ROUND 12 PSA ASIA CHAMPIONSHIP

遥かに望む丘陵の彼方に聳え立つ富士の頂が煌々と輝く。雲一つない透き通る青い天中へとむかう太陽からの日差しがグランプリコースを強く照らし気温を上昇させる。

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全長510m、スタートハウスを挟んで並ぶ2対のゲートはスタート直後からの最大斜度25° を駆け降りゴールへと延びる。いつも通りレッドコースは右へと大きく垂れ、都合を合わせてコース後半の棚へ、ブラインドの落ち込みを越えると標高差160m麓のフィニッシュを迎える。23.5m程度か大きく降り込まれたゲートは下地がしっかりと締まった急斜面を重力を逆らうかのように左右に配列され、棚の前のバナナからフィニッシュを伺う。GSS代表、松里氏の練り込まれたセットが選手を嘲笑うかのように静かに待ち受ける。

今回が初開催となったPSA ASIA CHAMPION SHIP。中国選手を迎え新たな初タイトル奪取に向けて闘いが始まる。
ツアーとは趣の違う大一番、ポイント争いとはまた別の、ここ一発の勝負となり見応え十分な1戦となった。

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通常の2本の予選をこなし、KOファイナルとなるが、今回は初のシングルフォーマットの採用となり、KOファイナルでの1本の爆発力が勝負の行方を大きく左右することとなった。

予選を終え各自KOフィナルのグリッドを埋めてゆく。

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女子は1本目左、ブルーコースで37.92と1人一線を超えた志鷹(OGASAKA)が2本目も38.48と速さを魅せつけ一人旅の様相をみせる。1本目右、ブラックコースで38.99と速さをみせた越坂(Blackpearl)は2本目ブルーコース中腹でボードを大きく流し42.97とタイムを落とす。2本目にブルーコースで41.12と快走し順位を上げた丸山が越坂を躱し2番手のグリッドを奪い取る。4番グリッドには2本目に40.24と志鷹に迫る勢いのタイムをだした村田が好調な滑りで4番グリッドを確保、KOに向けて好位置につけた。以下僅差で勇上(SG)、三塚(AMICSS)塚本、渋井(GREX,S-W-S)と続きグリッドを埋めた。

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男子は予選1本目、右、ブラックコースで33.64と驚異的なタイムを叩き出した今(YONEX.MAC)が、2本目も左ブルーコースで35.61と、合計で69.45と一人、先を行く。

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一方、1本目ブルーコースでひしめくトップ集団は川口(PANDASTUDIO)の34.82を筆頭に35秒台が混戦。2本目で35.47、合計タイム70.29で2番グリッドの川口が今に追走。2本ともに35秒台で喰らえつく、野藤(MOSS)が71.10、僅差の71.25で戸田(SG*UPZ)、2本目36.04の河島(AMICSS)が71.26と戸田に接敵。篠原の71.47、背後に72.01の後藤(RABANSER)、72.73の小嶋([SN])が8番グリッドを死守。以下、73秒台の澤井(monster ja)らが後にひしめく。

KOオーダーは

女子
Heat1,8.渋井vs1.志鷹、H2,5.勇上vs4.村田、H3,6.三塚vs3.越坂、H4,7.塚本vs2.丸山

男子
Heat1,16.佐川vs1.今、H2,9.澤井vs8.小嶋、H3,12.黒木vs5.河島、H4,13.杉本vs4.戸田
H5,14.今井vs3.野藤、H6,11.大森vs6.篠原、H7,10.清水vs7.後藤、H8,15.宮尾vs2.川口
と出そろった。

ツアーとは違い、シングルフォーマットの採用された今大会、KOファイナルに向け上位者がコースを選択する。KO前のインスペクションでコースをじっくりと吟味する各選手。選択権のない下位の選手も2通りの作戦を立てて試合に臨む。上位陣側の選択は如何に。比較的コースの綺麗な右、ブラックコースは垂れがきつくスパートのタイミングに苦慮をする。かたや、急斜面を下りきる前に高い位置からバナナを迎える左ブルーコースは後半が速いがコースの痛みが激しくミスを犯せば取り返しが厳しくなる。見る側にとっても誰がどちらのコースで勝負をかけてくるか、グリッドに入る前から勝負は俄かに動き出しをみせていた。1本のみ勝を取れば駒を進める。渾身の1本が決着をつけてゆく。

男子1st Round。Heat1. は、予選最速、今の選択は、1本目の神憑りの速さを再度みせるか右のブラックコース。刺客となる佐川(F2)が鬨の声を挙げる。スタートダッシュ、佐川が決死のアタックでゲートを攻めると、2旗門目から今を引き離しにかかる。猛然と駆ける佐川に半身後れをとる今はしたたかにラインを上げる。更に引き離しにかかる佐川の前足のバインが解放し今のコースへ滑落すると寸でで佐川を躱した今が悠然とフィニッシュをきった。
Heat2. ブルーコースを選択した小嶋が4旗門目で詰まる。己の滑りに徹する澤井はペースを守りわずかに前へ出ると、焦りのでた小嶋が堪らず7旗門目で再びボードを大きく流し澤井に離されると、1旗門分の遅れを取り戻そうと猛追、緩斜面で速度に乗せ澤井に迫りくるもフィニッシュには僅かに届かず、澤井に軍配が挙がった。
Heat3. こちらも河島がブルーを選択。喰らえつこうとする黒木(MOSSFLUX)を徐々に突き放し2旗門の差をつけて勝ち上がり。
Heat4. 戸田もブルーを選択。スタート直後から杉本(SG JAPAN)がタイトに攻め前に出るも、ラインを引き上げる戸田が勝負処をさぐる。堪らず8旗門目で詰まった杉本を確認し戸田がフィニッシュを切った。
Heat5. 同じく野藤もブルーを選択。猛追も5旗門目まで、並びにかかる今井(F2*VOLTAGE)のヒールサイドが僅かに流れ、野藤のハイペースを崩すことはかなわず、距離は縮まることなく野藤が1旗門差をつけゴールする。
Heat6. ブラックコースを選んだ篠原が迷うことなく滑りきり大森に1旗門差で駒を進める。
Heat7. 後藤もブラックを選択、スタート出遅れた清水は早々に自滅し、安定の速さで大差をつけた後藤が1/4ファイナルへ進む。
Heat8. 川口もブラックコース。こちらも早々に自滅した宮尾(ALC-OGA)を置き去りにしてクオーターに勝ち上がる。

男子の1stラウンドの状況をうけ、女子のグリッド選択が興味をそそる。4名中、3人がブラックコースを選択。
Heat1. 志鷹がブラックコースを駆り、渋井を大きく引き離した。
Heat2. 村田がブラックコースで快走、序盤のミスで大きく遅れた勇上が後半追い上げ肉薄するも届かず。
Heat3. 並走する越坂と三塚。自ら選択したブラックコースで僅かに前に出た越坂であったが、垂れに捕まりヒールサイドが流れる。崩れぬ三塚が落ち着いてゲートを処理し、食い下がる越坂を抑え下剋上を果たす。
Heat4. ブルーを選択した丸山が塚本に大差をつけ余裕の勝ち上がりとセミファイナルのグリッドをうめた。

男子も肉薄の1/4を迎える。ここへきて上位陣はブラックコースを選択した模様。ブルーコースの痛みが激しいか。面の綺麗に残るブラックコースを駆り、相手のミスを誘う狙いもあろうか。上位陣の選択はブラックコースに移行しつつある。
再びブラックコースを選択した今と、下剋上で波に乗る澤井は、スタート直後から互いに譲らない対決。コース中盤で澤井が前に出ると緩斜面へ向け上手く速度をつないだ今が並びにかかる。後半の延びが僅かに勝った今が接戦を制した。

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1回戦、互いにブルーコースを選んでいた。戸田と河島。急斜面、常に半身、僅かに、前に出る河島に対し、ブラックコースを選択し策を持つ戸田が緩斜面入り口、高い位置からスパートをかけ河島を躱す、フィニッシュ間際で河島が走らせるも僅かに届かず。僅差で戸田が勝ち上がった。

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ブルーからブラックに選択を変更した野藤がスタート直後から前に出ると、堪らず篠原は自滅し後塵を浴びる。落ち着き払った野藤が余裕をもってフィニッシュを切る。
川口は変わらずブラックを選ぶ。1回戦ブラックだった後藤は序盤探るかのようにブルーコースを下り川口が前を行く。急斜面、川口の背後に食らいついて我慢した後藤が後半へ向けバナナからスパートをかけ川口に並びかけるが、前を行く川口に追いつくことはできず。落ち着き払った川口が後藤をくだした。

初のシングルフォーマットの採用で展開が速い。セミファイナルに出そろった各4名の体力も常よりも十分に残されている。コースを選択し1本の滑りに徹する新な戦術がゲームを楽しくさせる。テンポよく進行するシステムにより観客もストレスが少なくい。照り付ける日差しが熱く肌を刺す。気温は更に上昇し、張り付くソールに対しワックスの調整が厳しくなってきた。3日前の春の嵐により雪面には樹脂が大量に落ち、黒く粘る脂が滑走面を汚す。

女子#1志鷹 vs #4村田、#6三塚 vs #2丸山。
男子#1今 vs #4戸田、#3野藤 vs #2川口
と見応えのある面子がグリッドを固める。

セミファイナル
ブラックを譲らない志鷹がリード、食い下がる村田が背後につけるが6旗門めで堪らず自滅すると大きく離れた差は埋まることなく、余裕の勝利で志鷹が決勝に望む。
丸山はブルーを譲らず縦に短くゲートを繋ぎ三塚を引き離しこちらも余裕の滑りで決勝に体力を温存した。

こちらも常にブラックコースを守る今、スタートを見事に合わせた戸田が胸一枚前を走るか。積極的に攻める戸田のヒールサイドが今よりも先に雪面を捉える。トウサイドで時間を削り戸田に喰らえつく今もラインを上げて戸田に並びかける。並走しているかのように見えるがスタートの僅かの差だけが残されたまま急斜面を駆け下る。ブルーコースを読み抜き先に仕掛けた戸田がバナナ手前から更にリズムを短く詰めると、遅れまいと今も再び戸田に並びかけるがやはり縮まりきらない僅かの距離をのこしたままフィニッシュを切った。
ここにきて動いた川口の選択はブルーコース。同時に飛び出す両者がゲートを掠めていく。先ほどもブラックを駆る野藤には選択権はなかったが確かな記憶を活かしペースを上げる。攻めあぐねるかのように見える川口を他所目に縦に短く高い位置でゲートを繋ぐ野藤が前に出る。中腹で詰まったかのように見えた川口はリセットをかけるようにバナナ手前から落としにかかると、僅かに膨らんだようにもみえた野藤に並んだ。縺れるがごとく棚から飛び出してくる川口の勢いが勝る。アクセルを踏んだように伸びる川口のボードが先にフィニッシュに到達した。

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3,4位決定戦、女子は三塚を制した村田が表彰台をゲット、男子はKOに入り始めてブルーコースを選び勝負に出た今が自滅し、安定した速さの野藤が1旗門差を維持して3位をゲットした。

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女子ファイナル、志鷹はブラック、丸山はブルーと自分の得意なコースでの勝負。揃ってスタートを切った両者、縦に攻める丸山がすぐに仕掛け前に出ようとラインを絞ると序盤の4旗門目で破綻し早々に決着がついた。棚から飛び込みゴール3旗門手前から柏手を打ちガッツポーズでフィニッシュを切る志鷹。連戦を連勝で括り喜びを噛み締めた。

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女子

優勝 志鷹 あかり(OGASAKA)

2位 丸山 美樹 (AMICSS)

3位 村田 希空

4位 三塚 美幸  (AMICSS)

5位  越坂 綾菜  (Blackpearl)

6位 勇上 華子  (SG)

 

男子、ブルーコースへと戦法を変えた川口、むしろブルーは戸田にとっては好都合か。両者コースには迷いなくグリッドが開くのを待つ。同時にコースへ飛び込む2人の動きは同じタイミングで急斜面へと消えてゆく。拍子は変わらず、しかし互いに我先にとペースをあげシンクロして加速してゆく。心持、大きく低くゲートを攻める戸田のボードが子気味よく動く。重みのあるコンパクトなエッジングが短く節煙をあげる川口のボードがタイトにゲートを狙い僅かに戸田の前へと出たかと見えた次の瞬間、ヒールサイドで大きな煙を上げた。後れをとった川口のボードはゴールを目指し諦めない。限界のグリップを保ちながら緩斜面へと急ぐ。一度リセットがかかったか川口のスピードはすぐさまトップスピードを回復する。

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我知らず、上体を大きくいっぱいに使い逃げる戸田のボードも限界領域で悲鳴を上げる。追う川口が反旗門差を詰めて棚に現れると、逃げる戸田は身体を小さく伏せゴール遥か手前から飛び込んできた。寸でまで追いついた川口の僅か前に、左手を伸ばし脳天でフィニッシュを駆け抜ける戸田が、川口を振り返ると勝利を確信しPSA ASIA CHAMPIONSHIPの初代王者の栄光を受けることとなった。

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男子

優勝 戸田 大也(SG*UPZ)

2位 川口 晃平(PANDASTUDIO)

3位 野藤 優貴(MOSS)

4位 今 拓洋(YONEX.MAC)

5位 河島 広輔(AMICSS)

6位 篠原 琉佑

7位 後藤 友樹  (RABANSER)

8位 澤井 恭介  (monster ja)

中国選手の参加で盛り上がりをみせたPSA ASIA CHAMPION SHIP。着実に力をつけてきている中国選手の今後の活躍も楽しみな大会となります。ツアーとはまた違い、1戦に掛ける選手の戦いがゲームを白熱することとなり見応え新たなレースとなりました。大会会場となった菅平高原パインビークスキー場様のご協力のもと、GSS代表松里氏をはじめ多くの関係者様のお陰を持ちまして無事に終了することができました。深く感謝をいたします。

来期PSA ASIA AL PRO TOURの熱い戦いにご期待ください!

ALL PHOTO by GOKATSU

 

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20th Anniversary PSA ASIA Snowboard Pro Tour Page プロスノーボーダー約340名を擁し、日本最大のスノーボードプロツアーを20年に渡り行っています。速く、高く、美しく…今シーズンもプロフェッショナルな滑り、大会情報を皆さまにお届けします! Official Web