『MOCHIYORI 2026』 世界で広がるセッションカルチャーが川場へ

群馬県・川場スキー場で開催された「MOCHIYORI」。
コンテストでも試乗会でもない、ライダーとスノーボーダーが同じフィールドに立ち、自由にセッションを楽しむイベントとして、近年シーンの中で注目を集めている。
2026年も国内外のライダーが集まり、川場に「MOCHIYORI」のパークが完成。独特の熱気が生まれた。
ブランドの垣根も、プロと一般の境界もない。そこにあるのは、スノーボードという共通言語だけだ。
このイベントを手がけるのが、海外のイベントプロダクション SNOWBOY Productions。
世界のスノーボードカルチャーとリンクするその発想は、MOCHIYORIにも色濃く表れている。

MOCHIYORIとは

MOCHIYORIという名前は、「それぞれが何かを持ち寄る」という意味から生まれた。
滑り、スタイル、仲間、音楽、カルチャー。参加する人が自分のスノーボードを“持ち寄る”ことで、一つの場が完成していく。
形式ばった大会ではないため順位も表彰もない。代わりにあるのは、ライダー同士が刺激し合うセッションだ。
パークではプロライダーが自然にドロップインし、次の瞬間には一般のスノーボーダーも同じラインに挑戦する。
トップライダーの滑りを遠くから眺めるのではなく、同じフィールドで共有する。その距離の近さこそがMOCHIYORIの魅力だ。

今回特に目立っていたライダーのひとり、神宮寺海人。初日、2日目ともにラインをつなぎながら、1つ1つのアイテムでテクニカルな動きを見せ、セッションの流れを盛り上げていた
セッションの中でも存在感のある滑りを見せていた今村佑良。どのイベントでもスタイルを際立たせている表現者

今年で川場での開催は2年目。セクションは昨年と同じ場所ではなく、より広くラインの選択肢が取れるエリアに設けられていた印象だ。レールやトランジションに加え、ユニークなボウル形状のセクションも用意され、ライダーそれぞれが自由なラインを描いていく。
集まったライダーは、昨年に続いて参加している顔ぶれに加え、新たに加わったライダーも多く、イベントとしての広がりを感じさせた。ライダー同士の交流も自然で、MOCHIYORIらしいフレンドリーな空気が会場全体を包んでいた。
セクションの前では自然と人が集まり、トリックが決まれば歓声が上がる。誰かの一本が次のトライを生み、その流れがまた次のライディングにつながっていく。そんなセッションの連鎖が、一日を通して途切れることなく続いていた。

ライン取りに強いこだわりを見せていた松浦宏樹。単体のアイテムよりも、セクション全体をつないでいくようなスロープスタイル的な滑りが印象的だった
女子ライダーの中でも特にスタイルを出した滑りで目立っていたのが、しずく(花田 雫)。ラインの中でしっかり個性を見せていた

SNOWBOY Productionsとは

MOCHIYORIを手がける SNOWBOY Productions は、北米を拠点に活動するスノーボードイベントプロダクションだ。
世界的に知られるイベントが、ボウル地形とトランジションを組み合わせたセッションイベント Holy Bowly。このイベントは、従来のジャンプやレール中心のパークとは異なり、スケートのように流れるラインを楽しむ地形をデザインすることで話題になった。
SNOWBOYの特徴は、単にイベントを運営するのではなく、滑りたくなる地形そのものをデザインすることにある。
ライダーが自由なラインを描き、セッションが自然に生まれるフィールドを作る。その思想は世界のスノーボードイベントに大きな影響を与えてきた。MOCHIYORIにも、そのDNAはしっかりと息づいている。トリックの難易度を競う場ではなく、地形をどう遊ぶか、どんなラインを描くか。そんな自由な発想が、このイベントの中心にある。

昨年に続いて参加したGIGI。日本を楽しんでいる様子が伝わってくるライダーで、今年もセッションを盛り上げていた

今回のMOCHIYORIを現場でまとめていたのが、SNOWBOY Productionsの Krush Kulesza。
派手な見た目もさることながら、会場に流す音楽やセッションの進行など、全体の空気づくりも含めて、会場を楽しいムードへと引き込んでいたのが印象的だった。
ライダーたちがより盛り上がるように、時には一つのアイテムに焦点を当ててジャムセッションのような流れを作る場面もあった。セクションに自然と人が集まり、同じアイテムを使ってライダーたちが次々とトライする。その空気がさらにセッションを加速させていく。
また、ライディングの見せ場を意識した進行も特徴的だった。
フォトグラファーやフィルマーが構えるタイミングを見ながらライダーを送り出すなど、撮影の瞬間をしっかり作ってくれているようにも感じられた。単なるイベント運営ではなく、ライダーの滑りが写真や映像として残る瞬間まで含めてデザインしている。そのあたりにも、SNOWBOY Productionsらしいイベントづくりの哲学が表れていた。

左がSNOWBOY Productionsの Krush、右がGigi Rüf

全員が同じ空間を共有するセッションの一員

今年のMOCHIYORIも、終始セッションムードに包まれていた。
パークでは国内外のライダーが次々とドロップインし、トランジションやレールを自由なラインでつないでいく。
観客というより、全員が同じ空間を共有する“セッションの一員”。
決まったトリックには歓声が上がり、ラインをつないだ滑りには自然と拍手が起こる。そこにはコンテストとは違う、純粋なスノーボードの楽しさがあった。
海外ライダーのスタイルも加わり、今年は特にストリート感の強いライディングが目立った。
レールを中心にしたジブ、トランジションを使った流れるライン、そして遊び心のあるアプローチ。川場のパークが一日を通して巨大なセッションスポットのようになっていた。

スタイリッシュでありながらスケールの大きいエアーで存在感を放っていた小畑魁士。声をかけるとリクエストにも応えてくれるナイスガイで、ライディングも人柄もクールだった
キレのあるトリックを連発し、カメラマンが何度もレンズを向けていた増田リク。撮りたくなる滑りをするタイプだ

MOCHIYORIは、大規模な大会ではない。
しかしその場にあるのは、スノーボードのカルチャーそのものだ。
それぞれが滑りを持ち寄り、スタイルを持ち寄り、仲間を持ち寄る。
川場で生まれたこのセッションは、今年もシーンのリアルなエネルギーを映し出していた。

今回のメインスポンサーのひとつであるAIRBLASTERのライダー、ハクサイ。綺麗なインディーグラブを決め、スタイルのあるエアーで会場の視線を集めていた
今回のパーク設計にも関わった平 光と、AIRBLASTERライダーのあずにゃん。群馬ローカルらしい空気感を感じさせる2人のセッション
独特なライン取りで印象を残していた相澤 亮。黒いウェアを着ていたが、常にフィルマーが後ろにつき撮影していたため、その存在はすぐに分かった

2026年2月14日(土)15日(日)
@群馬県・川場スキー場
Photo & Report: zizo