Beyond Medals『CEASE AND DESIST.』 ライディングと演出、その両立が際立つ最新作

Beyond Medalsの新作が公開された。それは単なるムービーリリースではなく、シーズンインを告げる合図のようなものだ。
毎年欠かさずフルレングスを世に送り出し、そのたびに「今、最も刺激的なスノーボーディングのカタチ」を映像として定義し直してきたクルー。その最新作が『CEASE AND DESIST.』である。

タイトルに込められた、Beyond Medalsらしい反骨とユーモア

本作のタイトルは、過去にBeyond Medalsが実際に受け取ったとされる“cease and desist letter(差し止め通知)”に由来するという。
その出来事を単なるゴシップで終わらせるのではなく、作品のコンセプトにまで昇華してしまう感覚こそ、彼らがシーンの中で特別な存在であり続ける理由だ。
冒頭に挿入されるファンタジー映画を想起させる演出は、その象徴的な一幕。
スノーボードムービーとしては異色でありながら、過剰にはなりすぎず、あくまで“滑りへと自然につなげる導入”として機能している。このバランス感覚の良さこそが、Beyond Medalsが長年培ってきたムービースタイルといえるだろう。


スタイルの違いを超越した作品としての統一感

出演ライダーは、Kevin Backstrom、Tor Lundstrom、Sebbe De Buck、Ludvig Billtoft、Ulrik Badertscher、Lolo Derminio、Nick Puenter、David Djite、Severin Van der Meer。
それぞれが異なるバックグラウンドと得意分野を持ちながら、作品全体としては驚くほど統一感がある。

ハイスピードなカービング、パークでのテクニカルな動き、ナチュラルヒットを使ったライン取り。
ジャンルの切り替えを強調しすぎることなく、“流れ”として見せていく編集は、ライディングの質そのものを際立たせるためのものだ。

単に「危険」「派手」といった方向に寄らず、各々のライダーがつぎつぎと魅せるスタイル・コントロール・雪山との向き合い方を丁寧に映している点に、Beyond Medalsの美学がはっきりと表れている。


ロケーションが語る、リアルな雪山の表情

撮影は、スイス・ラークス、日本、カナダ、アメリカ。ワールドワイドな展開でありながら、いわゆる観光的なスノーボードトリップの映像にとどまらない。日本でのディープパウダー、北米でのビッグマウンテン、ヨーロッパ特有の整ったピステ。それぞれの環境が持つリアリティを、そのままスノーボーディングの文脈として提示している。

過度な色補正や誇張された演出に頼らず、「その場所で、どう滑るか」を真正面から描く姿勢は、見る側の滑り手としての感覚を強く刺激する。


“今、このタイミングに観るべき理由”が、確かにある

『CEASE AND DESIST.』は、スノーボードムービーが持つエンターテインメント性と、カルチャーとしての深みを高次元で両立させた一本だ。

派手な仕掛けに目を奪われるのではなく、滑り、スタイル、編集、音、空気感。
それらすべてが噛み合ったときに生まれる心地よさが、この作品にはある。

Beyond Medalsが“いまのスノーボードシーンのど真ん中”にいる理由を、あらためて納得させてくれる内容と言っていいだろう。

これだけの大作。スマホの画面で終わらずに、ぜひ、デカい画面で楽しんで欲しい。


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