おそらく最強のスノーボードウエアと言っても過言ではないだろう。AK457はシーズンを通してバックカントリーフィールドで活動を続けるプロライダー竹内正則がその経験と向き合う中で、ブランドのクリエイティブディレクターの藤原ヒロシ氏(パウダーライディングをこよなく愛すことでも知られている音楽プロデューサー)と共に作り上げてきたスペシャルプロダクツだ。スタートから約10年、様々な試行錯誤を経て完成した非常に高いパフォーマンスは、Burtonというグローバルブランドの中でも最高域にあるだろう。そこで今回、AK457の進化の過程を少し掘り起こしつつ、それぞれのアイテムにまつわる開発エピソードを取材した。

@Hikarigahara photo service

はじまりのきっかけ

AK457がスタートしたのは2010年。その頃のBurtonの[ak]ラインはなんとなく、それまでのラインとは雰囲気が変わってきていたときでした。少し太めのシルエットでフリースタイル寄りの雰囲気。時代にマッチしていたとは思いますが、バックカントリー、フリーライディングを追求する僕たち大人世代にとってはもの足りなさを感じる部分がありました。それ以前にAKの代名詞とも言われていたTRI-RITEをベースにしたようなスッキリしたジャケットを作りたいってこともあり、藤原ヒロシさんをクリエイティブディレクターに、僕がテクニカルな部分を担当するということでAK457がスタートしました。

僕たちが目指したもの

まず目指したのは、自分のサイズを標準のLサイズとして、体にフィットして動きやすく、デザイン的にはすっきりしたシルエット。そしてバックカントリーでの使いやすさ、そこに着眼したモノづくりです。どうしたらスノーボードを持ってバックカントリーに入った時にスムーズに対応できるか、そして刻一刻と変化する自然環境にしっかりと対応することができるか。アウターウェアはシェルとして求められる性能に徹して、温度調節はレイヤリングですべて対応するという明確な方向でアイテム考え、試行錯誤しながら製品をつくっていきました。バックカントリーではバックパックを背負って歩き、ライディングし、そしてハイクという動きも当然考慮する。アウターは軽くすることも必要でしたし、ポケットやジッパー、フラップの配置などは相当考えながらつくってきました。機能性ではバックカントリーでいかにスムーズに正確に、そして安全で快適に過ごせるかということが常に開発の基本にありました。

出発時は晴天でも山の中に入れば様々な天候の変化は当たり前。だから万全の装備と共にコンディション変化に適応できるタフなウエアとレイアリングの工夫が必要になる @Hikarigahara photo service

ゴアテックス

ゴアテックスを使用するには、ゴアテックスが定めた基準をテストでクリアしなければならいという難しさがありますが、それはウエアの信頼性を高めることになり、大いに意味があることだと思います。実際に開発段階では僕らが考えたポケットやジッパーの位置や取り付け方が、ゴアテックスの基準には合っていないということもありました。例えばこの位置にポケットを配置するならフラップを付けないといけないとか。でもそれはより完璧な性能を備えるための基準なので、AK457のパフォーマンスを上げていくにはとても重要な要素になりました。

AK457 GUIDE JACKET

とにかくとことん細かいところにこだわりました。スッキリしたシルエットの調整に始まり、バックパックを背負った時の動きやすさはもちろんのこと。例えば僕は常にフードを被るというわけでもないので、フードを外した時の襟が立つようなデザインにして、その高さ決めにはだいぶ拘りました。フードの形も小さすぎず、大きすぎずのバランスを決めるのにも試行錯誤を繰り返しました。ゲーターもテールを長めにズレないようにラバーを付けて、軽量で撥水性のあるストレッチ素材で。より濡れにくく、動きやすくしました。中でもポケットではトランシーバーをどこに収めるのか、厳しい環境で電子機器を保護しながら、素早く操作できることを考え、またモバイル機器と干渉しないような位置にするとか、ここはだいぶ時間をかけてアップデートしてきましたね。

AK457 GUIDE JACKET
Size : XS, S, M, L, XL
Color : Baby Blue, Neon Pink, True Black
Price : ¥89,000

首元はレイアリングとの兼ね合いも考えながら、できるかぎりスッキリさせつつ、暖かくと襟の高にはかなりこだわって調整された
軽量で撥水性、そしてストレッチ性素材のウエストゲーター。先端のラバー部分もズレにくいものを厳選して配置した

AK457 HI-TOP PANT

AK457はハーフのビブパンツなんです。前面パネルの大きなビブはどうも嵩張りますし、動きにくいと感じているので、最初からハーフでいこうというのがありました。ハーフビブなら腰をタイトに締め付けないし、背面にもメッシュ素材を使用することで、着用感にストレスがなくとても動きやすいんです。また、パンツではスプリットボードやスキーで使用したりということも考えて、耐久性の面も補強材を入れて強化したり。急用時に便利なようにお尻にフラップを付けたり、すべてはいろんなシチュエーションへの対応を考えて、結果的にとても使いやすいパンツになりました。AK457 HI-TOP PANT
Size : XS, S, M, L, XL
Color : Baby Blue, True Black
Price : ¥76,000

前面パネルをハーフビブにし、動きやすさを重視。腰回りの余裕と暖かさはこの形でも十分にキープされる
背面はメッシュ素材。サイドのジッパーはとても開けやすく、着脱も非常にスムーズ

PACKABLE DOWN

今は着る必要がないと思った時でも、これをバックパックに入れておくことで温度変化への適応が格段に変わります。しかも驚くほど軽くてコンパクト。リフトに乗った時もお尻の冷たさを大幅に軽減してくれます。また、ショートパンツはフリースパンツの上に着ることで、その格好で外を動き回っても不自然じゃないんです。雪山の往復もいけちゃうというところは僕自身も気に入ってます。動きやすく、だいぶリラックスできますよ。
AK457 PACKABLE DOWN JACKET(上)
Size : S, M, L, XL    Price : ¥28,000
AK457 PACKABLE DOWN SHORT(下)
Size : S, M, L, XL   Price : ¥25,000

左がダウンジャケット、右がダウンショートのパックした状態。とても軽くコンパクト

HI NECK FLEECE誕生のエピソード

最初のデザインはバラクラバみたいなフルフェイスのフリースだったんです。それをテスト段階でニュージーランドに持っていったら暑くて(笑)。僕はビーニー派なんで、だったら上はいらないやって前面をそのままで位置を考えながら、その場でハサミを使って上部をカットしたんです。後部はちょうどゴーグルのベルトで抑えられるように。それでビーニーを被ってちょうどいい形ができたんです。これで暑い時は口元を下げればいい。こんな感じでストレスレスのアイテムが誕生しました。


BASE LAYER HI NECK FLEECE
Size : S, M, L, XL
Price : ¥18,000

フェイスマスクと一体化したような特殊な形状が、暑すぎず、しっかりと保温機能を発揮

AK457 LW JACKET

春用のジャケットとして最初はもう少しタイトな作りだったんですが、現在はレインジャケットとしても使えるように少し余裕のあるシルエットにしています。ただこのジャケットでもアウター本来の機能としては十分使えます。GUIDE JACKETとの大きな違いは装備への対応部分を省いて、ウエア自体を軽くしたというだけものです。ですからゲレンデを滑る時などはLW JACEKTは軽く、動きやすく、とても使いやすいアイテムになっているんです。

AK457 LW JACKET
Size : XS, S, M, L, XL
Price : ¥79,000

フードはスッキリ収納可能。2つのスタイルを楽しめ、コンディションへの対応幅も広がる

バックカントリーシーンとウエアのカラー

歴代のAK457のアイテムは、ブラックが基本ではあるんですが、バックカントリーで使うアウターには必ずもう1色以上カラフルなカラーのアイテムをラインナップに入れています。ガイドという仕事上、ツアーの参加者の人からも常に僕の位置を確認してもらう必要が出てくるので、雪山で目立つカラーが活躍します。特に雪山でガスった日は、相当際立つカラーでないと役に立たない。毎年カラーは変えていますが、今シーズンはBaby BlueとNeon Pink、このカラーは藤原ヒロシさんに決めてもらっています。

快適に雪山の時間を過ごすためのアドバイス

まずはその日のコンディションの情報をしっかり得ることです。それは滑り出す瞬間のことだけでなく、これから雪山で過ごす全ての時間の予想をすることなんです。当然、気温は大きく変化しますから、その変化に適応できるレイヤリング、その変化の幅が大きくなるなら対応できる予備のレイヤリングのアイテムを必ず携帯していることです。まずは気温の変化への対応域の広いウエア、信頼性の高いウエアを選ぶことが重要です。コンディションが厳しくなればなるほど、その装備の差が大きく自分に返ってきますから。

@Hikarigahara photo service

AK457×竹内正則
1980年代後半から国内のコンテストシーンの頂点を極め、世界レベルのライダーとセッションし、そのライディングシーンと共に国内のスノーボードシーンを牽引してきたレジェンドライダー 竹内正則。光が原CAT TOURをプロデュースし、バックカントリースノーボーディングの魅力を自ら伝えつつ、その豊富な経験を活かしてAK457をはじめ、BurtonのFamily Treeなどの開発に関わってきた。AK457は竹内の豊富な経験から細部までに拘りぬいた分身のようなブランド。厳しい環境を経験してきた中で練り上げられた製品だからこそ、あなたのスノーボードライフでも最大限活躍してくれる力強い味方になってくれるはずだ。

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