10代から競技者としてハーフパイプの大会を転戦し、長野オリンピックに出場した渡辺伸一。長きに渡りライダーとして活躍してきた彼に、スノーボードシーンとギアについての話を聞いた。
—19-20シーズンはどんな動きをしていましたか?
渡辺:北海道を中心に活動していて、現在は次世代スノーボーダーを育成するスノーボード少年団COMPASの活動を中心にキャンプやイベントの開催、大会ジャッジなど、スノーボードシーンを盛り上げる活動をしていました。雪不足やコロナの影響もありましたが、今シーズンも良い雪で最高のスノーボードができました。
—最近はどんな活動をしていますか?
渡辺:オフシーズンは札幌KINGSなどで少年団のレッスンやSAJ(道連)のコーチ、プライベートではサーフィンやスケートボードなど夏のヨコノリ時間を楽しんでいます。
—長年スノーボードに携わってきた中で、スノーボードシーンやライディングスタイルの変化やギアの進化など、様々な移り変わりを見て、体感してきたと思います。長野オリンピックに出場された時と近年をくらべて、スノーボードシーンやライディングスタイル、ギアはどう変わったと思いますか?
渡辺:当時、僕は10代からハーフパイプの大会をメインにアスリートとして活動してきました。今はその経験をもとにBCやフリーライドでさらに経験値を上げて、今はジュニアの育成のほか、たくさんの人にスノーボードの楽しさを伝えています。近年は昔に比べて日本もパイプやパークの規模も大きくなり、海外に少し近づいてきたと感じます。ギアについても様々なカテゴリーに特化したギアも増え、軽量化や機能も過去とは比べ物にならないくらいテクノロジーが進化していますね。
—スノーボードシーンやギアの「以前の良さ」と「今の良さ」、それぞれを挙げるなら?
渡辺:スノーボードシーンについては、以前はカルチャー色が強く、海外からの刺激も大きく自由なカッコよさがありました。今はいちスポーツと認知されてきてスポーツとしてのカッコよさが一般的になっていると思う。ギアについてもボードなら以前はフリースタイルかアルペン、バインディングでいうならソフトかハードというくらい選択肢が少なかったけど、今はいろんなカテゴリーに特化したギアが増えてきて、求める滑りに合う、使いやすいギアを選ぶ幅が広くなりましたね。
—シーンやご自身の変化に伴って、ライディングスタイルも変化したのではないかと思いますが、その辺りはいかがですか?
渡辺:10代の頃から20年以上 競技者としての活動をしてきたので、当時はハーフパイプ、パークで大会に向けて練習という意識で滑ってきましたが、ふと山を見たときにそこに作られたごく一部しか滑ってなく、とても狭いスノーボードをしていました。「もっと山全体を楽しむのがスノーボードだ」と気づき、その日の雪質や地形、斜面に合わせてベストなラインを滑るところに楽しさや難しさを見つけるようになりました。
—今使用しているバインディングは?
渡辺:SPのBROTHERHOOD。とても軽量でアルミのベースプレート、ヒールカップを必要としないハイバックがブーツと一体化し、ボードへの力の伝達がスムース。やや柔らかめのハイバックが粘りのあるターンをサポートしてくれます。2アクションで装着でき、1アクションで脱ぐことができる脱着システムはとても早くて楽なところも良く、一度使うと他のシステムのバインディングとの違いがわかります。
—合わせているブーツは?
渡辺:HEADのFOUR BOA FOCUS。BOAフィットシステムなので脱ぎ履きがとても楽。W BOAなので微調整できるところや足首部分のカフカットで関節の動きがとてもスムース、防水性も高いところが気に入っています。バインディングもブーツも上達を目指すスノーボーダーはもちろん、初級から上級者まで老若男女問わず、全てのスノーボーダーにオススメです。
—来シーズンはどういう動きをしていく予定ですか?
渡辺:この冬も次世代選手の育成や大人を対象としたキャンプの主催、FWTなどの大会ジャッジをしつつ、BCフィールドでの経験値を上げてキャンプなどに活かしていきます。
—今後はどんなスノーボードをしていきたいですか?
渡辺:今はスロープスタイルなどのジュニア競技者の育成が多いのですが、そこからさらに深いフリーライドの世界の伝える活動やスノーボードの楽しさを子供から大人まで、すべての世代に伝える活動をしていきたいです。
【Profile】
渡辺伸一(わたなべ・しんいち)/1977年3月17日生まれ、 北海道出身。
■身長/160cm ■スタンス/53cm
■アングル/ 前18度、後ろ-6度
■ホームマウンテン/キロロリゾート
■好きなライディングスタイル/スノーボード全て好き!