バックカントリーという言葉が持つ響きには、どこか特別な自由とロマンがある。手つかずの雪、自然のままの地形、誰も描いていないライン。パウダースノーの上を滑る体験は、スノーボーダーにとって何ものにも代えがたい魅力だ。
しかし、その自由の裏側には、常にリスクが存在している。天候や雪質、地形は一瞬で表情を変え、判断を誤れば取り返しのつかない事態に直結する。残念ながら、冬になるたびに、バックカントリーでの事故や遭難のニュースが私たちのもとにも届く。
だからこそ、このフィールドと向き合うには“自然を楽しむ覚悟”と同時に“自然を畏れる姿勢”が欠かせない。
日本屈指のバックカントリーフィールド・谷川岳。その核心部に広がるMt.T(マウントティー) by 星野リゾートは、究極のパウダーと真正面から向き合いながら、同時に「安全」というテーマにも本気で向き合ってきた。
テクノロジーと現場の知見を掛け合わせ“救助の空白の時間をゼロにする”という挑戦へ。この冬、Mt.Tの取り組みは群馬県警察からも高く評価された。
自由に滑るために、何を守るべきか。その答えが、ここにある。

Mt.Tとは?
首都圏から車や新幹線でおよそ2時間。そんな好アクセスでありながら、日本百名山・谷川岳の核心部に広がるのが「谷川岳天神平」というフィールドだ。
日本海側と太平洋側の気候がぶつかり合うこのエリアは、圧倒的な積雪量と軽くドライなパウダー、そして急峻でダイナミックな地形が特徴。国内外のライダーを惹きつけ続けてきた理由が、そこにはある。
2024年12月に「谷川岳天神平スキー場 by 星野リゾート」は「Mt.T by 星野リゾート」として新たなブランドへと進化。そのコンセプトは、The Ultimate Powder Field(究極のパウダーフィールド)。“ワイルドな自然を、ありのままで楽しむ”という思想のもと、世界基準の安全管理とテクノロジーを融合させた、新しいマウンテンフィールドとして注目を浴びている。
救助の空白の時間とは?
バックカントリーで事故が起きたとき、「居場所が分からない時間」=救助の空白は、命に直結する重大なリスクとなる。
これまでは、「どこで」「誰が」「どのルートで」遭難したのかを把握するまでに、大きな時間がかかっていた。状況が分からないまま時間だけが過ぎていく。その現実を変えるために、Mt.TはGPSマップアプリ「yukiyama」との共同開発に踏み出した。
なぜMt.Tの取り組みは評価されたのか?
2026年1月29日、群馬県警察・沼田警察署より感謝状が授与された。その理由は、単なる新技術の導入ではなく、実際の救助現場で“時間を縮める仕組み”を機能させたことにある。
バックカントリーでの事故は、位置が特定できない時間が長引くほど、命のリスクが高まる。Mt.Tではこの「救助の空白の時間」を最小限に抑えるため、「yukiyama」と共同で新たな機能を開発。従来は把握までに時間を要していた遭難者の位置情報を、ほぼリアルタイムで可視化できる環境を実現した。
さらに、その情報はMt.Tの管理者だけでなく、警察や山岳警備隊とも即時に共有される。遭難発生時には、関係機関が同じ管理画面を通じて現場の状況を確認でき、現地に向かう前から救助ルートや行動計画を立てることが可能となった。
このシステムは2025-26シーズンの実際の救助サポートでも活用され、迅速な初動と連携体制の確立に大きく貢献している。
テクノロジーと現場オペレーションを融合させたこの取り組みが、「山岳救助の新しいスタンダード」として高く評価されたのだ。
現場で機能する、リアルタイム救助サポート
Mt.Tでは、アプリの機能を単なる“道具”としてではなく、現場の運用そのものに組み込んでいる。チェックインしたゲストの位置情報は、スマートフォンだけでなく管理オフィス内のPCでも常時モニタリングが可能となり、施設側はフィールド全体の動きをリアルタイムで把握できる。
遭難やトラブルが発生した際には、この管理画面へのログイン権限を警察や山岳警備隊と共有。関係機関が同時に同じ情報を確認できることで、電話や口頭による不確かな情報伝達を減らし、より正確でスピーディーな初動対応を実現している。
また、以前は特定のグループ設定が必要だった位置特定も、現在はアプリでチェックインしていれば自動的に施設側が把握できる仕組みへと進化した。ゲストが特別な操作をしなくても、安全管理のネットワークに自然と組み込まれることで、万が一の際の対応スピードは大きく向上している。
安心して滑るための、Mt.Tの雪崩対策
Mt.Tの安全対策は、アプリ開発だけにとどまらない。フィールド全体を“管理された自然”として捉え、複数のレイヤーでリスクを最小化する体制が築かれている。
象徴的な取り組みのひとつが、日本雪崩ネットワーク(JAN)との連携だ。Mt.Tは、スキー場として唯一JANの団体会員となり、日々更新される雪崩リスク情報をロープウェイ乗り場のモニターに常時表示している。滑走前のひと目で、その日の危険度を誰もが確認できる仕組みは、意識と行動を大きく変えている。
さらに、「装備がないから」という理由での無理な入山を防ぐため、バックカントリーの必須3点セット(ビーコン、プローブ、ショベル)と専用バックパックのレンタルも実施。世界的な信頼を誇るBCA社のギアを採用し、装備不足による事故リスクを根本から減らす環境を整えている。
現場の運用レベルを支えているのが、雪崩管理従事者の育成だ。アバランチフォーキャスターを定期的に招聘し、スキーパトロールに対する高度なトレーニングを継続。さらに、営業時間前には爆薬を用いたアバランチコントロールを実施し、積雪状況に応じて人為的に雪崩を発生させることで、大規模リスクを事前に排除している。
ゲート前には、アバランチビーコンの作動確認ができるチェッカーも設置されている。これは“持っているつもり”ではなく、確実に機能しているかを確かめるための最後のチェックポイントだ。滑り出す直前に確認できるこの装置は、ライダー自身の安全意識を高めると同時に、フィールド全体のリスクを下げる役割を果たしている。
自然の脅威を理解し、自由に向き合えるフィールドへ
Mt.Tが目指しているのは、自然をコントロールすることではない。自然の脅威を理解したうえで、自由に向き合えるフィールドをつくること。
救助の空白を最短化するテクノロジー、専門機関との連携、そして現場で積み重ねられる確かなオペレーション。そのすべてが重なり合って、はじめて“究極のパウダーフィールド”は完成する。
攻めるために、守る。自由に滑るために、安全を磨く。
Mt.Tはこれからも、ウインタースポーツというカルチャーの未来を、雪山の最前線から支え続けていく。
Mt.T by 星野リゾート
所在地 :〒379-1728 群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽湯吹山国有林
電話 :0278ー72ー3575
アクセス:JR上越新幹線上毛高原駅から車で約25分
URL :https://tanigawadake-joch.com/
▶︎「旅を楽しくする」_星野リゾートの情報はこちら
![]()
星野リゾートは、「旅を楽しくする」をテーマに、旅の目的や過ごし方に合わせた滞在を提案しています。
独創的なテーマが紡ぐ圧倒的非日常「星のや」、ご当地の魅力を発信する温泉旅館「界」、
想像を超える体験が溢れるリゾートホテル「リゾナーレ」、テンションあがる「街ナカ」ホテル「OMO(おも)」、
みんなでルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に、国内72施設(国内67、海外5)を運営。
2024年には創業110周年を迎え、「OMO5 函館」「界 秋保」などを新たに開業しました。













