究極のライドフィールを求めて。遂に「STEP ON EST」が登場!!

足を固定して滑るスノーボードは、ブーツとボードを繋ぐためのバインディングが欠かせない。このメカニカルなインターフェイスは、これまで絶えず進化を続けてきたが、今シーズン、後世まで名を残すであろう名機が登場する。
THE CHANNEL」「EST」、さらには「STEP ON」と、より快適に、より楽しく滑るためのシステムを手掛けてきたBurtonが新たに開発した「STEP ON EST」だ。その気になる実際の使い心地とは?


「STEP ON EST」とは、何を求めたシステムなのか?

▶︎「不自由」からの脱却!ボードコントロールにダイレクト感を求めたベースレスの発想

スノーボードには「フリースタイル」「フリーライド」というスタイルがあるが、どちらにも「自由」というワードが入っているのにも関わらず、これまでスノーボーダーは足が固定されているという「不自由」と闘ってきた。「もっと自由に足を動かしたい」「もっとダイレクトに雪やボードを感じたい」といった願いを抱くのも、ごく自然な流れだったのかもしれない。そして、そういった願望を叶えるべく、これまで様々なギアが考案されてきた。そのひとつがベースレスバインディング。文字どおりブーツとボードの間には何もなく、足をボードに上から押さえつける仕組みだった。確かにダイレクト感はあった。ただ、振動や衝撃をまったく吸収できず、すぐに足裏が痛くなったり、疲れやすかったりというデメリットが問題視され、今では過去の産物となっている。

▶︎『THE CHANNEL』+『EST』により、革新的ボードコントロールを実現

自由なスタンス設定を可能にするThe CHANNELシステム。「あと少し…」という不満をスッキリ解消してくれるジャストフォットを可能にする。耐久性ももちろん全く心配ナシ

だが、そのベースレスバインディングの発想を進化させたギアが2008年に登場する。Burtonが開発した「THE CHANNEL」と「EST」というシステムだ。前者は、ボードのデッキに埋め込まれたレールの上で、センタリングやスタンス幅、アングルなどを自由かつ直感的に調整できるというもの。そして後者は、THE CHANNEL搭載ボードに限られるが、ブーツとボードとの間にベースプレートは存在せず、やわらかいクッション材の上に足を置くため、EST(Extra Sensory Technology)の名が持つ意味どおり、雪面から足裏に伝わる感覚が研ぎ澄まされ、ボード本来のフレックスを活かしやすく、よりダイレクトなボードコントロールを可能にするものだ。さらに、EST搭載バインディングはベースブレート自体が幅広であるため、ボードへのトラクションがよくなり、トーションも効かせやすいというメリットもある。

「ESTの独特のダイレクト感が気に入っています」_片山來夢

近年はTHE CHANNELとESTが搭載されているギアしか使用していないという片山來夢。
「ESTのおかげでブーツとボードがしっかりフィットして一体感があるんですよ。独特のダイレクト感というか、雪面をより感じやすいところが気に入ってますね」と、ハーフパイプのコンペを主戦場としていたときも、バックカントリーでの撮影が増えた現在も、その性能の高さに惹かれて愛用し続けている。

STEP ONならではのフィーリングとESTのメリットが融合

そして、今シーズンからSTEP ONにもESTを搭載したバインディングが新登場する。「STEP ON GENESIS EST」だ。

「STEP ONはストラップがないぶんサーフィンしているような感覚に近い」_降旗由紀

そもそもSTEP ONは、バインディングにストラップが存在せず、ツマ先の2点とカカトの1点でブーツを固定するため、足首の自由度がかなり高いと言われている。これまで幾度かの改良を経て今季で8シーズン目を迎え、ギアとしても成熟期に突入したSTEP ON。その使用感を降旗由紀は次のように語る。

「ゲレンデで気持ちよくターンしたい日はSTEP ONのほうが調子いいですね。特に面でボードを踏んでターンする感覚はSTEP ONのほうが心地いいと思います。ストラップがないぶんムダな動きも減って、サーフィンをしているときのような感覚に近いですからね」

ただ、これまでのSTEP ONはRE:FLEX一択。縦に分割されたベースプレートと蝶番型のディスクにより、ボード本来のフレックスは感じやすかったけれど、それでもブーツとボードの間には樹脂製パーツが存在していた。ESTバインディングにはそれがない。いったい、どのようなライドフィールになるのだろうか。

 

STEP ON GENESIS EST
プロライダーとプロショップの評価は?

レスポンスはクイック、ブレも少なく、疲れも軽減してくれる」_高橋龍正

ブーツとボードの間に硬いパーツが存在しないので、ボードからの感覚がよりダイレクトに足裏に伝わってくるんです。そして、ベースプレートが幅広でしっかりしているから、レスポンスはクイックになったように感じましたね。さらに、ビスを留める部分やその前後のベース裏に衝撃吸収素材が入っていて、ブレを抑えてくれるし、疲れも軽減してくれるような気がしました」

(右写真)右の通常のSTEP ONバインディングに比べると、ESTでのベース部分は幅が広い(左写真)左側STEP ON GENESIS ESTは右側のSTEP ON GENESISにはないフォワードリンの調整昨日も装備している

▶︎続いては、西東京のプロショップ・HEAVEN STORE.Bのオーナー・中本健太郎さんの話。

軽さはバックカントリーで有利

「これはSTEP ONに限らずですが、ESTはRE:FLEXに比べるとベース裏に硬いパーツがないので、足裏感覚が敏感になるというか……ボードや雪をよりダイレクトに感じられると思います。それに持つと簡単にわかりますがESTのほうが軽いです。なので、バックカントリーでボードを背負うときなどは、かなりラクになるだろうなって思いますね」

足の動きにとてもよく追従してくれる

「また、ストラップタイプのGENESISよりもSTEP ON GENESIS ESTのほうが、カカトで固定されている分だけハイバックの2枚構造の内側パーツがブーツにビタッと寄り添ってくれる気がします。だから、足の動きにとてもよく追従してくれるし、ブーツとバインディングの一体感もすごくあるのかな、と。結果、レスポンスがクイックになったと感じました。特にカカト側の反応はかなり良くなってますね。しかも、ハイバックにはツールレスでフォワードリーンを調整できるパーツも付いているので、さらにカカト側のレスポンスを上げることも簡単にできます。これまでのSTEP ONバインディング、さらにはRE:FLEXのGENESISと比較しても様々な面でレスポンスと快適性が進化しているのを感じます」

ベース裏のパーツは通常のバインディングと異なり硬いパーツがないことで、足裏の感覚がより敏感になる
左は通常のSTEP ONバインディング。右のSTEP ON GENESIS ESTバインディングは2枚構造のハイバックによりカカト側の反応が良い
STEP ON GENESIS ESTの2枚構造のハイバック。内側のパーツ、キックバックハンモックがブーツに密着してくれる

ダンプニングの効果で負担が軽減

「バインディングの両サイドにはダンプニング……衝撃吸収やブレを抑制してくれる素材が使われているので、荒れたバーンでも疲れにくいし、地形遊びでジャンプしたあとの着地でも身体への負担が減るんじゃないですかね」

両サイドには衝撃吸収とブレを抑制するダンプニングを装備

このモデルがオススメな人は?

「高速域でパウダーを滑りたい人、かっ飛ばしたゲレンデクルージングをやりたい人、圧雪バーンでキレのあるカービングをしたい人あたりにこのモデルはオススメしたい。あとは、パークでのフリースタイルな動きに関しても、これまでのSTEP ONバインディング以上に対応しやすいのかな、と思います。

ただ、バインディングの角度を大きく振るセッティングにしている人は、ビスを留める部分にベースが干渉して少し取り付けづらいかもしれません。そこはショップでチェックしてください」

HEAVEN STORE.Bのオーナー・中本健太郎さん
http://www.heavenstore-jp.com
https://www.instagram.com/heavenstore.jp/

足が固定されているスノーボードにおいて、より直感的なボード操作とライドフィールを得られる自由度の高いバインディング、STEP ON GENESIS EST。さあ、いよいよ販売スタート!! この記事を読んで気になったら、是非とも取り扱いショップに足を運び、実際に手にしてチェックしてもらいたい。

このブーツとの一体感はSTEP ON GENESIS ESTでしか得られない。実際にあなた自身で試してみてもらいたい