スノーボーダーという人種は、きっと誰よりも温暖化に敏感のはずだ。空からの贈り物である雪がないと楽しむことができないのだから……。
ただ、ラッキーなことに、ここ2シーズンほどは雪に恵まれ、最高の冬を過ごされた方も少なくないだろう。来る冬もラニーニャの影響で豊富な積雪があると予想されており、今からスケジュール調整やギアの準備に余念がない方もいらっしゃるだろう。
だが、幼い頃は実家に雪が降り積もっていたけど、最近はめっきり雪が降らなくなった。雪は降るけれど、以前とは降り方がまったく異なってしまった。そういった事態が身近に起きてはいないだろうか。
そう、すでに世界の気候は大きく変動しようとしているのだ。
「気候危機は、いのちの問題」を訴える気候マーチ
さる9月23日(金)。世界気候アクションの一環として「FRIDAYS FOR FUTURE TOKYO」主催による気候マーチ@渋谷が3年ぶりに開催された。
2019年の気候マーチにも参加していたPOW JAPAN。そして、今回もPOW JAPANとタッグを組んでアクションを起こしたのが、スノーボードのリーディングブランドであるBurtonだ。
15時半のマーチ開始から遡ること約2時間。
東京・原宿にあるBurton Flagship Tokyoでは、少しでも多くのスノーボーダーや、休日にショッピングを楽しむ人を巻き込むべく、ショップ前に組まれた特設テントでPOW JAPANの代表理事を務める小松吾郎をはじめ、Burton Japanのスタッフや一般参加者たちが、マーチで掲げるメッセージボードを作成するため、使用後のダンボールに自身の想いや考えを書き込んでいた。
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ひとりでは行動しにくいことも、同じ考えを持った仲間がいれば立ち上がりやすい、そして声を上げやすいものだ。最初はガラガラだったテントも、いつの間にか家族連れなどで賑わっていた。
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さて、ここで気候マーチで、どういったことを訴えたいか。小松吾郎に話を聞いた。
「雪が減ってる。以前よりもあったかくなってる。それはスノーボーダーなら多くの人が感じていると思う。そして、何かしないといけないっていう想いを持ってる人も多いはず。ただ、それを行動に結びつけてない人が多いというか……。ひとりひとりが自分の範囲でやるのもいいんだけど、こういった社会の動きに自分の想いを乗せていければ、もっと大きな力が生まれると思うんです。こういった活動には抵抗ある人もいると思うけど、何かしなきゃって思ってるだけじゃ始まらないから。ぜひこういったタイミングにもアクションを起こしてもらいたいんです。今回もBurtonさんが協力してくれたのは本当にありがたかった。様々なところで行動する人や企業が出てくると、より大きなパワーの連鎖が生まれると思うので。最後に繰り返しになるけど、思ってるだけじゃ何も変わらない。実際にカタチにしていかないと!」
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マーチは国連大学からスタートし、表参道から原宿へ。そして、神宮前の交差点を左折して渋谷駅へ。そこから左折して宮益坂を登って国連大学へ戻るという約3kmにも及ぶルートを、小雨がパラつくなか約400人が歩いた。
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「未来を変えるのは?」
「私たち!」
「必要なのは?」
「気候正義」
「What do we want?(何が欲しい?)」
「Climate Justice!(気候正義)」
「When do we want it?(いつ欲しい?)」
「Now!(今)」
という訴えを叫びながら。
気づけばスタートしたときよりもゴールしたときの人数のほうが多かったように感じた。おそらく、この訴えに賛同した人たちが途中参加したからだろう。
このままだと大好きなスノーボードができなくなるかもしれない。だから、何かしないといけない。だけど、何をしていいかわからない。でも、今、何かを始めないとダメなんだ。そして、同じ考えを持った仲間と、今、動き出そう。
そう心から思えたマーチだった。
Photo+Text: HaruAki