大池拓磨さんの環境をテーマにしたニュージランド旅から学ぶこと

先日、patagoniaの来季展示会に行ってきました。来季のラインナップはまだ紹介できないのですが…会場に来ていたpatagoniaアンバサダーでPOW(Protect Our Winter)のアンバサダーのひとりでもあるスキーヤー大池拓磨さんが登壇して話した内容を紹介します。


大池さんは、世界中の山を滑るために旅をする山岳フリースタイルスキーヤー。20代半ばくらいに、雪山を滑ることが自分の人生を豊かにすると気づき、自分が滑り続けるためにどうやって生活をすればいいのかと考えながら過ごしてきたそうです。この2〜3年の間に気候危機の仕組みや解決策を学ぶように。
そんな大池さんは昨シーズン、環境問題をテーマにニュージーランドを旅したそうです。なぜニュージーランドかというと…。ニュージーランドは世界でも進んだ環境先進国で、2025年までに再生可能エネルギー(自然エネルギー)90%を目指し、現在でも70%を超えています。国全体として環境問題を考える土壌があって、小さな子供から大人まで、当たり前のように環境に対する会話が行われるのだとか。ニュージーランドには、プロスキーヤーであり環境活動家という人が多くいて、彼らにインタビューをするという目的があったそうです。

「彼らがどんな活動をしているのかっていうのを教えてもらいました。あと僕が一番知りたかったこと、環境に対してどんな気持ちで向き合って活動しているのか。僕は、今回のニュージーランドではヘリコプターに乗ってCO2を排出しながら山に行くんですね。そんなCO2を排出して「自然いいよ、大好きだよ」って言ってる僕が、環境活動をできるのかどうかがすごく不安だったんですね。そのもやもやみたいな気持ちを晴らさないと、気持ちよく環境活動できないなと思って、それを知りたくてニュージーランドに行ってきました」と大池さん。

これを聞いて、みんな同じように悩んでるんだな、と思いました。私自身も環境に良いことをしたいものの、スノーボードという多くのエネルギーを使う遊びをしてるのも事実…と、もやもやとしていたからです。大池さんの不安は、ニュージーランド人たちの答えで解消されたそうです。

「彼らと過ごしながら学んだのは、まずは行動することが一番大事だということ。ひとりひとりの環境を守る活動や行動はすごく小さいものだけど、それをみんなでやれば大きい力になるし、そういう姿勢自体が地域や国を動かす力になる。僕たちが生きるためには地球の資源は必要だし、CO2も排出する。環境に完璧な人間はいないから、環境に対して何ができるのかを語り合うべきなんだよ、と教えられました」

真面目な気質の日本人は、とかくゼロか100か、という議論になりがちです。特に環境の話だと、一つのエコな行動をしても他がエコじゃなければダメ!と考えてしまいがち。でも完璧じゃなくても良い、と考えれば動きやすいですよね。

先日、長野県と白馬村が「気候非常事態宣言」を出し、2050年に県内のCO2排出量を実質ゼロにするという目標を掲げました。これは白馬村の3人の高校生が主体となりPOWなどのサポートもあり実現したもので、行動が自治体の動きを変えられるというひとつの事例になった大きな一歩ですね。

大池さんのニュージーランドの旅は、インタビューだけではなく、環境に負担が少ない生活を実際に送ってみることも目的だったそうで、電気もガスも水道もないキャンプ場に泊まり、持ち込んだソーラーパネルと蓄電器で撮影機材などの電気も賄い…。さらに畜産にCO2の排出量が多いことから20日間のベジタリアン生活にもチャレンジをするという徹底ぶり。今週土曜日、パタゴニア白馬店にて大池さん本人によるスライド&トークショーが開催され、この旅の様子を聞くことができます。ご興味のある方は是非。

Endangered Species ー雪に生きるー
~ 大池拓磨 スライド&トーク ~