Round 11 GSS presents Sanada Juyushi CUP 2018

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3月初頭、雪も豊富なシーズンではあるがPSA AL PRO TOURは早々とツアー最終戦を迎える。
3戦を終えたところで、女子は今季2勝で最終戦を待たず既にツアーチャンピオンを決めている宮武と、勝ち星はないが常に表彰台で宮武に食らいつく志鷹の一騎打ちの様相。
男子は開幕から2連勝の野藤に対し、3戦目で優勝の川口。北海道の2戦のバリューが上がらずポイント的には優位の川口の3戦目の優勝でツアーランキングは混沌と楽しみな最終戦となる。

ここへきて、平昌オリンピック前のブルガリアBanskoのワールドカップで優勝と20年以上の長きにわたり世界で勝ち星を取り続ける‪ジェシーJ‬アンダーソンの参戦も決まり、ツアーランキングの行方を大きく揺さぶる因子となることで見る側にとっては大変興味深い。

確定している女子とは違い激しいポイント争いが繰り広げられている男子ツアーランキングでは、計算上ではあるが、他がすべてノーポイントに終わることとなれば、現在ランキング7位の杉本までの上位人中7名までにツアーチャンピオンの可能性を秘めている。其々、最終戦で1戦分のポイントを塗り替えるとして残る2戦分の有効ポイントで、ツアーチャンピオンに限りなく近い川口545.81pt、続く野藤534pt、戸田の525.28pt、河島、516.63pt。バリュー1の最終戦の優勝ポイント326として、ツアーランキングチャンピオンのリミットは合計850~60ptあたりが目安になろうか。最終戦で順位を1つ2つ前で終えることになれば一気に羅列が変化することとなる。各自、来期への弾みをつけるためにも1つでも上に順位をあげて気持ちよくシーズンを終えたいところだ。

各メーカー、ニューモデルの発表も終え、新型機の投入など来期への動向ににぎやかなニュースを添える。現場では各選手、其々の思いを馳せ最後の戦いへと聖地、菅平へと集結した。毎年、豪華なゲストを迎え華やかに開催される、GSS presents Sanada Juyushi CUP 2018。翌日に開催される、初のPSA ASIA CHAMPION SHIPをも控え、中国CSTSAから呂若岩選手をはじめ中国選手たちも事前に現地入りをして大会に向けトレーニングに励む。

薄雲が青い空を淡く染め穏やかな日差しが降り注ぐ菅平パインビークスキー場。四阿火山の稜線を望むチャンピオンコースのスタート位置からGSS代表、松里氏のセットが繰り出される。全長670m、スタート直後の26°の急斜面に降り込まれたゲートは右に折れドッグレックへと誘導される。後半の緩斜面、リフト線下を潜りトウサイドのロールを越えゴールへと導かれる。標高差175m、24m前後のインターバル、28旗門を有した緩急の盛り込まれたテクニカルなセット。幾重にも変化する斜度と面が選手の前に立ちはだかる。北東へ向く斜面は傾斜の低い日差しを浴びても当面緩む気配は感じさせない。和かな梅東風に戦ぎインスペクションへと発つ。

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定刻、先ずは初めてのイエロービブを纏う#1宮武(SIG-NATURE)がコースイン、今季2勝で好調の宮武。真新しいクリアなコースを堂々たる快走で58.831と好タイムをマークし3勝目を伺う、すぐさま2番手#4勇上(SG)が61.035とホールドの効き辛い斜面を耐え後続を伺う。3番出走、知ったコースを#7丸山(AMICSS)は59.954と間に割って入り好ポジションをキープ。

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4番出走からは#2志鷹(OGASAKA)が、早々と現地入りをしたトレーニングを活かし、果敢にコースを攻略すると57.212。宮武のタイムを上回り、久々の勝ち星を狙う大きなアドバンテージを蓄えて2本目を迎える。他、上位陣がハードパックに苦戦しタイムが伸び悩む中、ドロー出走の直後からの#9村田が60.112と丸山の背後にピタリとつけると、後方からスタートの#17越坂(Blackpearl)が59.623と快走し丸山を僅かに躱して3番手の好位置につけ折り返した。

男子は#13今井(F2*VOLTAGE)からのスタートする。急斜面で足場を探るようにストレートに責めドッグレックへ飛び込んでゆく。フィニッシュを切った今井は54.178と目安のタイムを掲示し後続の出方をフィニッシュで待ち受ける。

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30秒後、今井のゴールを待たずスタートを切る2番出走の#3戸田(SG)は僅かに流れ出そうとする板を抑え込みながら今井とは対照的にラウンド気味にゲートを斬る。女子同様、未だに緩まないチャンピオンコースの壁はボードのグリップを失わせようと罠を潜ませる。ドッグレックから後半の緩斜面をきっちり攻略した戸田は53.159と好タイムで睨みを効かし後続の上位陣にプレッシャーを与える。3番出走、#4今(YONEX.MAC)は4旗門目でグリップを失いかけるボードを抑え込み急斜面をタイトに弧を描いてゆく。フィニッシュ間際のロールでもバランスを取られるも54.471。

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3勝目を狙う5番出走からの#11野藤(MOSS)も気負ったか、3旗門目で完全にグリップを失いためらうも、タイムを取り戻すためリスタートを切ると危なげな縦なラインでゲートを攻めそれでも53.693と戸田に次ぐタイムをマーク。7番出走から#2河島(AMICSS)も野藤同様、3旗門目で失速、同じく挽回するべくゲートを攻めるも、フィニッシュ前のロールで大きくはらみ再び失速、55.098とタイムをロスし厳しいポジションへまわることとなる。

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続く8番手の#1川口(PANDASTUDIO)は縦にボードを落とし失いかけるボードのグリップを絶妙にコントロールしドッグレッグへと速度を繋ぐ。しっかりと厚く乗せたスピードを緩斜面へと延ばしフィニッシュを切ると戸田を躱し52.312のラップでリーダーを奪取する。続く#16後藤(RABANSER)が55.434、#6KIMUTOMO(F2*ALBERTA)が55.008とポジションをキープ。

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11番出走からは#5‪ジェシーJ‬アンダーソンがスタートする。誰も通らぬ内側から深く畳み込まれたヒールサイドの鋭さが見守る観衆のため息を誘う。強烈にプレッシャーを与えられたスライビングから刹那に切り替えられるエッジが 僅かな雪煙と短い雪音だけを残し、的岩を射貫く矢の如き速さでタイトにかすめる。 遅滞なく滑らかに、むしろゆったりと斜面へ落下する上肢がいっそ速さを際立て、観る者達の言葉を失わせる。ドッグレックを流れ落ちるように処理しフィニッシュで待ち受ける皆のもとへ驚異的な速度で迫りくる。ロールを吸収しクローチングで頭を伏せ、合わせた手でフニッシュを切ると50.407と異次元のタイムを叩き出し2番手川口を大きく引き離した。続く#7澤井(monster jp)は55.376と後藤を躱し、#9小嶋([SN])は54.067と戸田の背後に迫る、#8杉本(SG JAPAN)は54.459と後藤に接敵。熾烈な順位争いが続いた。

2本目。1本目にコース右手に配置されていたゲートは左側に配列を変える。1本目より更にふり幅をもたされた急斜面から、フォールラインに逆らうように登る右バナナにより深くドッグレック手前の棚に導かれる。斜面変化を下り緩斜面は入り口で再度、登るような左バナナを抜け、フィニッシュ手前のロールはヒールサイドの手前に位置することとなる。気温は上昇し外気温は春の様相、巻層に霞む雲が広く空を覆い日差しを和らげ、雪面も表面は緩みをみせるが剥き出した下地は十分な締まりを維持したまま、決勝に向けて再び牙を剥く。

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女子2本目のオーダーは、一人抜けた1.志鷹が57.212。

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追う2.宮武58.831。

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3.越坂59.624。

4.丸山が59.954と59秒台、背後の5.村田が60.112と混戦の模様。

上位8名フリップでの3番出走の6番手の勇上が諸手を前へボードをプッシュしゲートを攻める。半身で左手を伸ばしフィニッシュを切ると62.242とタイムを詰めてくる。続く村田は軸を固め安定の滑りで62.609、グフィーで掘れの合わね丸山はヒールサイドで右手を懸命に振り回しながらバランスを取り斜面を駆け降り62.877、越坂は確実にトウサイドでボードを走らせスピードに乗せ60.530とペースをあげる。さらに宮武はコンパクトにラインを引き上げ、左右のバナナを垂らしきりながらしっかりとスピードを繋ぎ59.122のタイムで2本目のラップを叩き出し残る志鷹を待ち受ける。既に急斜面を駆け降りる志鷹の攻めは宮武以上に厳しく、斜面へ身体を落とし低いポジションでゲートを攻め、先に出た宮武の後を追う。ドッグレックの入り口の棚で僅かに詰まったかに見えるが、フィニッシュで待つ宮武の前に現れた2つ目のバナナを処理する志鷹の速度は引けを取らない。懸命に緩斜面を走らせ左手を伸ばしフィニッシュを切ると60.243。1本目の貯金を使い果たすことなく合計タイムで0.498上回り、1年ぶり、今季の初勝ち星を得た。

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女子

優勝 志鷹 あかり(OGASAKA)

2位   宮武 祥子 (SIG-NATURE)

3位   越坂 綾菜 (Blackpearl)

 

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男子のオーダーは一人旅のジェシーが50.407と川口52.312を引き離す。3.戸田の53.159を筆頭に4.野藤53.693 、5.奈良53.843と僅差で争う。6.小嶋54.067、7.今井54.178、8.今54.471、9.杉本54.459、10.KIMUTOMOの55.008、11.河島が55.098と厳しい位置からのスタートとなる。

男子は1本目14位、3番出走から清水が地の利を活かし知ったコースを攻め立てる。迷いの無い攻めの滑りで次々とゲートを仕留め55.754と好タイムをマークして鬨の声を上げると、続く後藤はゲート間を短くスムーズに攻め56.280、気負ったか6番出走の河島、縦へ奥へとゲートを攻め7旗門目でボードが流れるも危ういランで56.011、今がトウサイドで流れそうになるボードを抑え込みタイトに攻め55.557とペースを上げる。今井が僅かに失速、56.294ながらポジションをキープ。長めのエッジングでラウンド気味に速度をつなぐ小嶋が緩斜面へとスピードを乗せ55.641と合計タイムで今を躱し位置をキープ。熾烈な上位争いが繰り広げられる中、ツアーチャンピオンもかかるランキング上位者がスタートを切る。

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1本目4位、2位の川口との差は1.379の野藤。5旗門目で甘く入ったグーフィーの野藤のトウサイドがグリップを失いかける。1本目を彷彿させるミスで蘇ったか、本来の滑りを呼び覚ましスイッチが入った。瞬時に両足を浮かしゲートを仕留めにかかるヒールサイドがストレートにゲートを繋ぐ。

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知ってか知らずか野藤のフィニッシュを待たずコースインする戸田。1本目3位の戸田と2位川口との差は1.153、心中幾何かゲートを攻める。僅かにヒールサイドのインをあけトウサイドを間際を短く捉え着実果敢に斜面を斬り下りる戸田。その頃、スタンバイする川口の耳に届いたか、2つ目のバナナで両手を合わし駆け下る野藤が大きなモーションで大事にロールを越える。フィニッシュを切った野藤のタイムは54.462、小嶋を合計タイムで1秒半ほど引き離し、リーダーがコースを振り返る。同時に戸田が速度を乗せてドッグレックに消えていくと、王者奪回へと川口が躍り出る。煙る雪飛沫を後方に残し低く置かれた重心が次のゲートを確かに狙う。

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バナナ前のヒールサイドでエッジが残り一瞬、膨らむ川口。既に2つ目のバナナを駆け抜け、緩斜面で両手を大きくバランスを取りゴールへ向かった戸田、懸命に左手を伸ばし電光管を指先で切る。戸田のタイムは55.084と合計タイムで0.092届かず野藤に前を許す。直後、観衆の前に現れた川口も迅い。悠然とも、ゆったりと身体を起こしながら首を左右に振りフィニッシュを切ると川口54.463。1本目の貯えを残したままポジションを確保しランキングを確定させる。残すはスーパーゲストのジェシーJ アンダーソン、世界を達観した滑りが全てを掻き消し舞台を照らす。川口をももってしても2秒近いアドバンテージを有する2本目の滑りは、通常レギュラーで傷んだ左ターンを身体1つ分余裕を持たせ、グフィーの神憑りなヒールサイドが強烈にショートポールの根際を鋭く貫く。不思議なほどに少ない雪煙は限りなく小さく、ジェシーの過ぎ去った遥か後方に置き去りとなって時を置いて静かに舞い落ちる。言葉もなく魅入る観衆を横目に矢風を残しドッグレックへと消える。やはり誰よりも疾く川口らの前に現れた覇者は、SXを憶わす様にプレオーリーをかけロールを処理、顔を伏せ脳天の前で合わせた両手でしっかりと確かめるようにフィニッシュラインをきった。53.858。合計タイムで川口に2秒半余り。ジェシーの独断場は全ての選手にとって夢を創造しスノーボードの可能性を享受させてもらえた素晴らしい滑走であったに違いない。

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大会終了後、滑りだけでなく表彰式のプレゼンターなど、フォトセッションでアマチュア選手に寄り添うスーパースターの笑顔にも誰もが魅了された。

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男子

優勝 ジェシーJアンダーソン

2位   川口 晃平(PANDASTUDIO)

3位   野藤 優貴(MOSS)

4位   戸田 大也(SG*UPZ)

5位   小嶋 大翔([SN])

6位   今  拓洋(YONEX.MAC)

見応えのある最終戦を終え、女子は登別大会の立役者の宮武が快走し自身初となるツアータイトルを奪取。男子では激戦のポイント争いを制した川口がツアーランキングトップとなり、13/14シーズンから4年ぶり通算5度目の王者奪回を果たした。
一夜の静寂をおいてもう一つの最後の闘いが幕をあける。記念すべき初のPSA ASIA CHAMPION SHIPは同じく菅平パインビークにて、土俵をグランプリコースに移しPGSでの開催となる。ツアーとは趣を変え、1戦限りのタイトルを掛けた大一番の戦い。各選手が入念な備えを了え帳に就いた。

ALL PHOTO by GOKATSU

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20th Anniversary PSA ASIA Snowboard Pro Tour Page プロスノーボーダー約340名を擁し、日本最大のスノーボードプロツアーを20年に渡り行っています。速く、高く、美しく…今シーズンもプロフェッショナルな滑り、大会情報を皆さまにお届けします! Official Web