SPバインディングには、【ファステック】装着システムがある。このシステムは、ライディングにどのようなプラス効果を与えてくれるのだろう。臼井裕二に聞いた。
ファステックとは
ヒールカップがなく、ハイバックをあげて足全体をツマ先側に押し込むように力をかけて装着するリアエントリーシステム。
—現在「sLAB.ONE」を使用されていますが、【ファステック】搭載モデルを選んだ理由を教えてください。
臼井:「ボードとの一体感が欲しい」と思ったことがきっかけです。初めて装着した時はもう、衝撃でしたね。構造上「反応は良いだろうな」と予想してましたが、全方向にこんなにも反応してくれるとは……予想を遥かに超える反応にびっくりしたのを覚えています。
—そんなに反応がいいんですか?
臼井:とても速いです。足裏がバインディングにピタッと吸い付く感覚が強く、ジョイスティックのように全方向に反応してくれます。反面、くるぶしから上部はハンモックの様にフレックスしてくれるので、動きの妨げになりません。豪快に動きながら足裏では雪面と親密に対話できる。そんなバインディングです。
—【ファステック】が使いやすいと思うポイントは?
臼井:脱着の速さもさることながら、毎回同じ締め加減で装着できるところです。あらかじめ締める場所をセットしてからロックする構造なので「締めムラ」が無い。なので、いつも同じ条件で滑れます。大会などはついつい締めすぎてしまいがちですが、このシステムならそれも防げます。
—【ファステック】を使用していて感じる利点を教えてください。
臼井:トゥサイドのドラグはまだ耐えられる(リカバリーできる)場合があるのですが、ヒールサイドでのヒールカップのドラグ(雪面への接触)は一気にエッジングが抜けてしまいます。ヒールカップの無い【ファステック】はドラグ防止に効果的です。細いボードでもヒール寄りにセッティングすることで攻略できる場合がありますので、ぜひ試して頂きたいですね。