TENJIN BANKED SLALOM 2017 レポート!

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北海道から参戦した中井孝治はOPENクラス5位。さすがに早かった

全国各地で盛り上がりを見せるバンクドスラローム

3/4(土)〜5(日)、2日間にわたり谷川岳・天神平スキー場でTENJIN BANKED SLALOM 2017が開催された。本誌FREERUNでも昨年の12月号でこのバンクドスラロームのムーブメントを探るべく22ページにわたり特集を組み、近年注目を集めている大会だ。今年も1/23にエントリーが開始されるや否や、定員人数が早くから締め切られてしまう大人気ぶり。また今シーズンは様々なエリアで提携大会が実施され、1/28開催の苗場ナイターバンクドスラローム、2/28開催のNAGAREHA BANKED SLALOM、2/25開催の大日岳バンクドスラローム、2/25開催のGETO BANKED SLALOMと、この4大会において上位選手にTENJINの出場権利があたえられるなど、全国各地で盛り上がりを見せている。

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OPENクラス7位の鈴木翔太

今年もTENJIN BANKED SLALOMへエントリーした実体験をお伝えするとともに、再びバンクドスラロームの人気の理由を探ってみた。

初日土曜日は、朝7:00〜8:30に選手の受付が開始された。張り出されたエントリーリストで自分のビブ番号を確認し、ゼッケンを前足にダクトテープで貼り付け準備完了。リフト券を購入し、参加者は7:30より谷川岳ロープウェーに乗車することができ、いざ会場へ向かう。

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レジェンドスノーボーダー、ブライアン・イグチがアートワークを手がけたTENJIN BANKED SLALOM×VOLCOMのコラボTシャツが参加賞
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スタートリストで自分の滑走順をチェック
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事前に決められた自分のビブNOを探す
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ダクトテープで前足に貼り付けて準備完了!
大会史上最高に気持ちの良いコース

約1週間ほど前から現地に入り、コース造作を進めていたディガーたち。北は北海道~南は福岡と全国各地から駆けつけ、今年もコース造作を順調に進めていた。が、しかし本番数日前の大雪によって、コースが埋まってしまうという事態に。大会前日は立っているのがやっとなぐらいに天候が悪く、遅い時間まで彼らの手によってコース準備が進められていた。

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最高のコースをつくりあげてくれたディガーのみなさん、本当にお疲れ様でした。BIG RESPECT!
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OPENクラス11位のDEUSライダー豊間裕介のスタイルのあるライディング。大会の打ち上げではスタイルを出しキャラ全開の人気者だったようだ

晴天の中、昨日までのディガーたちの作業のおかげでバッチリとリメイクされたコース。さらに万全な状態で本番をおこなうために急遽初日の予選を中止し、この日は参加者たちもタイム計測ではなく、全員でコースインスペクションで滑りながら、みんなでバンクコースを仕上げていく日となった。「みんなで作るバンクドスラローム」これキーワードです。

コースフィーリングはというと、昨年よりも全長が少し長い印象。またバンクトゥバンクのリズムも良く、とにかく滑っていて気持ちが良い。「今までで一番良いコース」だと参加者たちは口を揃えて話していた。実際に自分もこのコースを2本滑ったが、滑りやすく攻めれた。前半はガンガン飛ばすことができ、途中長い廊下があり、その後はタイトなバンクが連なっている。後半を飛ばしすぎると自分のレベルだとコースアウトしてしまう。難しいセクションもあったが、やっぱり気持良い最高のコースだと感じた。

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OPENクラス4位の増田塁揮。こちらもリラックスしたスタイル
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バンクトゥバンクの連なる後半。ここでDQする選手も多かった
1本の滑りに全てを込める本番

翌日の日曜日も天候はドピーカン。昨晩のパーティ会場で出走リストと「ひとり1本」という通知が張り出され、参加者たちはその1本に全てを込めて滑走する。いよいよタイムを計る本番だ。昨日のコースフィーリングをイメージしながら、自分の滑走順を待つ。今年からエントリークラスが細かく分けられ、グランドマスター、マスター、グロム、ジュニア、オープン、アマの順でレースがスタートした。
だんだんと自分の滑走順が近づくにつれ、ワクワクとドキドキが交差する。普段あまり味わうことのない、まるで小学校の50m走前のようないい緊張感。自分の番になるとゲートに立ち、合図にあわせてスタートを切る。途中、コントロールミスで怪しいバンクもあったが、なんとか無事に完走することができた。ゴールでは、昨日のインスペクションとは比べものにならないくらい疲れて果てている自分がいた。本気でプッシュした滑りというのはFUNな滑りとは比べものにならないくらいの体力を使うものだ。昨年はとにかく完走を目標にあまり攻めずに終わってしまい後悔が残ったが、今年は自分なりに攻めれた気がして清々しかった。しかし、自分の滑りにはまだまだ納得もできない。課題はわかりつつも、とにかく気持ちよく滑ることができて充実した1本になった。

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日曜日の決勝前に安全祈願祭がおこなわれた
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スタートテントの様子。この瞬間はドキドキとワクワク
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谷川岳で数々の写残や映像残すこのエリアの顔、勝山尚徳
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OPENクラス2位となったTemple Cumminsの滑り
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こちらもTemple
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今年のOPENクラス WOMENで見事優勝した中村陽子と、彼女をサポートするウエアブランドGREEN CLOTHING代表であり、G-MASTERクラスで優勝したレジェンド田口勝郎
次世代へ引き継がれる
あたらめて感じたバンクドスラロームの魅力

滑ることさえできれば、誰でも参加できるのがバンクドスラロームの魅力だ。今大会はとくにキッズのレベルの高さや、親子で一緒にエントリーするライダーや参加者も多かった。世代やレベル、ジャンルを超えシンプルにスノーボーディングの基礎的な部分にあたる「滑ること」を楽しむ大会。このピュアなコンセプトはしっかりと次世代のスノーボーダーへバトンタッチされている。このムーブメントは一時の流行という枠にとらわれることのないように、今後も全国に多くの大会が生まれ、リアルなプレイヤーを増やしていってもらいたいと感じた。

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juniorクラス優勝のCanon Cummins。見事なバンクさばきだった
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レベルの高いキッズが多かった今大会
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キッズからするとバンクのサイズも大きい
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日本スノーボード界のレジェンドたち

参加した全員が楽しむことができ、いい緊張感を味わいつつも自分をプッシュすることができるバンクドスラロームの大会。滑った後には、それぞれが自分の中で目標や課題などがきっと生まれるはずだ。

まだバンクドスラロームの大会にエントリーしたことのない全国のスノーボーダーのみなさん。残りのシーズンも各地でまだまだ大会があるので、ぜひ一度エントリーして、この楽しさを共有してみてもらいたい。そこにはピュアなスノーボード・コミュニティーがあり、スノーボーディングが生涯の遊びにできると気づけると思います。

RESULT
TENJIN BANKED SLALOMオフィシャルHP
オフィシャルFB

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ゴール付近にはブランドブースが並び試乗会やNEWモデルが展示され賑わっていた
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今年もコミカルなMCで会場を沸かせた上田 豪(左)と大江信行(右)
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バンクドスラローム特集を掲載したFREERUN12月号を持ってきてくれていた上田 豪
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GROMMETクラスの表彰。吉野康人の息子「吉野あさひ」や小西隆文の息子「小西李生」も表彰された
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OPENクラスWOMENの表彰。中村陽子の1位が決まると、会場も彼女も盛り上がった!
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OPENクラスMENの表彰。1位はスウェーデンのPontus Stahlklooが1’29″48のタイムで見事優勝した
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大会プロデューサー: 福島大造のエンディング挨拶。最高の大会運営、お疲れ様でした!
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2日間ともに最高の天候に恵まれた、2017 TENJIN BANKED SLALOM。ピュアな滑り手が集まり、この素晴らしいコミュニティが次世代へ受け継がれていく確かな手応えがあった大会だった