「POWチケット」により、のべ825人のスキーヤー・スノーボーダーから集まった寄付金を活かした、各スキー場のサステナブル化のための取り組みと成果の報告。
スノーコミュニティ発で気候変動から冬を守る活動に取り組む一般社団法人Protect Our Winters Japanは、2024-2025シーズンより、購入金額の一部がスキー場の「ゼロカーボンやサステナブルな取り組み」への直接的な支援につながるドネーション付きのリフト券「POWチケット」の導入・販売を全国7箇所のスキー場にて開始。
導入初年度にして、集まった寄付金を活かして、導入スキー場の系列リゾート総計で年間140t以上のCO2排出量削減・スキー場の使用電力の再エネ化推進、また森林整備やCO2削減効果のある生ゴミ処理機の新規導入決定など、インパクトのある取り組みが着実に生まれているようだ。
そこで、2024-2025シーズンの各スキー場でのPOWチケットによる寄付金を使った取り組みと成果報告が届いたのでご紹介。

参考URL:https://protectourwinters.jp/sustainableresort/
■ 冬を守るためにスキーヤー・スノーボーダーとスキー場が選んだ、「POWチケット」という新しい選択
「グリーン(=ゼロカーボンやサステナビリティに取り組む)なスキー場で滑り続ける」ために、通常のリフト券に300円〜1,000円の寄付金額が上乗せされた「POWチケット」は、2024-2025シーズンにおいて、のべ825人のスキーヤー・スノーボーダーたちに選択され、寄付総額は807,700円となりました。
POWチケットは、「大好きなスキー場でこれからも滑り続けたい」「気候変動から冬を守るために何かアクションしたい」というスキーヤー・スノーボーダーの気持ちを具体的なアクションに変える一つのツールでもあります。導入スキー場では、スキー場と滑り手が一緒になって、「自分たちの遊び場は自分たちで守っていく」という自分ごとの変化が進みました。
■ スキー場ごとに寄付金の使用用途を定め、ゼロカーボンやサステナブルな取り組みを着実に推進
寄付金とスノーコミュニティの応援を追い風に、導入スキー場ではゼロカーボンやサステナブル化のための取り組みが精力的に行われています。
舞子スノーリゾートでは、舞子ゴンドラ電力使用量の100%相当を再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、湯沢中里スノーリゾートではスキーセンター電力使用量の50%相当を、ムイカスノーリゾートでは第1・第2ペアリフト電力使用量の100%相当、ニノックススノーパークではナイター照明電力使用量の100%相当を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました(※)。また、白馬八方尾根スキー場はスキー場内の森林整備を実施、エイブル白馬五竜は2025-2026シーズンに向けた生ゴミ処理機の導入準備に取り組んでいます。さらにキューピットバレイでは、雪を貯蔵し夏季に施設冷房として活用する雪国の伝統的な設備である「雪室」を守り伝える取り組みなど、スキー場それぞれが寄付金の使用目的を定め、使用用途などを来場者の方々に共有し、共感を得ながら実行してきました。
※全て、非化石化証書を購入しての実質的な再エネ化

POWチケットをきっかけとするスマイルリゾート(舞子スノーリゾート、ムイカスノーリゾート、湯沢中里スノーリゾート、キューピットバレイ、ニノックススノーパーク)でのCO2削減効果は年間140t以上となり、これはこれはスギ1万本以上が1年間で吸収する量に相当します。
■ 各スキー場での具体的な取り組み
導入スキー場での取り組みの詳細と、スキー場からのコメントをご紹介します。
・白馬八方尾根スキー場(長野県北安曇郡白馬村)
適切な森林整備を行い、光合成を促進し二酸化炭素の吸収量を増やします。また成長の過程で二酸化炭素を固定した間伐材を再利用します。
POWチケット購入者:286人
寄付額:¥282,000


・エイブル白馬五竜(長野県北安曇郡白馬村)
2025-2026シーズンに向けて、スキーセンターで出る生ゴミを微生物が分解し水にするための生ゴミ処理機の導入を準備中。運用開始予定の今シーズンからは、生ゴミ1kgあたり約2kg分のCO2削減効果を見込んでいます。
POWチケット購入者:322人
寄付額:¥310,100


・舞子スノーリゾート(新潟県南魚沼市)
舞子リゾートリフト冬季電気使用量相当を100%再エネ化し、59.83tのCO2を削減しました。
POWチケット購入者:52人
寄付額:¥51,300


・ムイカスノーリゾート(新潟県南魚沼市)
第1第2ペアリフト電気使用量相当を100%再エネ化し、15.24tのCO2を削減しました。
POWチケット購入者:62人
寄付額:¥62,000


・湯沢中里スノーリゾート(新潟県南魚沼郡湯沢町)
スキーセンター電気使用量相当を50%再エネ化し、37.65tのCO2を削減しました。
POWチケット購入者:29人
寄付額:¥29,000


・キューピットバレイ(新潟県上越市)
雪室の仕組みを守り伝えるためにパンフレットを作成し、冬季来場者にお配りしました。
POWチケット購入者:30人
寄付額:¥30,000


・ニノックススノーパーク(新潟県新発田市)
ナイター照明電気使用量相当を100%再エネ化し、28.01tのCO2を削減しました。
POWチケット購入者:37人
寄付額:¥36,300


・導入スキー場からのコメント
「寄付があることによって環境への取り組みを進めやすくなりました。頂いた寄付は山へ恩返しする活動に活用させて頂きます。」(エイブル白馬五竜)
「POWチケット購入者から、チケットを見せて買ったことを伝えてもらい、取り組みを進めるモチベーションが高まりました。」(白馬八方尾根スキー場)
「スキー場への興味関心やお客様とのつながりが新たにできて良かったです。」(スマイルリゾート)
■ POWチケットを選択したスキーヤーの声
実際にPOWチケットを使われたスキーヤーの方のコメントをご紹介します。
川口徹さん(フリースキーヤー/THE NORTH FACE)
毎年2月は白馬を拠点にスキー活動を行っています。毎年八方のシーズンチケットを購入したりしているのですが、POWチケットを選べるチョイスがあったので迷わずそれにしました。そうする事で少しでも自分のプレーするフィールドに還元ができるのではと考えたからです。少なからずリフトアクセスでスキーをするという事は自然に対して負担があるわけですから、良いチョイスだと思いました。
そういうチケットを持って山に入っているというだけでは大きくは変わりませんが気持ち的な部分や自分の選択と言うところで一歩進むような気がします。気持ちの良い選択です。
こういう取り組みが多くのスキー場に広がる事を願っています。小さな所から大きな流れへ、自分の出来ることから少しずつ。
雪上での時間は多く残されているか分からないけど、諦めずに皆んなで力を合わせればまだまだ雪の上に限らず自然を感じフィールドの中で遊ぶ事が出来るのでは!

■ 2025-2026シーズンの取り組み
POWチケットは今後も継続予定です。詳細は追って発表いたします。また、POWチケット導入や、ゼロカーボンやサステナブル化を目指すスキー場と、その実現をサポートするチームのネットワークである「サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)」への加盟スキー場を募集しています。
「気候変動から冬を守るために、グリーンなスキー場で滑りたい!」というスキーヤー・スノーボーダーの思いを、POWチケットを通じて、具体的なアクションに変えていきませんか?SRAでは、ガイドラインのご提供や専門アドバイザーからのサポートを受けることができます。
■サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)について
SUSTAINABLE RESORT ALLIANCEとは「脱炭素化」や「サステナブル化」を目指すスキー場のネットワーク、および、その実現をサポートするプラットフォーム。2023年12月にローンチいたしました。このプロジェクトは、遊び場である「スキー場」と遊び手である「スキーヤー・スノーボーダーたち」が一緒に、グリーン(=ゼロカーボンやサステナビリティに取り組む)なスキー場を実現することを目指します。

現在、以下全国45のスキー場が加盟しています。
・ニセコ東急 グラン・ヒラフ(北海道虻田郡倶知安町)
・ニセコモイワスキーリゾート(北海道虻田郡ニセコ町)
・名寄ピヤシリスキー場(北海道名寄市)
・サッポロテイネ(北海道札幌市)
・札幌藻岩山スキー場(北海道札幌市)
・休暇村岩手網張温泉スキー場(岩手県岩手郡雫石町)
・みやぎ蔵王えぼしリゾート(宮城県刈田郡蔵王町)
・湯殿山スキー場(山形県鶴岡市)
・Asahi自然観スノーパーク(山形県西村山郡朝日町)
・山形県最上町赤倉温泉スキー場(山形県最上郡最上町)
・ハンターマウンテン塩原(栃木県那須塩原市)
・かたしな高原スキー場(群馬県利根郡片品村)
・ホワイトワールド尾瀬岩鞍(群馬県利根郡片品村)
・たんばらスキーパーク(群馬県沼田市)
・糸魚川シーサイドバレースキー場(新潟県糸魚川市)
・スキージャム勝山(福井県勝山市)
・タングラムスキーサーカス(長野県上水内郡信濃町)
・エイブル白馬五竜(長野県北安曇郡白馬村)
・エイブル白馬五竜IIMORI(長野県北安曇郡白馬村)
・白馬八方尾根スキー場(長野県北安曇郡白馬村)
・白馬岩岳スノーフィールド(長野県北安曇郡白馬村)
・野沢温泉スキー場(長野県下高井郡野沢温泉村)
・蓼科東急スキー場(長野県茅野市)
・しらかば2in1スキー場(長野県北佐久郡立科町)
・白樺高原国際スキー場(長野県北佐久郡立科町)
・木曽福島スキー場(長野県木曽郡木曽町)
・御嶽スキー場(長野県木曽郡王滝村)
・斑尾高原スキー場(長野県飯山市)
・戸隠スキー場(長野県長野市戸隠)
・池の平温泉アルペンブリックスキー場(新潟県妙高市)
・舞子スノーリゾート(新潟県南魚沼市)
・ムイカスノーリゾート(新潟県南魚沼市)
・湯沢中里スノーリゾート(新潟県南魚沼郡湯沢町)
・キューピットバレイ(新潟県上越市)
・ニノックススノーパーク(新潟県新発田市)
・ダイナランド(岐阜県郡上市)
・高鷲スノーパーク(岐阜県郡上市)
・ひるがの高原スキー場(岐阜県郡上市)
・鷲ヶ岳スキー場(岐阜県郡上市)
・ホワイトピアたかす(岐阜県郡上市)
・神鍋高原万場スキー場(兵庫県豊岡市)
・おじろスキー場(兵庫県美方郡香美町)
・氷ノ山国際スキー場(兵庫県養父市)
・ハチ高原スキー場(兵庫県美方郡香美町村)
・ハチ北高原スキー場(兵庫県養父市)
加盟スキー場一覧はSRAのWEBページでもご覧いただけます。
■POWチケットについて
通常のリフト券の販売価格に、各スキー場が行う「ゼロカーボンやサステナブルな取り組み」への支援につながるドネーションを上乗せした「POWチケット」。POWチケットを購入することで、スキーヤー、スノーボーダーがスキー場の取り組みを知り、さらにはその背景にある気候危機の現状と気候変動対策の必要性を理解し、「自分ごと」としてスキー場の取り組みを応援することができる仕組みです。同時に、スキー場が脱炭素化・サステナブル化を進める上での資金的な課題も解決する仕組みとなることを目指します。

【POW JAPANについて】

Protect Our Winters(POW)は、気候危機から「冬を守る」ためのムーブメント。2007年、気候変動が私たち滑り手にとって大切なフィールドである雪山に大きな影響を与えることに危機感を感じたプロスノーボーダーのJEREMY JONESが仲間たちとともに米国でPOWを設立。その後、POWの活動は世界13ヶ国に広まり、日本では2019年からスノーボーダーの小松吾郎を中心に、POW JAPANの活動がスタートした。「行動する仲間たちを増やす」「スノータウンのサステナブル化を促す」「市民の立場から社会の変化を促す」の3つを軸に、長野県白馬エリアを拠点に、全国のスノーコミュニティへと活動を広げる。スノーリゾートのある地域で講演やイベントを行うなど、自然を愛する日本のスキーヤー・スノーボーダーたちの声を集めムーブメントを広げている。