PSA ASIA Snowboard Pro Tour
2017/3/7
Round 13
Dual Slalom
PSA DU in Dynaland
PSA ASIA プロツアー第13戦
最終戦となりここまでを振り返ると、女子は開幕戦から2連勝の三木(トゥゲザーアライブ)と3戦目で優勝の志鷹(OGASAKA)の一騎打ち。男子は初戦優勝の河島(UP-Z)、2戦目の川口(パンダスタジオ)、3戦目の鶴岡(ツルオカレーシング)と分け合いながらも、欠場分などで持ちポイントがない川口、鶴岡に対し、余程の事でなければほぼシリーズチャンピオンが決まった河島に川口、宮尾(OGASAKA)らが何処まで食いついてくるか。シリーズランキングの行方を各選手、意識をしながら大事な試合となる。
天候に恵まれ、春の日差しをうけるコースを彩るセットは、前戦、優勝した鶴岡が司る。ダウンヒルコースの下部、最大斜度26°の斜面を挟むレースバーンは全長400m。標高1200m付近のスタートゲートから僅かな緩斜面で初速をのせ直後から一気に標高差100m程を下りゴール手前の緩斜面へ繋ぐ。現役復帰し久々の勝ち星を挙げた鶴岡が、選手達の技量を計るかのごとく吟味を重ねてセットを打ってゆく。26旗門、14.5mのややオープンセット、雪質やKOまで見据えた絶妙なふり幅と、雪面の下に潜むアイシーなパックが選手を悩ます。最大斜度26°の斜面を駆け降りるとコースはやや左に折れ、加速を阻むようにいやらしいトウサイドが待ち受ける。フィニッシュに向かう緩斜面にはいるとインターバルは14mと詰まり最後まで安々とはクリアできない。回り込むように早く下るブルーコースと、僅かに登るかのようにフニッシュライン手前でからの下りで加速するレッドコースと、それぞれの左右差のあるコースを如何に駆け引きに用いるか、予選1本目の各選手のタイムが気にかかる。インスペクションで表面が削られ剝き出しとなったハードパックが選手を待ち受ける。
予選1本目
女子は互い譲れないに#1志鷹と#2三木の1組目からのスタート、確実にゲートを処理する志鷹を横目に早くもギアを上げる三木が37.83で先にフィニッシュを切ると後を追う様に志鷹が39.12と時計を刻む。2組目、#3丸山(AMICSS-キスイ)と#4勇上が綺麗に並んで其々、40.02、40.29 とセカンドグループの基準値となるタイムを計上し様子をみると、3組目から#6吉井(GSS-BP)が40.24と勇上を僅かに躱し、すぐ後ろから#7松沢(BC STREAM)も40.32と40秒の攻防が続く。更に後ろの6組目よりレッドコース三塚(AMICSS)
が39.98の好タイムで丸山を僅かに躱し志鷹に迫る。
男子は今季好調の#1河島と#2宮尾からのスタート。レッドの河島が徐々に宮尾を離し先にフィニッシュ、35.34の河島に対しブルーの宮尾は僅かに遅れそれでも36.42と貫禄の滑りで後続を待つ。2組目、前戦、予選で消えた#3川口は#4KIMUTOMO(F2*アルバータ)をみるみる引き離しにかかる。憂さをはらすかの圧巻の滑りで河島のタイムを大きく上回り34.25と予選1本目から盤石の態勢を整える。3組目からはここダイナを知り尽くす#5杉本(SG Snowboa)と#6澤井(F2/Monst)が互いに譲らず杉本36.93、澤井36.94とポジションをキープ。4組目の#7後藤(VOLKL)は、ただ一人、万に一つのシリーズチャンピオンの可能性が残る#8白川(YONEX UPZ)と共にスタート、後藤の快調な滑りにやや遅れる白川、先にフィニッシュを切った後藤が36.41と杉本を躱し3番手、対する白川も38.42でこれも3番手をキープする。この後はレッド38秒台、ややタイムの出にくいブルーで39秒台やや膠着状態で各コース4番手の椅子を奪い合う中、7組目から前戦での傷が癒えぬ#14成田(AMICSS)が38.28と白川を躱しブルー3番手に浮上。再び順位の入れ替えはなく淡々と各自、出走する中、後方から戸田が37.42の好タイムで成田を躱しブルーコース3番手を奪取し上位陣を伺う。
2本目、コースを入れ替えてのスタート。日差しを受け気温も上がり、面の出たコースは若干緩み始める。様子見の1本目に比べると噛みもよく攻めやすいか。
女子は同じく志鷹と三木からスタート。1本目とは非ず、三木を先に行かせず志鷹が並走、KOに向け熾烈なグリッド争いが展開され始める。落ち着いて攻略した三木に遅れず追走した志鷹、三木が38.49、志鷹は39.09と其々指定席を押さえ後続の出方を伺う。1本目40秒で混線の2ndグループ、堪えきれずラインを外れ戦線を離れる三塚を横目に吉井が40.47ときっちりフィニッシュを切ると直後の丸山が39.68、勇上が40.11と吉井を躱し3,4番手につける。続く松沢、越坂綾は41秒台で吉井に届かず、直後から妹、越坂遥が姉を躱し6番手に浮上しKOに臨む。
男子は1本目34.25と一人、未知の世界を知る川口とブルーコースで最速の宮尾からのスタート。川口の速さは変わらず、引き離されまいと追走する宮尾が36.70と1本目と変わらず好タイムをだし、川口はこちらも1本目と変わらず34.56、KOに向けしっかりとタイムを刻む。続く河島も35.37と川口までは及ばないが2番グリッドを確保。澤井は若干タイムを伸ばしきれず間を開ける。続く後藤37.31、戸田36.85で宮尾の後、4,5番手につけ、藤本38.94、成田37.80と澤井を挟んで6,7,8番手を争う。直後の杉本が38.33ながら1本目の貯金を使い6番手に浮上。白川37.91と成田の直後、10番手につけコンマの争いで6番手以降、混戦の有様となる。
KOのオーダーは
女子
1 三木(トゥゲザーアライブ)vs 8 松沢(BC STREAM)
4 勇上 vs 5 吉井(GSS-BP)
3 丸山(AMICSS-キスイ) vs 6 越坂(遥)
2 志鷹(OGASAKA) vs 7 越坂(綾)
男子
1 川口(パンダスタジオ)vs 16 MC-Jill(ラバンサーupz)
7 澤井(F2/Monst) vs 9 成田(AMICSS)
5 戸田 vs 12 KIMUTOMO(F2*アルバータ)
4 後藤(VOLKL) vs 13 小嶋(ナノテックジャパン)
3 宮尾(OGASAKA) vs 14 大塚(Teito ZACC)
6 杉本(SG Snowboard) vs 11 今井
7 藤本 vs 10 白川(YONEX UPZ)
2 河島(UP-Z) vs 15 奈良
2本目の終了後より俄かに雲がかかり始め予報通り天候が崩れ始める。KOファイナルが始まる前には太陽が遮られ出走前、スタートで待機をする選手の身体を凍えさせる。朝の穏やかな様相は一転して雪の舞う中,男子の1st Roundが幕を開けた。1川口、2河島、3宮尾、5戸田は順調に勝ち上がり、4後藤は、13小嶋と0.29の僅差で迎えた2本目ブルーコースに捕まり小嶋が下剋上を果たす。6杉本は11今井に対し1本目に2.00のビハインドを許し2本目に追いつくことも叶わず今井が勝ち上がる。10白川が1.15背負っての2本目、7藤本を逆転で下し2回戦進出。7澤井も2.00後から追うと9成田は耐えきれず自滅、逃げ切った澤井が逆転勝ち上がり。
女子1st Roundに入るころには降雪も強くなり時折吹き付ける横風で吹雪の様相。視界も悪くフィニッシュエリア外からゴールラインが見えないほど。スタートを切った選手達以外、コースで繰り広げられる戦いの模様は窺い知れない。
予選の速さ通り1本目に1.43秒差をつけ先にスタートを切ったはずの1三木であったがここで失速、8松沢が先にフニッシュをきり逆転勝利で勝ち上がる。続いて4勇上0.58と僅差でリード、2本目で5吉井が覆し接戦を制する。3丸山は6越坂(遥)を完封、2志鷹は1.46と喰らいつく7越坂(綾)をしっかりと仕留め勝ち上がり。
男子1/4 Final 1本目0.02の僅差でほぼ同時スタートの5戸田と13小嶋、2本目で小嶋を仕留め戸田の勝ち上がり。1本目のミスが祟り2.00を追う3宮尾であったが、調子の上がった11今井には追いつけずここで敗退、更に今井が勢いずく。1川口は7澤井を、2河島は10白川を其々完封、しっかりと足場を固める。
Semi Final 女子、8松沢、1本目に2.00のビハインドで5吉井の後を追いまたしても逆転勝ちを収める。1本目0.52の接戦から先に出た2志鷹が3丸山の追従を抑え志鷹が先にフィニッシュ。
男子、1川口の速さは好調5戸田の勢いを寄せ付けず順当に決勝へ駒を進める。1本目、11今井の勢いに0.25と迫られた2河島であったが2本目きっちりと今井を仕留めて決戦に挑む。
先に行われた3位決定戦では、女子は1本目1.74差と2本目も吉井を寄せ付けず丸山が勝利。男子、1本目、戸田は0.3差と互いも譲らず、2本目に勢い余った戸田が自滅、今井に軍配が上がった。
Final
女子1本目、これまで逆転劇を展開してきた松沢が志鷹に迫りくる。この時間帯になると雪と風の勢いは先程に比べ落ち着き、降雪はあるものの、視界も見通しがきき雪面の状況も把握できる。表面の削られたコース上は氷が剥き出し、そのコースの外側には予選終了後から一気に振り出した大量の新雪が選手を飲み込もうと待ち構える。更にハードになったコースに互いに足元を取られ一進一退の攻防戦、僅かに後ろにいた松沢がゴールで差しにかかり志鷹をとらえるかに見えた。ほぼ同時にフィニッシュを切る2人、電光掲示には僅か僅かの0.06差で志鷹が前にいた。振り出しに戻った2本目もスタートから1本目と同じ様相。しかしながら結末はあっけなく、コース中盤で堪らず松沢がコントロールを失い戦線離脱、大きく引き離した志鷹は手を緩めず自分の滑りを守ってフィニッシュに差し掛かる。気配が無いことに気づいたか一瞬レッドコース側を振り返ると相手がいないことを確認、両手を突き上げゴールした。
今季2勝目、前半戦が悔しかっただけに嬉しい勝ち星となった。
優勝 志鷹 あかり(OGASAKA)
2位 松沢 美甫(BC STREAM)
3位 丸山 美樹(AMICSS-キスイ)
男子1本目、ここまできてシリーズチャンピオンが決まった河島としては、チャンピオンの名に恥じないシーズン〆の勝利をあげて締めくくりたい。川口としても前回の予選敗退を払拭すべく遠征帰りの滑りを発揮して勝利をものにしたいとこだ。互いに譲れない決勝のスタート。同時にコースへ躍り出た2人、直後の緩斜面では互角の出だしだ。斜面が下り僅かに川口が先を取る。微妙に後れをとる河島、仕掛けどころを待つようにもみえ、ほぼ同じタイミングでゲートをくぐり抜けフィニッシュを目指す。斜面を下りきる前に河島が動いた。一瞬速くタイミングをとり身体をおとすとギアを上げたようにスピードがのる。フィニッシュ手前の緩斜面に合わせてスルスルと板が伸び川口の前に出るとゴール手前で更に半身、河島が前にでた。0.44あって無いに等しいが僅差で折り返す。勢いに乗じてものにしたい河島、ひっそりと落ち着きを払いゴールを見据える川口。2本目のシグナルが鳴り響く。スタートに定評のある河島、勝利を焦ったか僅かにスタートをミスりディファレンスタイムがリセットされた。ここまでの戦い同様しっかりと自分のラインを守り攻める川口に対し、むしろ出遅れた河島、いつも以上にタイトに攻める。コース中盤に差し掛かり危うい攻めにみえた次の瞬間、無情にもコントロールを失い身体が宙を舞う河島を他所に、滑りに徹する川口は振り返ることなく河島を置き去りにした。背中越しに気配を察した川口は拳を握りしめフィニッシュを切り喜びをかみしめる。
今季、三つ巴の戦いで勝ち星を分け合っていたが川口の2勝目で締めくくることとなり、前戦の憂さを晴らす嬉しい勝利となった。
優勝 川口 晃平(パンダスタジオ)
2位 河島 広輔(UP-Z)
3位 今井 凌
4位 戸田 大也
5位 宮尾 一徳(OGASAKA)
6位 澤井 恭介(F2/Monst)
今回も素晴らしいバーンを提供していただいたマックアース・ダイナランドスキー場様、運営に尽力を注いでいただいたJSBA様に感謝を申し上げます。
今季ALは4戦全戦終了。シーリーズチャンピオンは男女共に、新王者の誕生となり、新しい時代の幕開けを感じさせる興味のあるシーズンとなった。三木、河島両選手の目覚ましい成長ぶりと活躍に見応えのあるレースが繰り広げられました。
来期もPSA ASIA ALPINE Pro Tour にご期待下さい!