーズンからブーツはシューレースでフレックスもさらにやわらかいKENDOが出るのでそれと、バインディングも今シーズンからリリースされるGENESISのStep On®を使う予定です。昨シーズン、ベル(吉村成史)さんがKENDOを使用されていたのを見て調子よさそうだったのと、SWATHでも僕には少し硬く感じてたところもあったし、実際に試着したときのフィーリングもよかったから。
ただ、今も自分の滑りと向き合いたいときはStep On®じゃなくて、ストラップタイプのCARTEL XのEST、そしてION LEATHERのコンビを使ってるんです。そこまで気になるレベルじゃないかもしれないけど、たとえ2段階目まで留めたとしてもStep On®はカカトが少しだけ浮くような感覚があって……。なので、より繊細な動きをしたいときは、やっぱりストラップタイプを選んじゃいますね。バンクドスラロームもStep On®だと少し不安なんでストラップタイプで出場してました。あとはパウダーですね。スタート地点の雪が踏み固められているとStep On®でもいいんですけど、僕たちがバックカントリーに行くと、あちこち歩き回ったりトラバースするときに何度も付け外しをするから、そのときに雪が詰まってると装着しづらいんです。それで焦っちゃうのも嫌なのでStep On®は避けるようにしてますね。ストラップタイプのときに足回りを硬くしてる理由ですか? それは、乗ってるボードがちょっとやわらめなので、その分、足回りは硬くしてるっていうか……僕たちは鳥海山によく行くんですけど、大きな斜面を攻めるときはしっかりした足回りのほうが安心して突っ込めますからね。昨シーズンから使い始めたCARTEL Xは、ちょっとハイバックが硬いかもって感じでしたが反応はかなりクイックだし安心してカカトに乗れました。全然ストレスがなくて、ライダーたちから好評な理由がわかった気がします。
そんな感じで今シーズンも昨シーズン同様にストラップタイプとStep On®を使い分けて僕は滑ると思います。
<お店での反応は?>
すでに半数の方がStep On®を使われています
Step On®自体も進化しているしラインナップも増えているから、ウチのお店でも年々Step On®に興味のある方は増加してます。おかげさまで今シーズンもけっこう予約をいただいていて、ウチだと足回りのギアの半分くらいはStep On®という感じなんです。ただ、僕と同じようにストラップタイプとStep On®を使い分けされている方もいらっしゃいますし、ハーフパイプを本気でやってる子、大きいキッカーを飛びたい人たちは、今もしっかりしてるストラップタイプを選ばれる方が多いです。あと、パウダーやバックカントリーを好まれる方もStep On®を選ばれないですね。やっぱり雪が詰まっちゃうデメリットがあるから。Step On®に慣れてコツをつかめば、パウダーでもハメられるとは思うんですけど、本当にドン深で手をついても奥深くまで埋まっちゃうときはStep On®だとガチッとハマりづらくて。ストラップタイプだととりあえず軽く留めただけでも少しは進めるじゃないですか。それがStep On®だとできないんです。そういった理由からパウダー好きの方もStep On®を避けられてるかもしれないですね。
それでもStep On®はやっぱりメリットが多くて、特にキッズとビギナーさんにはオススメしています。いちいち座る必要もないし、あのラチェットをカチカチする作業がないのは大きいと思うから。そういった意味でも、ちょっとお腹が出てきた中年の方にもガンガン推してますね(笑)。あとはパパさん&ママさん。子供に教えるときに、あの装着のラクさはやっぱりいいですよね。そうそう、ウチではStep On®を使うか悩まれている方に、「滑る本数が増えるよ」とも言ってます。スケーティングしながらピョンって感じで装着が終わるじゃないですか。それを1日に換算すると、けっこうな本数の違いになると思うんですよね。今までストラップタイプの足回りを愛用されてきた方は、「外れるんでしょ?」「硬いんでしょ?」ってまだ信用されてない人もいらっしゃいます。ただ、ウチは競技をガッチリやってる人よりも、どちらかというとエンジョイで滑ってる方が多くて、一度Step On®にされるとストラップタイプに戻されることもなく、そのまま使用され続けている方ばかり。悪いイメージも聞いたことはありません。
<今季使用予定ギア>
【ストラップタイプ】
バインディング: BURTON_MEN’S CARTEL X EST®
ブーツ:BURTON_MEN’S ION LEATHER
【Step On®】
バインディング: BURTON_MEN’S Step On® GENESIS
ブーツ: BURTON_MEN’S KENDO Step On®
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SEAMORE(北海道)
https://www.seamore.store
店長
木村 亘さん(Wataru Kimura)
<僕が使うのは?>
不満を上回るメリットがあるからStep On®を使ってます
まる2シーズン、僕はStep On®を使ってます。過去にSHIMANOやYONEXのステップインを使ったこともありますが、それに比べると足裏感覚はフリーソールのブーツと変わらないし、レスポンスもストラップタイプのバインディングと同レベルだし、今まで違和感を覚えたことはありません。ただ、パウダーでも大丈夫って言われるけど、正直なところ履きづらいです。北海道のパウダーではちょっと……って感じですね。あと、足首をやわらかく使いたくて2ピース構造になってるSWATHを履いてますが、ツマ先がけっこう細くて……。僕の足がやや幅広タイプっていうのもあると思うけど、人間の足で一番幅のある場所って小指の付け根の少し下あたりじゃないですか。そこにStep On®の金具があって痛かったんですよね。だけど、このブーツをどうしても履きたかったので、以前に使用してた別ブランドのブーツのインナーを引っ張り出して入れ替えたんです。そうしたら痛みは解消されました。そうまでして僕がStep On®を使う理由は、キッズスクールでのラクさ。同じ1時間のスクールでも中身が全然濃くなるんですよ。レッスン中にパンッって外して子供の身体に触りながら教えられますからね。ストラップタイプだと説明してから実際に滑って見本を見せるまでに1分近くかかってたのが、ほぼゼロ。もう抜け出せないと思います(笑)。
今シーズンはバインディングが通常のStep On®で、ブーツはSWATHかKENDOのどちらかで悩んでいるところです。今シーズンから発売されるKENDOはヒモで微調整できるからよさそうで。ただ、SWATHで感じた痛みがないか心配ではありますけどね(苦笑)。Step On®で唯一のアジアンフィットがあるPHOTONを使わない理由ですか? ちょっと硬いしストラップがついてて重いからですね。僕は、あそこまで頑丈じゃなくていいと思うし、ストラップもいらないと思ってて。それに僕は子供たちの競技に同行することが多く、そうなると会場を歩き回ることも多々あるんです。そのときにダブルBOA®がやっぱりラクなんですよ。リラックスしたいときはスネ部分のBOA®を解除すれば歩きやすいし、滑るときもすぐに締められますからね。
<お店での反応は?>
キッズこそStep On®を使ってもらいたいです
現在、ウチのキッズスクールは50人くらいの小学生がいるんですけど、その1/3以上はStep On®を使っています。ウチのキッズスクールが1時間のレッスンで以前よりも内容が濃くなったと思うのは、僕だけじゃなくて子供がStep On®を使っているのが大きいです。子供がスノーボードを嫌いになる理由のひとつに、ボードを装着するあの面倒な動作があったりすると思うんですが、Step On®だとそのストレスがないし、バインディングの装着方法を教えなくてよくなった分、他のことに時間を使えますからね。だから、キッズ、あとは初心者の方にこそStep On®は使ってもらいたい。本当にそう思います。
でも、ストラップタイプのバインディングでしか出せない絶妙なねじれを活かしたスタイル、そういったことを意識したい方はStep On®じゃないほうがいいと思います。より足首の自由度は高いと思うので。あとはコンテスト志向の人たち。Step On®をハードに使い込むと、ツマ先の両サイドにある留め具に遊びが出てくるんです。ちょっとずつですけどね。そういったところが気になる人は、ストラップでカッチリと留められるバインディングのほうがいいと思います。……とはいえ、最近ではStep On®でハーフパイプの競技に出場している選手もいるんですよ。かなり進化しているってことですよね。
あと、すでに使われる皆さんが言われるかと思うんですが、トゥの留め具の部分、ハイスピードを出したときにカタカタと音が鳴るんですよ。いくら外れないから大丈夫って言われても、やっぱりあれは気持ちが悪いですよね。でも、そこが今季の大人モデルに関しては改良されて音が鳴らなくなったみたいです。まだ試乗してないので聞いた話なんですけどね。で、それを改良したらブーツを外すときもスポーンって抜けるようになったそうです。以前はカカトのレバーをリリースしてツマ先に抜くとき、こねくりまわさないといけないときもあったけど、それがすごいスムースになったって。まだ今シーズンのキッズ用には反映されてないから、来シーズンあたりからキッズ用にも採用されればいいなって思います。
<今季使用ギア>
バインディング: BURTON_MEN’S Step On® RE:FLEX
ブーツ: BURTON_MEN’S KENDO Step On®
もしくは、BURTON_MEN’S SWATH Step On®
<Navigator-3>
SHIFT(千葉)
http://www.shift-tuning.com
店長
佐竹秀章さん(Hideaki Satake)
<僕が使うのは?>
Step On®︎はすごく楽なので活用しつつも、
ストラップのGENESISとIONのセットでいくシチュエーションもありますね
Step On®︎はとにかく楽に滑ることができる。バインディングを立ったまま装着できるから、腰をかがめて低い姿勢をとる必要もない。だから体への負担がすごく少ない。そしてホールド感もしっかりあるので、反応が良いので効率よく力を使ってターンしていけるというところが気に入って使っています。ライディングの精度っていうのかな、今まで登場してきたステップインという種類のシステムよりも圧倒的にパフォーマンスは高く、ストラップバインの乗り味にかなり近いところにあると思います。自分はスタンダードタイプのStep On®︎のバインディングとラインナップの中ではしっかりしたホールド感のあるIONのブーツをセットして使っています。ただ、特徴としてしっかりとロックされる感じはあるので、そのフィーリングは圧雪バーンでのカービング、フリーライディングというところにより適しているかなと感じます。先シーズンはじめからStep On®︎を使っていて、自分はそんなにパークをガンガンいくってことではないですが、10mぐらいのミドルのキッカーに入ったりしてましたが、全く問題なく使ってましたよ。みんなと滑るの時なんかは、滑るペースに余裕ができるところはすごくいいと思います。とにかく便利で楽というのは圧倒的なメリットです。また、Step On®︎でゲレンデ脇のサイドカントリーなども滑ります。ですが、雪山を十分に滑り慣れてきて、結構深くてパウダーエリア、斜度が安定していなくて途中緩くてハマってしまいそうなところで、バインディング着脱するシチュエーションが予測できる時にはストラップバインのGENESISにIONのセットで滑っています。実際にハマって困ったという経験まではないんですが、やはりパウダーの中でStep On®︎の着脱動作はまだ不安があるので万が一のリスクを避けたいということもあって使い分けている感じです。また、滑り込んで足腰も十分に慣れてきて、地形を攻めて3D系の滑りというか、壁を使って自由に楽しむということをメインに考える時はストラップタイプを使っています。もちろんStep On®︎でもいけるんですが、ストラップタイプの方がバインディング後部のフィットの感じが面に合わせていった時に気持ちいいんです。僕もStep On®︎はすごく気に入って使っていますが、より滑りの楽しさを味わうためにストラップタイプもシチュエーションに合わせて使い分けている感じですね。
<お店での反応は?>
カービングやフリーライディングがメインの人は、
IONやPHOTONとのセットでStep 0n®︎率増加中
自分はずっと25年くらい足回りはBURTONを愛用しています。ブーツはとにかくかかとのホールド性が抜群にいいと感じています。かかとが浮くことがないからしっかりとコントロールできる。そしてインナーが使い込んでもヘタリが少ないので寿命も長いということ。インナーとアウターのフィットのバランスもすごくいいと思います。また、ブーツのシルエットもスリムな感じながら、つま先の部分もキツすぎることなくバランスがとれている。だからバインディングもミニマムサイズでフィットさせることができる。もちろんバインディングも完成度が高く、ボードのフレックスを感じられるRE:FLEXという独自のシステムも乗りやすさに繋がっているところかなと思います。なのでお客さんにもそういう部分は伝えながら、自分とのフィット感も加味して選んでもらっています。うちのお客さんでStep On®︎を選ばれる方は、カービング、フリーライディングがメインでやはり楽に滑りたいという気持ちの人。かつてステップインを使った経験のある人も多いですね。「どこまでライディングした感じがストラップタイプのフィーリングに近いんだろう」という疑問を持っていらっる人もいるので、そのあたりの感覚を説明してStep On®︎をおすすめしています。うちのお店ではION、PHOTONといったしっかりとレスポンスがあるブーツでStep ON®︎を使われる人がメインです。そして中にはStep On®︎選ばれた方でもストラップタイプも所有していて、使い分けている人もいらっしゃいますね。最近は初級者でも使ってみたいという人も増えてきましたが、立ったままバインディングを装着できて、楽に滑れるという部分は十分上達にもプラスに働いてくれるかと思います。一方、フリースタイルをガンガンに攻める人はストラップタイプを選ぶ方が多いです。フリースタイルの動きでの足元の使いやすさ、またバインディングをギュッとしめて気合を入れていく感覚みたいなとこもストラップタイプならではの良さになっていますから。
【ストラップタイプ】
バインディング: BURTON_MEN’S GENESIS
ブーツ:BURTON_MEN’S ION
【Step On®】
バインディング: BURTON _ MEN’S Step On®︎ RE:FLEX
ブーツ: BURTON_MEN’S ION Step On®︎
Step On®️の優れたパフォーマンスは、スノーボーディングを今まで以上に快適なものにしてくれる可能性に溢れている。その快適さはあなたのライディングに「余裕」という大きなメリットを与えてくれるのも確かなことだ。
しかしながらこの記事を読んで感じてもらったようにストラップタイプがやはり良いという意見もあり、両方を使い分けるという方法も魅力的だ。
要はあなたがどのようなスタイルでライディングを楽しみたいか? 自分が乗りやすいと感じる足回りのフィーリングがどちらに合っているのか? そこからしっかりと答えを導き出して、ベストな足回りを選んで欲しい。
足回りのアップグレードは、きっと今シーズンのライディングの楽しさを大きく向上させてくれるはずだ。
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