4/20(金)~22(日)の3日間、白馬五竜でMOUNTAIN WAVEが開催された。このイベントをオーガナイズするのは、LIVE NATURALLYのフィルマーYONE。彼は、オリジナリティ溢れる視点で、スノーボードを軸にしながらも、スケートやサーフシーンとジャンルを越えたヨコノリスト達のリアルライフスタイルを追っている人物。だからこそ、毎年彼がプロデュースする人口地形パークは、一度入ると病みつきになってしまうほどの面白いセクションが造られ、その地形を求めて全国からヨコノリマニアたちが集まるのだ。今年はなんと、バンクドスラロームも同時開催されパワーアップしたそのイベント模様をお伝えします。
マウンテンフリースタイルを体現できるイベント
3D地形とジャンプラインが混じり合う特設パーク。毎年いぶし銀のベテランからスタイリーな若手ライダーが集まり、まさにマウンテンフリースタイルな遊びを現場で提案し続けているイベントだ。ちなみに、イベント名がMOUNTAIN WAVEというだけあって、雪上のRやバンク地形ではサーフスタイルも体現でき、まさにヨコノリ天国と言っても過言ではない。
今年は、オリジナルなスタイルを持ち、各地のイベントで注目を集める熊崎圭人がパーク造成の隊長に任命された。約1週間前から彼が主軸となり地形パークが造成されていったのだった。
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と、ここまでは例年のパターンだが、今年は新たな試みが実行された。それは近年全国的に大人気のバンクドスラロームの大会を同時開催するということだった。YONEは、天神バンクドスラロームのディガー隊長のひとりでもある。MOUNTAIN WAVEのイベントをプロデュースする彼が、今年はバンクドのコースを造成をするという。地形セッションとバンクドスラロームが融合するイベントは、一体どんな化学反応が起こったのだろうか。
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大盛り上がりのバンクドスラローム
まずは今回初開催となったバンクドスラロームからお伝えしようと思う。クラスは、Junior(小学生以下)、Young(中学生)、Open、Master(45歳以上)、Skiのそれぞれ男子、女子カテゴリーが存在。さすが人気のバンクドだけあって、合計で約150人ものスノーボーダーがエントリーしていた。
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コースインスペクションで並んでいると、参加者から「初めてバンクドの大会に出場したけど、すごく面白い!」という声がちらほら聞こえてきた。
従来の地形イベントが目的で集まった人と、このバンクドスラロームを目当てに参加した人が同じ空間にいる。もちろんその中にはバンクドと地形セッションにダブルエントリーする人もいて、それぞれのスタイルのスノーボーダーが自然に融合している。これが、2つのイベントを同時に開催することの面白さなのかもしれない。
バンクドのコースは、五竜スキー場の最上部アルプス平に作られ、ややタイトな幅のバンクが連なっているので、各コーナーのバンクでは滑るラインがある程度決まってくる。コースイメージは天神バンクドに近い印象だった。コースがとにかく長く、日曜日に開催されたオープン男女の予選と各クラスの決勝は、現状のコースだとひとり一人のタイムが掛かりすぎてしまうということから、スタート位置が下げられるほどだった。最終日にコース距離が短縮された結果、上部のコースは終日一般解放され、これはこれでみんなが自由に滑れるバンクコースとなりありがたかった。
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バンクドでありがちな、魔のコーナーは今大会も存在していた。第5コーナーのバンクを抜け、第6コーナーに差し掛かる手前でエッジが抜け、そのセクションでみんな悩まされる展開。しかしここを超えると、コース際のオーディエンスから歓声が沸き盛り上がる。やっぱりバンクドの大会は参加するのはもちろんだが、見ていても面白い!晴天に恵まれる中、参加者全員が自分の滑りの限界に挑戦し、仲間とともに大盛り上がりの大会となった。
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スペシャル3D地形パークを丸1日楽しむ参加者たち
しかし、このイベントはこれだけではない。MOUNTAIN WAVEのスペシャル地形パークも全日午前中から解放され、こちらもエントリーをすれば1日中パークを滑ることができるのだ。ハイレベルなビッグセクションがあるわけではなく、イマジネーション溢れる3D地形を自由にクリエイティブに滑ることができるパーク。この地形パークにはそれぞれのレベルの参加者が終日楽しんでいた。
バンクドの決勝が終わるとこのパークに全員が集合し、こちらも毎年恒例のTweak Grab World Championshipが開催された。これは、シンプルに自分のトゥイークを見せ付けるスタイルコンテスト。子供から大人までの一般参加者からライダーが、ひとり1本を滑り自分のオリジナルなトゥイークを表現する。ジャッジにクールなスタイルを見せつけるというシンプルなものだが、そこにはスノーボーディングに欠かせない重要な要素が凝縮されている。文字で表現するのはなかなか難しいが、その「スタイル」があるからこそ人とは違う個性が滲み出て見ている人を魅了する。それには大会のリザルトだけでは表現できない価値があるのだと思う。今年のチャンピオンは、相変わらずのスタイルでキレッキレのトゥイークを披露した増田ルイキが選ばれた。
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雪山を滑りながら自分のスタイルを表現するスノーボーディング
近年、日本のイベントの中でも特に盛り上がりを見せるバンクドスラロームと人口地形セッション。この2つに共通して言えることは、バンク・地形を滑ることを楽しむということ。バンクドスラロームでは、バンクでのシビアなライン取りが高タイムを出すポイントとなる。ベストなラインを外さずに地形をうまく攻略しながら繋ぎ合わせて気持ち良く滑る。そして地形パークに関しては、バンクやRでクリエイティブなラインをイメージして繋ぎ、ジャンプラインではフリースタイルに魅せるスパイスを盛り込んでいく。
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このイベントは、雪山に造られた地形を滑りながらも自分のスタイルを表現するイベント。まさにマウンテン・フリースタイルの遊びが凝縮された最先端なイベントだと感じた。
多くのキッズやヤングガンたちも集まり、若手と大人が世代の枠を超えスノーボーディングの魅力やカッコ良さを共有しているのだ。
「大人から子供まで楽しめる地形とバンクドコースを作りたいと思っています!」
YONEがイベント前にFBでこう伝えていたが、まさにそれを実現した最高の3日間だった。高回転などのジャンプとは異なり、フリーライディングの中でスタイル、クリエイティブを表現する場。この遊びは滑るための基礎がしっかりと身につき、同時に自分自信のオリジナルスタイルを確かめることができるのだと改めて実感することができた。今後もこのシーンを追いかけ、オリジナルスタイルを持つクールなスノーボーダーを発掘していきたい。
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