稲村 樹が送るコンテストレポート イナムライフ#4 日本編 FIS全日本選手権大会& AIR MIX

ライダー稲村 樹が世界を転戦し、今のコンテストシーンをライダー目線で切り取っていくイナムライフの第4弾!今回は、国内に戻ってきて感じる現在の日本のコンテストの模様をお届けする

3月に入ると日本でも毎週のようにイベントや大会がおこなわれる。FIS全日本選手権大会(スロープスタイル&ビッグエアー)や巨大スパインで話題のAIR MIX、牛乳石鹸が冠スポンサーとして開催されるジャンプ&ジブコンテストCOWDAY、そして今年からおこなわれることになったビックキッカーセッションのHammer Banger Session。本当は僕も全てのイベントに出場したかったのだが、12月に骨折した足首に違和感が残っているため、出場できたのはAIR MIXとCOWDAYの2つだけだった……(泣)

FIS全日本選手権大会

国内コンペシーンの日本一を決めるこの大会は群馬・スノーパーク尾瀬戸倉にておこなわれた。ここではビックエアとスロープスタイルの2種目がおこなわれていたが、僕はスロープスタイルを観戦してきた。この大会は来年のナショナルチームメンバーを選考する大会でもあるため、ナショナルチームに入って活動したいライダーや来年の平昌オリンピックを目指すライダーにとって非常に重要な大会だ。

用意されたコースは フラット−アップ−フラットレール、アップレールからダウンレールに乗せ変える事のできるトランスファーレール、そこからの16mと20mの2連キッカーという2つのジブセクションと2つのキッカーといったコース。
用意されたコースは フラット−アップ−フラットレール、アップレールからダウンレールに乗せ変える事のできるトランスファーレール、そこからの16mと20mの2連キッカーという2つのジブセクションと2つのキッカーといったコース。
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左から2位の大久保勇利(RIDE)、1位の國武大晃(RIDE)、3位の稲村奎汰(MURASAKI)。 優勝したのはフロントサイドダブルコーク1080からバックサイドダブルコーク1260を見事メイクした、國武大晃。2位はフロントサイド1080からバックサイド1260を繋いだ、大久保勇利。3位にはキャブ900からバックサイド1080を繋いだ、稲村奎汰。今大会はジブセクションでの滑りが順位を大きく左右する結果となった。

この大会を観戦して改めて実感したのだが、日本人のジャンプスキルはかなり高いレベルにあるということ。特に “抜けの上手さ” という点においては海外のライダー達よりも綺麗な ”抜け” が出来ているなと僕は感じた。これはKINGSなどのマット施設の発展によって、低いリスクで繰り返し練習できる環境のおかげだろう。体格で劣る日本人にとって、 ”抜け” を極めることが世界で戦う為に重要な一つのポイントになっていくのかもしれない。

そして、個人的な意見を1つだけ言いたい。
今大会は世界大会のような ”20M級のキッカーと難度の高いジブを設置し、ハイレベルなトリック合戦になってほしい” という狙いが主催しているSAJ(全日本スキー連盟)にあったと思う。実際、それに沿うようなハイレベルなアイテムが用意されていた。国内のスロープスタイルの大会でここまでハイレベルなコースはほとんどお目にかかれない。しかし、コースの斜度や地形の形などに対して、このコースを作るには少し無理矢理感があったようにも思えた。そのため、ライダー達も少し窮屈そうに滑っていたように感じた。『この大会は世界で戦える選手を見極める大会である』と主催者が言っていた。それならば、今後はアイテムの大きさを求めたコースではなく、ライダー達のパフォーマンスを十分に発揮できるコース作りに期待したい。

AIR MIX

昨年は雪不足の影響で開催されなかったAIR MIX。新潟・GALA湯沢にたくさんのライダー達が集まり自らをプッシュし、巨大なスパインをぶっ飛んでいく姿は観ている者をワクワクさせる。大会というよりもお祭りという表現がピッタリだと思う。

セクションは14Mキッカーから20Mの巨大スパインの2つ。ジャッジはキッカー3割スパイン7割くらいで見ているらしい。最終日のスーパーファイナルは晴天に恵まれてグットコンディションだった。
セクションは14Mキッカーから20Mの巨大スパインの2つ。ジャッジはキッカー3割スパイン7割くらいで見ているらしい。最終日のスーパーファイナルは晴天に恵まれてグットコンディションだった。
Photo: Kentaro Fuchimoto 女子の優勝は佐藤亜耶(GNU)。ぶっ飛んでいたのはもちろん、スタイリッシュな飛びをしていたのが印象的。女子の中でスタイルや安定感は飛び抜けていた。
Photo: Kentaro Fuchimoto 女子の優勝は佐藤亜耶(GNU)。ぶっ飛んでいたのはもちろん、スタイリッシュな飛びをしていたのが印象的。女子の中でスタイルや安定感は飛び抜けていた。
Photo: Kentaro Fuchimoto男子の優勝は工藤洸平(DRAKE)。スパインでのフロント360やアーリー180など技のバリエーションが豊富。とにかく、スタイリッシュでカッコよかった。
Photo: Kentaro Fuchimoto男子の優勝は工藤洸平(DRAKE)。スパインでのフロント360やアーリー180など技のバリエーションが豊富。とにかく、スタイリッシュでカッコよかった。

現在のコンペシーンは採点競技である事やトリプルコークなどトリックが複雑化していることもあって、観ている側には、一見誰が勝ったのかわかりづらいと思う。それに比べてこのAIRMIXはスパインでぶっ飛んだライダーが勝つといったわかりやすく、シンプルなシステム。観客も一体になって盛り上がれる面白い大会だと僕は思う。ぜひ、多くのスノーボーダーに観てもらいたい。

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