キッズレッスンやキャンプを主催しながら、公式戦や草大会のMC…自身もライダーとして滑り続ける太田有紀。今や自身の子供達も大会に出場するほどに成長し、かつて「一緒に遊ぶ」だけだった雪山の時間が、「共に挑戦する」場へと変化してきた。 ママであり、ライダーであり、そしてスノーボードカルチャーを未来へ繋ぐ“育て手”でもある彼女に、今のリアルとこれからの展望を聞いた。
Q1. 前回のインタビューからお子さんの成長とともに、ご自身のスノーボードライフにどんな変化がありましたか?
太田: 昔は「子どもと一緒に楽しめたらいいな」っていう気持ちだったけど、今はもう完全に“チーム”ですね(笑)。上の子も下の子も大会に出場したりして、ジブなんかはもう完全に負けてるって思う場面もあります。(笑) 前回記事はこちら 一緒に滑ることが、お互いの刺激になっていて、今シーズンは親子で初めてスラロームの公式戦にも出ましたwいつの間にか、教える側というより「一緒に高め合う仲間」みたいな存在になっていて、それがすごく楽しいです。「一緒に楽しむ」から「共に高め合う」へ



Q2. 「親」として「ライダー」として、子どもたちを見守る今の感覚は?
太田: 親としてはやっぱり安全面がすごく気になります。でもライダーとしての自分は、過去に「ここは攻めどころかも…」って感じる瞬間もあったし、そのバランスは常に意識しています。 最近は“コーチ”でも“親”でもなく、“共に挑戦する仲間”として接してる感覚が強いかも。一緒に滑って、「うわ、すごい!」ってお互い驚き合える瞬間が、ほんとに最高!最近では、子どもたちの技術も上がってきた分、「どこまで挑戦させるか」「どこでブレーキをかけるか」の判断も、より大切になってきています。
Q3. キッズキャンプや親子イベント、そしてママたちの学びの場も広げておられますよね。今、大切にしているテーマはなんですか?
太田: 今、一部で“映え”や“目立つ技”を優先して、まだ体も技術も未熟な子どもに無理な滑りをさせている場面を見ることがあって…。正直すごく心配になります。 私は「挑戦」と「無謀」は違うと思っていて。ケガをしてしまっては元も子もないし、正しいステップを踏んでこそ本当の上達があるはずなんです。うちのキャンプやイベントでは、“安全”と“基礎”を何より大切にしています。まずはしっかりフリーランができるようになること。それができてはじめて、本当に「楽しい!」って思えるチャレンジにつながっていく。焦らなくても、ちゃんと上手くなるから大丈夫。 私は、子どもたちの未来を“長い目”で見ていたいし、親御さんたちともそういう意識を共有できる場を作りたいなと思っています。Q4. 母としてもライダーとしても全力な日々だと思いますが、“素”に戻れる瞬間や、心がリセットされる時間は?
太田: 実は、ヨガを日常的に取り入れていて、呼吸に意識を向けるだけでもすごく整うんですよ。私は本来のハタヨガが好きで、静かな時間の中で、自分の内側と向き合うことができる。 あとは、自然の中にいるだけで不思議と元気になります。バタバタしていても「ふぅ〜」ってひと息つける時間があると、またがんばれる。そういう“止まる時間”を意識的に作るようにしています。 ヨガのクラス開催も継続していて、最近はお寺ヨガも行っています。 @yujlife_yogaQ5. MC・陸上…新しい挑戦が教えてくれること
太田: 最近は“新しい挑戦”も増えていて、たとえば数年前から呼んでいただけているPSA・JSBAの公式戦でのMCもそのひとつです。進行はもちろん、技名を間違えないように集中したり、選手の気持ちを汲みながら会場を盛り上げたり…緊張感はあるけど、すごくやりがいがあって。協会の方々と連携しながら「大会をもっと盛り上げたい」という気持ちでマイクを握っています。伝える立場だからこそ、言葉の力や空気感づくりを大切にしていきたいです。








Q5. 今後、挑戦していきたいことはありますか?
太田: 親子スノーボードが、特別なことじゃなくて「当たり前」になる未来を作りたいです。一緒に楽しむだけじゃなく、育ち合える関係性をもっと広げていけたらいいなって。 今は未就学の小さな子たちと滑る機会も多くて、ふじてんスノーリゾートで開催して10年目を迎える NERiNE Snowboard Academy @nerine.s.a の『親子スノーボード教室』では、初めて板に乗るキッズと向き合っています。さらに、狭山スキー場では『Futurehead』プログラムで、スノーボード初体験の子たちのレッスンを年に3回、ヘッドコーチとして担当させていただいています。もちろん『雪ママサークル』も盛り上がっています。 そして今後は、さらにレベルアップしていくキッズたち、次のステージを目指す子どもたちへのサポートにも力を入れていきたいと考えています。今シーズンは栂池高原スキー場で『親元を離れて2泊3日でフリーライドキッズレッスン』も2回行いました。さらにそれ以上の企画も考えていて、まだ具体的には言えない部分もありますが、確実に“次の形”を見据えて動き始めています。


Q6. 忙しい毎日の中で、どうやって活動の時間を作っているんですか?
太田: 正直、座る時間ってほぼないです(笑)。もう基本は“動きながら考える”スタイル。時間って「どこかにある」ものじゃなくて、「どう作るか」だなって思っていて。段取りをしっかりして、すぐ動けるようにしておくのがポイントですね。 ありがたいことに私は“続けること”が得意なので、どんなに忙しくても「やりたいことをやり続ける」体力と気持ちは持ってるんだと思います。 最近は子どもたちもすごく協力的で、荷物を運んでくれたり、おにぎりを作ってくれたりするんです。もう“チーム太田家”ですね(笑)。こうして一緒に準備したり、支え合ったりできる関係があるから、続けられているのかもしれません。 「自分のやりたいことは、家族で共有して一緒に叶えていく」そんなふうに考えるようになってからは、忙しさもポジティブに感じられるようになりました。 でもこの仕事って、実は「子どもが熱を出したら、その瞬間に現場に行けなくなる」っていう、すごくシビアな面もあって。だからこそ、体調管理にはかなり気を使っています。 食事はできるだけ手作り。おやつも手作りが基本で、食材もできる限りオーガニックのものを選んでいます。おかげさまで、うちの子たちはあまり風邪を引かないんですよね。健康でいてくれるからこそ、こうして活動を続けられている。だから私は、食や生活のリズムといった「見えない部分」も、すごーく大切にしています。Q9. オフシーズンはどんなふうに過ごしていますか?楽しみにしていることってありますか?
太田: オフの楽しみ、めちゃくちゃ大事です(笑)。 まず、カムイ御坂スキー場が近いので室内ハーフパイプは、選手時代からもう20年以上楽しんでます。











最後に一言!! 太田: 「子どもがいるからこそ、見える景色がある」 そんなことを実感しながら、これからも家族と仲間たちと一緒に、スノーボードの楽しさや可能性を広げていけたら嬉しいです。 今後も、“親子で楽しめる雪山”をもっともっと当たり前にしていきたいです!そして親子で雪山あそび全力で楽しんでいきます♪ 一緒に笑って滑って、たまには転んで(笑)そんな時間を大事にしながら、いろんな人とつながっていけたら最高です!

【Profile】
氏名 太田 有紀 / 1981年7月24日
■身長/153cm
■スタンス/レギュラー
スタンス幅/ 48cm
■アングル/前15度、後ろ-3度
■スノーボード歴/20年
■ホームマウンテン/ふじてんスノーリゾート
■使用アイテム/
ボード:SOLECE
ブーツ:JILL LYT BOA FOCUS
ビンディング:NX TEAM
■Instagram/@nerine_yuki