【ショートインタビュー】VOLCOM STORE SENDAIを手掛ける降旗由紀

 

Photo: KUWA

2024年11月23日、VOLCOM STORE SENDAIが10周年を迎えた。そのストアをハンドリングするのは、プロスノーボーダーの降旗由紀。ライダー業とショップ業という二足のわらじを器用に履きこなし、さらにスノーボードだけでなく、スケートボードやサーフィンもライフスタイルとして楽しむ彼女に憧れを抱く人も少なくないはず。そんな彼女にショートインタビューを敢行させてもらった。

VOLCOM STORE SENDAIにて。Photo: Seiichi Takahashi

まずはVOLCOM STORE SENDAI 10周年! おめでとうございます。

ありがとうございます。

 

そもそも由紀ちゃんがショップを始めようと思った経緯を教えて。

ずっとハーフパイプでオリンピックを目指してたんですけど、もともと競技生活に打ち込むのは27、28歳までって決めていたんですよ。結局、夢の舞台には立てませんでしたが、その先の人生のほうが長いじゃないですか。ただ、どこかに就職するっていうのは最初から頭になくて。じゃあ、「自分は何をやりたいんだろう」「これからどうやって生きていきたいんだろう」って、いろいろ考えました。それまで10年ほど地元(長野・諏訪)のプロショップ「ココパーム」で働かせてもらっていたからショップをやっていくノウハウはあったし、ショップっていう場があれば自分がこれまで培ってきたスノーボードのスキルも活かせるんじゃないかと思ったんです。それでVOLCOM STORE NAGOYAがオープンしたタイミングで、私もVOLCOM STOREを手掛けたいっていう想いをVOLCOMサイドに話をさせてもらってスタートしたんです。お店の場所を(宮城)仙台に選んだのは、それまで何度も足を運んだことがあって現地の友達も多かったし、何より山も海も近くてスノーボードやサーフィンが身近に感じられる、すごくいい場所だなと思って決めました。

 

どんなショップを目指した?

お客さんがお店や私を身近に感じられる場所にすることですね。それまで私は海外遠征が多くて、一般スノーボーダーの方たちと一緒に滑ったり話をしたりする機会が少なくて……。だから、滑ろう会をはじめ様々なイベントを企画してお客さんと一緒に滑ったり参加された方にアドバイスをしたり、直接いろんなスノーボーダーと触れ合えるのが純粋に楽しみでもありました。もちろんスノーボードだけじゃなくてサーフィンでもスケートボードでもいろんな繋がりを感じてもらえるような、このショップに通うことでしか得られない感動体験ができる場所を目指しました。今はインターネットで何でも買えちゃう時代だけど、やっぱりショップに行くことにどれだけ付加価値を感じてもらえるかってところが重要だなと思ってましたし、今も思っています。

スノーモービルでのスノーボーディングなども提案している

その理想には近づいている?

近づいていると思います。イベントの日だったり周年記念の日だったり事あるごとに多くの常連さんが足を運んでくださってて、そこの場の空気感もすごくいい感じなんですよ。ただ、理想には近づいてるんだけど、新たな課題もどんどん見つかっていて、今のままで満足してちゃダメだとも思っています。あと、私自身、これからもスノーボードをライフスタイルとして楽しんで生活していくには、もっとレベルアップというかバージョンアップしていかないと、とも感じてます。というのも、この10年の間で私の人生において大きな変化がありました。それが子供が生まれたこと。今、2歳なんですけど、やっぱり子供を育てていくっていうところで、私自身、すごく大人にさせてもらったというか……それまでは自分主体で良かったんですが、今はそうじゃないから。イメージやノリだけじゃなくて、もっと頭を使って動かないとって思うようになりましたからね。

 

では、ライダーとして変化したことは?

うーん……。母親になったことで自分の時間も少なくなっていて考え方がどんどんソリッドになったのもありますが、ライダーって何なんだろうって思うようになりました。もちろん、今もメーカーからサポートしてもらってますし、撮影にも呼ばれて仕事もさせてもらってますけど、1年を通して考えるとショップに関わる業務のほうが今は圧倒的に多いんですね。それに私が見てきたショップのオーナーさんって、お客さんに対してすごく影響力がある存在なんですよ。だから、ライダーとかショップオーナーとかっていう肩書き、そういった線引きが必要ないんじゃないかなって。むしろ「ライダーだから……」って線引きをしてしまうことで、どんどん閉鎖的になっていく気もしますしね。今の私ができることは、お客さんにいろんな体験をさせてあげること。例えば、スノーボードがマンネリ化してる人に対しては新しい世界を見せてあげるとか、何か行き詰まっている人に対しては新しい提案をしていくとか、そういったところが大切なのかなと思ってます。

愛息子が見守るなかスケートやサーフィンを楽しむ日々。Photo: Seiichi Takahashi

そういった意味でも、スノーボード、スケートボード、サーフィンと3SすべてをフォローできるVOLCOMっていうブランドは由紀ちゃんにとって重要だったんだね。

そうなんですよ。3Sを楽しむライフスタイルを発信・提案していくっていうことを踏まえると、やっぱりVOLCOMっていうブランドがいろいろ可能性やチャンスを繋げてくれたりもしています。例えば、スノーボードをやってた人がサーフィンをやってみたい、海で出会った人がスケートボードを始めたい、サーファーがスノーボードにトライしてみたい、っていうことが私の周りでは少なくありませんからね。しかも、それが自然にできてしまうのは、ショップがあるところから、山まで1時間、海まで10分っていう仙台のこの地を選んだおかげだと思ってます。

 

ちなみに3Sのなかで、今、特に熱量が高いのは何?

昔からそうなんですけど、それは季節ごとに変わりますね。今なら間違いなくスノーボード。せっかくの冬ですからね。冬はサーフィンも全然やらなくなるし……あ、最近はスケートはちょっと減ってきたかも? 失敗すると痛いから(苦笑)。

光ヶ原にて。Photo: KUWA

最後に、今後、降旗由紀としてやっていきたいことは?

子供のいる女性でもちゃんとビジネスができる。常にいろんな新しいことにチャレンジしていく。イメージしたことをちゃんと実現していく。そんなカッコいい女性であり続けたいと思ってます。誰かと同じことをやるんじゃなくて、降旗由紀っていう人間だからこそできることをやる。それが重要だと思っています。ただ、来年もう40歳なんで、もう少しだけいろんなことに余裕を持って生きていきたいなとは思ってますけどね(笑)。

 

降旗由紀(ふりはた・ゆき)
1985年6月14日生まれ、長野県諏訪市出身、宮城県仙台市在住。プロスノーボーダー。VOLCOM STORE SENDAIオーナー。スポンサーは、VOLCOM、BURTON、ANON

Photo: Seiichi Takahashi
VOLCOM STORE SENDAI
〒983-0005 宮城県仙台市宮城野区福室 1-2-60
022-355-7156
営業時間12:00 – 20:00 不定休