3度の五輪金メダリスト、ショーン・ホワイトが立ち上げた新リーグ「Snow League」。2024年に構想が発表され、2025年3月アスペン(USA)、2025年12月雲頂スノーパーク(中国)、2026年2月アスペン(USA)、そして2026年3月LAAX(スイス)と単発の大会ではなく、全4戦を通じたポイント争いで王者を決める“シリーズ戦”。その初年度を制したのが、日本の2人だったという事実は、今のハーフパイプシーンの勢力図を象徴している。

“勝ち続ける力”が証明されたシーズン
戸塚優斗は355ポイント、冨田せなは277ポイントで総合優勝。ともにシーズンを通してランキング上位を維持し続けた。
この結果が意味するのは、単なる一発の完成度ではない。コンディション、フォーマット、ジャッジ傾向が異なる複数戦の中で、安定して結果を残し続ける“再現性”の高さだ。
特に戸塚は、完成度の高さに加え、ミスの少なさが際立った。近年のハーフパイプは高回転化が進み、一発の難易度に注目が集まりがちだが、その中で“落とさない強さ”を体現したシーズンだったと言える。この高いレベルでの安定感がシーズン優勝の決めてとなったことは間違いない。
一方の冨田は、完成度とスタイルのバランスで勝負。技の高さだけでなく、流れの中でのスムーズさや空中での安定感が評価され続けた。

コンディションに左右されない“実力の序列”が浮き彫りに
最終戦は悪天候により途中終了。男子はクォーターファイナル、女子はセミファイナルの結果で順位が確定する異例の展開となった。
それでも上位に残った顔ぶれは、シーズンを通して結果を出してきた選手たちだった。
男子は山田琉聖が優勝、戸塚優斗が2位。女子は16歳の清水さらが優勝し、若い世代の台頭も強く印象付けた。
さらに、男女ともに日本人が中心となる構図。
2位に工藤璃星、男子3位にイ・チェウン、女子3位にツァイ・シュエトンと、アジア勢が表彰台を占めた。
競技としては“完全な決着”ではなかった。しかし、シーズンを通して結果を残してきたライダーたちが、最終戦でも上位に並んだ。
そこに偶然はない。そして、ここ数年続く“日本中心”の流れが、このリーグでも明確に可視化された形だ。

Snow Leagueが変えたもの
LAAXのハーフパイプは、世界でも屈指の完成度を誇る。その中でも特に象徴的なのがナイトセッションだ。照明に照らされたパイプ、壁のように並ぶ観客。この独特の環境は、ライダーにとって“見せる滑り”をより強く要求する。
高さ、難易度だけでなく、空中での伸び、スタイル、ラン全体の流れ。いわゆる“魅せる完成度”が問われる舞台だ。
今回のSnow Leagueは、その要素を競技として成立させた点でも興味深い。スコア競技でありながら、ショーとしての完成度も求められるフォーマットは、今後のコンテストの方向性を示していると言えるだろう。
創設者であるショーン・ホワイトが掲げたのは、「競技とエンターテインメントの融合」だ。
「シリーズ戦によるストーリー性」「ナイトイベントによる観戦価値」「グローバル配信によるリーチ拡大」これらが組み合わさることで、競技は一過性のイベントから、ストーリーを持つコンテンツへと変わり始めている。
YouTubeではイベント後もマッチアップごとの映像が配信されるなど、勝敗のプロセスを細かく振り返ることができる。単なる結果だけでなく、“なぜ勝ったのか”まで可視化される点も、Snow Leagueならではの特徴だ。

シーズン1からNEXTシーズンへ
ランキングを見ても明らかなように、現時点は日本勢の層の厚さは圧倒的だ。単にトップが強いのではなく、複数のライダーが安定して上位に入る構造ができている。その土台の上に、清水さら、工藤璃星のような次世代も台頭してきている。
<シーズン1・リザルト>
<MEN>
1位:戸塚優斗 2位:山田琉聖 3位:平野流佳
<WOMEN>
1位:冨田せな 2位:小野光希 3位:マディー・マストロ
初年度から賞金総額220万ドル、世界175カ国での配信。Snow Leagueはすでに、ひとつの“軸”として機能し始めている。
そしてこのリーグが提示したのは、「一発の完成度」から「シーズンで勝つ競技」へのシフト。戸塚と冨田が証明したのは、その新しい価値基準だった。
次に問われるのは、この強さを“継続できるか”。そして、その座を脅かす新たな存在が現れるのか。
Snow Leagueのシーズン2は、すでにその戦いの延長線上にある。




