バンクとRを完全攻略できるかが勝敗を分けた!丸沼バンクドスラロームVol.2レポート

NB4A5721昨年大好評だった丸沼バンクドスラロームのVol.2が、先日3月30日(土)~31(日)に開催された。今年はひとり2本のベストタイム制へと変更になり、初日に大人部門、翌日にジュニア&スキー部門がおこなわれることに。豊富な地形が魅力の丸沼高原スキー場が主催する本大会、はたして今年はどんなコースが完成したのだろうか?
Photo: Tomokazu Kuwano

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2日間に渡り会場には多くの選手とギャラリーが集まった
スキー場とローカル、ショップが一丸となって盛り上げる大会

昨年多くの話題を集めた丸沼バンクドスラローム。ゲレンデとローカルが一丸となってコースを造成し、地形の宝庫である丸沼高原スキー場の強みを最大限に活かしたコースレイアウトが注目視される大会だ。今年はさらにパワーアップし、2日間の参加合計人数は約330名。まさにビックイベントへと成長を遂げていた。

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初日30(土)は男子・女子のMASTER&OPENクラスの競技を開催
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翌日31(日)は男子・女子のキッズ&ジュニア&スキークラスの競技を開催。2日間で合計約330名となった今大会

コース造成には、スノーボード全盛期よりここ片品エリアのローカルシーンを支えてきた片品ビアンこと、須藤 桂、宮崎匡介、瀬山寿弥をはじめ、片柳圭介、沼野健補、舘山美和ら往年のローカルライダーたちが関わり、スキー場が開催するこの大会を裏方として支えている。そして、今年から丸沼のパークプロデューサーになった石山 徹が、彼らローカルとスキー場とのコミュニケーションのハブとなり、絶妙なバランスで大会全体をプロデュースしている。さらに、群馬県のプロショップも大会を盛り上げるべく後押しをするなど、多くの関係者たちがまとまりビックイベントへと急成長を遂げたのだ。スキー場がコンセプトとして掲げる、ユーザー(参加者)ファーストの大会運営に、ローカルたちによるコース造成への拘りが凝縮されたバンクドスラローム。これは盛り上がらないはずがない。

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今年も注目が集まったコースレイアウト。はたしてこの舞台でどんなドラマが生まれたのか?
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地元群馬のプロショップ・TRICKSTAR 坂林さんも裏方として大会をサポート。参加したキッズたちにコースのアドバイスをおくる
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開会式で競技説明をする大会プロデューサーの石山 徹
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大会直前に完成したコース全景がこれ。まさにバンク天国!
丸沼高原スキー場の強みを活かしたコースデザイン

今年も造り手たちの拘りと思惑が随所に見られる素晴らしいコースが完成していた。前半はタイトなリズムセクションが続き、第8コーナーには「ボウルバンク」とも言うべく、まるでボウルさながらのセクションが存在していた。実際に滑った感覚では、ラインを外さなければ第1バンクから第7バンクまではオートマテックにテンポ良く流すことができ、ある程度スピードを乗せても第8コーナーのボウルバンクがしっかりとその加速したスピードを受け止めてくれるイメージ。しかし、スピードを乗せすぎてライン取りをミスると途中のコーナーで吹っ飛ばされてしまうので注意が必要。

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前半のタイトなリズムセクション。4つ目のバンクをクリアする新井孝之
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バンクのGに負けないように張り付くことが重要なセクション

その後はバンクトゥバンクの感覚がちょうど良く気持ち良い流れで各セクションをクリアしていくと、12コーナーにまたもやボウルバンクが待ち構えている。しかも特大の。

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バンクトゥバンクで加速するMASTER-男子3位 笛木辰也
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リラックススタイルでRをうまく使い加速していく参加者
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ここが難所となった12コーナーのビッグボウルバンク。JOINT HOUSE 店長もコース整備で大会をサポート
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その難所もスムースなライディングで見事に攻略したOPEN-男子6位 長谷川 篤

ここが今大会一番の難所セクションとなり、より正確なライン取りとスピードコントロールが重要になった。加速しすぎるとDQの危険性や、ボウルの受けで潰されてしまい、減速しすぎると以降のバンクへのスピードが足りなくなってしまう。しかし、そのさじ加減こそがスノーボードに於ける地形遊びの醍醐味でもあるのだと思う点だ。それに、この丸沼バンクドのコースにはもう1つ重要な拘りがあり、それは各バンクに設置された旗門だ。ルール的にその旗門の上部を通過できなければ失格となってしまうことから、バンクのハイラインを滑らなければならないのだが、そのラインこそがバンクのGを最大限に感じることができるので超絶気持ちが良いのだ。まさに豊富な壁地形を持つ丸沼スキー場らしい ”地形を滑る醍醐味” が凝縮されたコースがこの大会の魅力だと言える。

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MASTER-女子1位 鶴岡友紀
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OPEN-女子1位 本多未沙
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MASTER-男子1位 野島 誠
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MASTER-男子2位 南雲利仁

 

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前走で石山 徹もコースチェック
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2本とも安定した滑りで好タイムを叩き出したOPEN-男子1位 今村佑良
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丸沼ローカル藤田森人もバンクのハイラインをキープしながら最大限にGを感じ、OPEN-男子2位をメイク
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スタイリーなライディングが印象的だったOPEN-男子3位の萩原雅人。こちらもバンクで踏みまくる

 

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より参加者が楽しめる大会フォーマットへ

今年はより大会を盛り上げるためにスキー場側も昨年の経験を活かし、ひとり2本滑走への変更をはじめ、初日と2日目のカテゴリー分け、またジュニア部門では小学低学年・小学高学年・中学生と3クラスが設けられた。これによりジュニアの参加や、親子での参加も今まで以上に楽しめるようになっていたのだ。

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さらに多くのキッズ&ジュニアが参加した今大会
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親が見守る中、勢い良くスタートするキッズ!
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小学1~3年生-女子1位 長谷川 瑞穂
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小学4~6年生-男子1位 村岡大輔
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キッズだってバンクを踏み込み加速する
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大人さながらのスタイルを出すライディングが特徴的なキッズ
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やっぱり今年もSKI OPEN-男子で見事優勝した佐々木 明。レース中にカメラマンへ向かって余裕のポーズも見せる

もちろん今年も各クラスの優勝者には、バンクドスラロームの総本山「天神バンクドスラローム」への優先エントリー権利が与えられるなど、群馬全体でこのバンクドスラロームを盛り上げる動きは継続している。
大人から子供まで、全てのスノーボーダーがジェネレーションの壁を超え誰でも楽しめるバンクドスラローム。全国各地で開催される中、それぞれのコースへの拘りが、さらなる注目を集めている昨今。今年参加できなかった人も、ぜひ来年も開催予定のこの丸沼バンクドへトライしてみて欲しい。

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▼表彰式PHOTOギャラリー

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ここからは、コース造成に携わったローカル(須藤 桂、瀬山寿弥)より今回のコースデザインについて拘りポイントを教えてもらった。

「コースのコンセプトは、バンクのRやGを使って漕げる(踏める)、とにかくバンクを使えた人が早くて勝つコースにしたかったんです。要はコースのインを沿って早いっていうのは、バンクを使って早いってことじゃなく、バンクの面をしっかり使って踏んでスピードを加速させられるコースです。バンクドスラロームなので、『バンク』を使わなきゃただのスラロームの大会になってしまうので。バンクのRを使ってハイラインで滑るとスピードも出せて気持ち良く滑れるコースを作りたかったんですよね。そのことをコースの造成スタッフの主要メンバーで共有しました。
その中で今年の大きな特徴は、途中の8バンク目と12バンク目に設けたバンクボウルセクションです。踏んでスピードを付けられた人が加速しすぎてしまうと危ないので、そこはしっかりと返してあげる受けがちゃんとあるっていうセクションです。
また前半のリズムセクションはあえてスピーディーな展開にしました。昨年は比較的縦に強いラインで、スピードがどんどん乗っていくようなコースだったんですけど、今年は逆に横に大きく振ってGを感じてもらいながら降りて行けるコースにしたんです。より壁に張り付くことを意識してもらいたかったんです。あと、昨年はライダーズライトのリフト線下を使ったので、今年はレフト側を使いました。レフトの壁をどう活かせるかを考え、雪の量にあわせて調整しました。リズムセクションも全て同じ感覚で気持ち良いだけだと単調になってしまうので、最初はちょっと難しくして、途中気持ち良く流せて強いGを感じてもらって、最後には気持ち良く抜けてもらうようにあえてリズムに変化をつけたんです。コースデザイン側のいたずらを随所に仕掛けたという感じですよね(笑)。
普通バンクを造る際、雪を盛るのにチェーンソーで雪を切り出して雪のブロックを積んでいくんですけど、丸沼は雪質が粉雪だから積めないんです。でもピステンを運転するオペレーターの腕がすごくいいので、ピステンである程度バンクのベースを造っているんです。丸沼のマウンテンデザインを担当する宮崎匡介と、オペレーターとのあうんの呼吸が絶妙なので、かなりイメージの共有がしやすく形にしやすいっていうのもありますよね。
バンクドスラロームって子供から大人まで幅広い世代で楽しめるっていうのが一番いい部分だと思うので、旗門の位置もクラスによって配置を変えました。子供のクラスなんかは、少し優しくしたりして、簡単すぎず難しすぎずっていう絶妙なバランスを調整して、飽きないラインどりができるように心がけましたね」

▼造り手たちによるトレインライドがこれ!