Burtonは契約しているウーメンズライダーの契約内容を世界規模で変更。女性アスリートの妊娠中と出産後の活動をサポートするという変更内容は、日本のチームライダーである6名(今井胡桃、岩渕麗楽、大江光、藤森由香、降旗由紀、村瀬心椛)とバートンジャパン合同会社との契約にも反映されているという。
1年以上前、チームライダーであるキミー・ファサニは、コア(息子)の母親になると同時に、プロスノーボーダーしてのキャリアを継続していくという決断をした。先日、チューリッヒにウーメンズチームライダーが集まって行われたラウンドテーブルでは、女性の社会的地位や権限、アウトドア業界での状況、アスリートとしてのキャリアについて話し合いが行われた。彼女たちは、アスリートとして新たな道を切り開いたキミーと、彼女の妊娠と出産、その後のキャリアを不安に思わないように環境を整えたBurtonに敬意を表した。
ウーメンズラウンドテーブルに参加したBurtonのCMOであるサラ・クロケットは、チームライダーからの正直な気持ちに刺激を受けたという。そして帰国した翌日にNew York Timesに掲載された、陸上選手アリシア・モンタノの記事を読むとすぐに契約内容変更のアクションを起こしたのだ。
ウーメンズチームライダーの妊娠中と出産後における活動をサポートする契約項目は以下のとおり。
• Burtonは、妊娠を病状とは見なしません。
• Burtonは、妊娠や出産を理由に、基本報酬の一時的支払い停止や減額をすることはしません(24週間: 6ヶ月)。
• Burtonは、ライダーが妊娠した場合、契約上の義務における合理的配慮について話し合いをします。
• Burtonは、妊娠や出産を理由に契約解除することはしません。
• Burtonは、授乳期間中の移動に必要な付添人の航空券、または同等の費用を負担します。
サラはチームライダーに向けて以下のコメントを発表。
「私たちは全てのチームライダーを尊敬しています。そしてスノーボードに対する大きな貢献にも感謝しています。しかし、私たちの関係はそれ以上のものです。家族が増えることになっても、私たちの関係は変わりません。それこそが私たち、そしてみなさんにとっても最も重要なことなのです」。
バートンジャパン合同会社のゼネラルマネージャーである須川尚美は、「妊娠や出産により今まで培ってきたアスリートしての道を諦めるのではなく、家族を育む過程で今までと同じ、又はそれ以上のパーフォーマンスが発揮できるような環境を提供することは、男女が平等に活躍していくために重要なステップです。今回の契約内容の変更は、女性アスリートが自らのキャリアを不安に思うことなく妊娠と出産ができる環境をサポートする重要性を問うという、少子化が問題視されている今の日本社会に向けた大きなメッセージにもなっています。この問題にいち早く取り組み、契約を迅速に見直した共同CEOのドナ・カーペンターとサラを称賛し、女性アスリートの枠にとらわれない今後の活躍を応援します」と述べている。
冬季オリンピックに4大会連続で出場し、前回の平昌大会では女子ビッグエアで7位の成績を残している藤森由香は、「女性プロアスリートが直面する難しさのひとつとして、”キャリアと家庭”については悩む人も多いはずです。アスリートに限らず他の業界でも、この問題は人生に与える影響が大きいと最近では話題になっていると思います。ウーメンズチームライダーがチューリッヒに集まったラウンドテーブルに私も参加しました。デザインや開発の話の他に、ライダー活動についての悩み、キミーが子育てをしながら活動する姿に感銘を受けたことなどが話題に上がりました。ドナがこの問題に素早く対応し、私たちの契約書が変更されたことで、より長く安心してスノーボードを続けられる環境ができました。他の業界や競技の選手が、このような環境下で活躍できることを願っています」と今回の件についてコメントしている。