トップコンペティター2人によるクロストーク。鬼塚 雅 × 飛田流輝 vol.2<後編>

前回の記事<前編>では、互いの滑りの強みや、最近のコースやアイテムなどの話をしてくれた2人。今回も引き続き、鬼塚 雅と飛田流輝の2人にコンテストをテーマに対談をしてもらった。今後の目標とは? そして、そんな彼らを影で支えるマストアイテムとは?
Photo: Yoshifumi Shimizu


オリンピックを目指す理由。そして大会の意義とは?

FREERUN編集部(以下、F): 現在、ミヤビよりも下の世代の日本人女子ライダーが活躍しているけど、彼女たちにはプッシュされる?
鬼塚 ミヤビ(以下、M): うーん、プッシュされるというか、今は海外の女子トップライダーの年齢層が高くて……ジェイミー(アンダーソン)がもうすぐ30歳、アンナ(ガッサー)も28歳くらい。だから日本人くらいなんですよ、若いライダーが活躍しているのは。なので、むしろ日本の若いライダーたちで世界のライダーたちをプッシュしているような感じがするんです。ただ、現在は海外にもエアマット施設がいっぱいできたので、今までは少しリードしてたように感じていたけど、これからは一気に海外ライダーが上手くなると思います。

F: 2人はオフシーズンにどこの施設に行くことが多いの?
M: 富山KINGSと埼玉QUESTですね。
飛田流輝(以下、R): 僕はKINGSのライダーなんで、千葉KINGSに週1くらいで通ってます。あとは大きいキッカーで練習したいときは富山KINGSに行きますね。

F: やっぱりエアマットを使用したジャンプ練習施設の存在は大きいもの?
M: はい。あそこがなかったら、まだダブルコークもやってないと思いますし……。この前の夏なんて学校が終わってからほぼ毎日のように行ってましたから。

F: 世界大会を回っていて、最近は日本人ライダーと海外ライダーのレベルの差って感じる?
M: 女子に関してはないと思う。ないよね? 戦えてるよね?
R: うん。そう思う。男子はやっぱりアメリカのライダーたちが上手いって感じますね。日本人ライダーに比べてコースの慣れというか、いろんなアイテムへの対応が早いから。コースのラインどりとか技の完成度もそうなんですけど、総合滑走能力が高い。アメリカのライダーはバックカントリーもやってるし、オールラウンドにスノーボードを楽しんでるのがデカいと思うんです。日本人はパークだけだったりするんで、そういったところに差があるのかなって。ゲレンデの規模も国自体の大きさも違うし……。

F: とは言っても、ルキはスケートボードをやってるからなのか、大会の滑りを見ていてもコースどりが面白いと思うんだ。
M: あ、それはあるかもしれない。
R: それは嬉しいですね。

F: 2人はスロープスタイルとビッグエアだと、どっちが好きなの?
R: オレはスロープですね。
M: 私はビッグエアかな。スロープはセクションも多いからミスするポイントがたくさんある。自分に合わないコースもあるし……いずれにせよ負けたくないけど、より負けたくないのはビッグエアですね。

F: 北京五輪までに磨きをかけたいところは?
R: US OPENなどであったようなR系アイテム、トランジションジャンプみたいなのが次のオリンピックには出てくると思うんですよね。そこでのジャンプの難易度を上げたいし、ジブの完成度を上げたいと思ってます。課題はまだまだ多いっす。
M: 私は持ち技の難易度を上げていくしかないと思ってます。完成度は大会に出ていれば徐々に上がっていくんじゃないかなって思ってるので。だから、今はトリックの難易度を上げることだけに集中してます。
R: オリンピックでどんなトリックが出るか今からは予想しづらいけど、自分は特にスイッチのトリックを鍛えたい。スイッチバックサイド1620とか。あとジブも海外ライダーがやってないようなトリックで、ジャッジを味方につけるクリエイティブで面白い感じの動きを身につけたいです。

F: そういったクリエイティブなトリックは得点に繋がるの?
R: はい、繋がると思います。そのぶんリスクもありますけどね。
M: ジェイミーはクリエイティブに攻められるアイテムへのラインを選ぶことも多くて。そうなればトリック自体の難易度は高くなくても、クリエイティブさで点数は上がっていますね。そういったライダーは観てるほうも楽しくないですか? でも、やってるほうは難しかったりするけど……(苦笑)。
R: でも、すでに今は行かないと勝てない感じだもんね。
M: うん。

F: オリンピックって2人にとってどんな存在なの?
M: 私はすべての大会が大事だと思っているけど、前にも言ったようにオリンピックは4年に1回しかない特別な存在。日本でも多くの人が観てくれるし、影響力も一番ある大会だと思ってます。そこで活躍して、お世話になった方たちやメーカーに恩返しをしたいなって。その気持ちがあるから重点的に頑張ってるんです。
R: オリンピックで結果を残せたら、かなり大々的に取り上げられるじゃないですか。テレビや新聞といったマスメディアにもドーンって感じで。
M: それってモテたいだけじゃないの?
R: うん。いや、スポンサーだったり、家族や親戚にも頑張ってる姿を見せられる場所だと思ってて……。
M: あと、インスタのフォロワーを増やしたいから?
R: そうそう、それも増える……って、おい(爆笑)。オリンピックでいい結果がでれば、その先も幅が広がっていくんじゃないかなって。スノーボードを知らない人にもスノーボードのよさを知ってもらえるチャンスじゃないですか。

F: そもそもコンテストのよさって、どんなところにあるんだろう?
M: スノーボードのカルチャーの部分はもちろん大切だと思います。ただ、大会があるからこそメディアに取り上げてもらったり、いろんな人にスノーボードを知ってもらうこともできると思うんです。あと、トリックの難易度を上げるチャレンジっていうか、大会があるからこそスノーボードの限界を引き上げるってことにも繋がってるんじゃないかなって思います。
R: 大会だからこそ自分の限界を超えたトリックに一か八かでトライすることもあるし、限界に挑戦できる原動力っていうか……。あと、勝てば何百万っていう賞金を獲得できるっていう夢もある。実際に目標を達成して表彰台に立って飲むシャンパンの美味しさは格別ですからね。
M: ルキのシャンパンファイトの動画って見たことありますか? めっちゃ面白いですよ。あれ、使ってもらったら?


世界レベルのコンペティターを支えるELECTRICのゴーグル

F: コンテストだけに限ったことじゃないけど、常に自分の限界をプッシュし続ける2人にとって、やはり目から入る情報は大切だと思うんだ。今、2人ともELECTRICのゴーグルを愛用しているよね?
R: オレは小学低学年のときに、メーカーの人に「このイベントで勝ったら、サポートしてください」って言ってから、もう十年以上はELECTRICをサポートしてもらって愛用してます。

F: ミヤビは?
M: サポートを受けるようになって、まだ2年目なんですけど、昔からトレゲイル・バーグレムだったり、マーカス・クリーブランドだったり、カッコよくて成績を残している選手が多いブランドっていう印象が強かったです。実はELECTRICのライダーにならせてもらう前に、自分でゴーグルを買って使ったんですよ。そのときにレンズが見やすくて! 最初はカッコいいってイメージが強かったけど、実際に使ってみて本当によかったからELECTRICにサポートしてもらえるようになって嬉しいです。


F: ゴーグルって1シーズンにどれくらい使ってる?

R: 4つくらいですかね。
M: 私は3つくらいかな。でも、レンズは10枚くらいはもらってます。かなり付け替えるので。天候によってだったりコケて雪が入ったときだったり以外にも、表彰台のシャンパンファイトでレンズをダメにしちゃうときもあるので(苦笑)。
R: オレもけっこうレンズは付け替えるかも。ただ、昔はすぐに曇ってたけど、最近はレンズのクオリティがめちゃくちゃ高くて、なかなか曇らなくなったという実感はありますね。
M: めちゃくちゃ有名じゃない? ELECTRICは曇らないって。あと、寒さにも強いんですよね。マイナス30度で使用しても問題ないですから。

F: ちなみに、どのレンズがお気に入り?
M: だいたい3種類くらいのレンズを使い分けてるけど、私はよく使ってるブローズピンクかな。あと、とにかくジャパンレンズが見やすいんですよ。曇りの日とか見づらいときに見える本当にいいレンズだなって。よく使うのはブローズピンク以外だと、グレーゴールド、グレーレッド、ブローズライトゴールドのジャパンレンズあたりですね。
R: オレは晴れた日にブローズライトゴールドが調子いいって思う。ジャパンレンズのブローズライトは凹凸がめちゃくちゃはっきりと見えるんですよね。

流輝のお気に入りだという平面レンズ使用のKLEVELAND。ライダー使用率NO.1のモデルだ。

F: フレームは何を使用しているの?
R: KLEVELANDとEGXの2つを使ってます。理由は平面レンズが好きだから。球面も見やすいんですけど、自分の顔に合わないというか……。
M: それ、見た目をよくしてモテたいだけでしょ?
R: 違う違う……いや違わないかも(笑)。オレ、球面レンズをかけたらトンボっぽくなって似合わないんですよね。

F: ELECTRICの球面レンズは大きいし、ルキは顔が小さいからかな? ミヤビは何を使ってるの?
M: KLEVELANDとEGGですね。でも、最近は特にKLEVELANDの使用率が高いかも。球面レンズも見やすいけど、今、私が試しているKLEVELAND+のレンズがめちゃくちゃ見やすくて!

世界中を回るコンテストシーンの中で、雅の視界を最大限にサポートするELECTRICのEGG。広い視界が彼女の実力を最大限引き出す。 Photo: Lee Ponzio

F: 平面レンズでもフレームに合わせて作られた、モールドインジェクションレンズが好きなんだね。
M: レンズの名前まではわからないけど、そうなのかもしれないです(苦笑)。
R: オレも分厚くて硬くてガチっとしているのが好きですね。

F: そっか、今2人が試してるKLEVELANDとEGG、かなり気になってきた。
M&R: めちゃくちゃいいですよ!

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ELECTRIC 20/21 シーズンプロダクトTOPICS
クリアで歪みのない視界を、ELECTRICの「KLEVELAND+」で!

コスパが良すぎるELECTRIC通常版の「KLEVELAND」

タマゴ型レンズが広い視界を約束するELECTRIC「EGG」

雪山までの車内を快適にするELECTRICの便利アイテム

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★PROFILE
鬼塚 雅
Miyabi Onitsuka
1998年10月12日生まれ。熊本県出身。5歳のときに福岡の室内ゲレンデでスノーボードを始め、小学生の頃からジブの大会で好成績を残してきた。その後はジャンプのスキルアップに取り組み、これまでに全日本大会、ワールドカップなどのスロープスタイルで優勝してきた。平昌五輪にも日本代表として参加。

飛田流輝
Ruki Tobita
1999年5月7日生まれ。埼玉県出身。幼少の頃からスノーボードをはじめ、パイプ、ジブ、ジャンプとジャンルを問わずに高いスキルを持っている。2018-19シーズンよりワールドカップを転戦。2019年のUS OPENのスロープスタイルでは7位。先日開催された国内トップコンペティターが集ったSCLOVER CUPでは見事優勝を果たした。