16.17 PSA ASIA Topic vol.27!!!

PSA ASIA Snowboard Pro Tour

2017/3/2

Round 12

Slopestyle

47week SS

2017年3月2日、長野県「HAKUBA47ウィンタースポーツパーク」にて今シーズンのPSAプロツアー12戦目、フリースタイル種目としては第5戦目になる「47ウィークSS」スロープスタイル種目が開催されました。

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今シーズンはHAKUBA47にて今期フリースタイル種目の優勝者と昨年のツアーランキング上位選手、および今期のフリースタイルチャレンジランキングのトップランカーのみが出場する、賞金総額200万円のビッグレース「グランドチャンピオンシップ(グラチャン)」が開催されることもあり、今大会は前日の「47weekストレートジャンプ」と共に、グラチャンへの良い流れ作りと出場権を得るためにも選手達にとって大切な戦いになりました。

 

なお大会開催地である47parksはムービークルーであるHYWODチームがプロデュースする、ハーフパイプを常設し、パークビギナーからエキスパートレベルのライダーまで、幅広いレベルのパーク愛好者を満足させる作りになっています。

47parks〜Hakuba47TERRAINPARK〜
http://www.hakuba47.co.jp/area/snowpark/

そんな47parks上級者レーン内の3セクションを利用して「47week スロープスタイル」が開催されました。

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選手達が最初にトライすることになる第1セクションは
フラットダウンボックス、またはダブルダウンレールをチョイスする2wayジブセクション

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そこからライダー達は長めのアプローチをとり第2セクションとなる
16メーターキッカーへ

そしてジャンプの着地からスピードにのって最後に挑む第3セクションが
14メーターキッカー

以上3セクションの中で選手達は各々のルーティンを組み立てて勝利を目指すことになりました。

予選ではダブルアップシステムが採用されており、筆者MC藤沼が選手の机上のデータに目を落とし、滑り終えた選手の名前やスポンサーをコールし終えると、すでに次の選手が第1セクション付近まで滑り降りてきている事もしばしばで、コース上をかなりテンポ良く選手達が滑り降りてきました。出走する選手は交互に1ヒートと2ヒートに別れており前の選手が滑り終えるとほどなくして次の選手が出走を開始、それをジャッジ4人中2人が代わる代わる各ヒートの選手をジャッジするため、かなり出走のタイミングがはやくなります。

参加選手の多くが前日のストレートジャンプ戦でもメインジャンプを飛んでいたため、少し暗めの視界をものともせずに、男女共に予選からかなり高難度なトリックがメイクされていました。

男女共にジブセクションではフラットダウンボックスへのスピンinスピンoutやダブルダウンレールでは50−50toボードスライド等が多く見られ、ジャンプセクションでは540、720、バックフリップ等のトリックを決めた女子選手が、男子では720、900、1080、ダブルコーク1080などを第3セクションまでクリーンメイクして、しっかりとつなぎきった選手がファイナルへ進出しました。

前日のストレートジャンプ戦は終日陽の光が燦々とゲレンデを照らし続けましたが、一夜明けた白馬の空は前日と比べると若干暗めの曇り空。そんなコンディションの中行なわれていたスロープスタイル戦、47parks内はいつしか湿った雪が舞うコンディションへと変化していました。

予選を勝ち抜いた男子12名、女子6名の選手がファイナルを争いました。

決勝が近づくにつれてコース上に薄く積もった湿った雪が、予選や公開練習の時にファイナリスト達がつかんだ感覚と本番でのエアーの飛距離や滞空時間に、少なからず影響を与えていたように見えました。
第1セクションから第2セクションまでは多少余裕のある距離のアプローチにみえましたが、特に最後の第3セクションで挑戦したいトリックを放つために、第2セクションで完璧な体勢での着地が求められる難しいコンディションになっていたと思います。そんな中、実力を発揮し見事入賞した選手達は下記の通りです。

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女子
1位 岩渕 麗楽(ムラサキスポーツ)
2位 村瀬 心椛(ムラサキスポーツ)
3位 鈴木 徳子(FANATIC)

鈴木徳子選手はダブルダウンレールでの50−50toボードスライドを決め、第2セクションのジャンプでは、いまやトクコフリップと言っても過言ではないと言えるほど脅威のメイク率を誇るバックフリップテールグラブを巨大にメイクして、最後のキッカーでは頭が一度下になるコーク軸のバックサイド900をクリーンメイクして第3位、表彰台の一角に食い込みました。

そして今期絶好調の村瀬心椛選手は安定したダブルダウンレールでの50−50toボードスライドから第2セクションではバックサイド720を巨大にメイク。さらに第3セクションでフロントサイド720をクリーンメイクしてフィニッシュ、第2位となりました。

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そんな会心の滑りをした鈴木選手、村瀬選手を上回る点数を叩き出したのは、イエロービブをまとった昨シーズンのツアーランク覇者、女王岩渕麗楽選手。
岩渕選手はダブルダウンレールで50−50toボードスライドtoフェイキーを決めて第2セクションへスイッチアプローチ、前日のファイナルでも見せた必勝トリックのキャブ900を決め、さらに第3セクションでのバックサイド720までつないでみせました。
大会中多くの選手が第2セクションでのビッグトリックに備えてリスクの少ないトリック、またはフラットダウンボックスをチョイスする中、ランのハイライトとなり得るキャブ900へのアプローチとなる第1セクションでダブルダウンレールをチョイスし、さらに余裕を持ってフェイキーアウトへつないで行けるボードコントロール能力の高さにも女王の貫禄を感じました。
女子選手上位3人はいずれも決勝2本目に得点を伸ばして表彰台を確定させており、精神的な強さも感じさせてくれる結果となりました。
上位3名に続く選手は小川輝選手(November)クリーンなバックサイド540とキャブ540を決めていました。多くの女子選手がメインスタンスで着地できてルーティンをつなぎやすいトリックをチョイスする中バックサイド540で果敢に攻める姿勢が印象的でした。

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男子
1位 相澤 亮(YONEX)
2位 大久保 勇利(RIDE)
3位 平岡 敬太朗(FLUX)
4位 梅原 颯太(NOVEMBER)
5位 脇田 壮希(モリヤマスポーツ)
6位 山根 勇翔(YONEX)

男子はダブルコーク1080などを織り交ぜたルーティンで、1本目の激しいクラッシュの影響を微塵も感じさせない攻めのランをした山根勇翔選手が6位。

元気いっぱいスタートゲートを飛び出してボックスでのキャブ270in270outからバックサイドダブルコーク1080、そしてフロントサイドダブルアンダーフリップ900、さらにカメラの前での投げキッスまで見事につないだ脇田壮希選手が5位。

キッカーでのキャブ900ノーズグラブとローストビーフのツーグラブやフロントサイド1080ローストビーフ等、長い手足がより滑りをスタイリッシュに見せ、そして完璧な着地が美しい梅原颯太選手が4位。

前日ストレートジャンプ戦のファイナルでみせたキャブトリプルアンダーフリップ1260で会場を最も沸かせた平岡敬太朗選手がフラットダウンボックスでのキャブ270inリップスライドからキャブダブルアンダーフリップ900、バックサイドダブルコーク1080へとつないで第3位。

予選一位通過で決勝最後の出走だった大久保勇利は、フラットダウンボックスへスイッチアプローチからトウエッジ踏み切りのキャブ270inリップスライドtoフォワード、バックサイドダブルコーク1080、フロントサイド1080をするどく奇麗にメイクして、カメラの前でヘルメットとバラクラバを脱ぎ、しかし何も言葉を発さずにカメラ目線を続けるという、おもわずMC藤沼も「何か言えよ!(笑)」と突っ込まざるを得ない、シュールながらもオーディエンスを沸かせるパフォーマンスで喜びを爆発させて第2位に入りました。

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そして前日のストレートジャンプ戦ではバックサイド1440にトライして会場を沸かせた、この日の予選2位通過、相澤亮選手がダブルダウンレールでの50−50to
フロントサイド360outからバックサイドダブルコーク1080、そしてフロントサイド1080をするどくクリーンにつないで、決勝唯一の90点オーバーのハイスコアを叩き出し優勝しました。

なお、今大会でアマチュア選手として唯一決勝進出を果たし7位になった荻原大翔選手が見事プロ資格取得の権利を手にしました。

また今大会中も前日のストレートジャンプ戦に引き続き、チームHYWODを代表して脇田朋碁くん(BURTON)と47parksを代表して床井健太くん(FTWO)が前走者として大会を盛り上げてくれました。

超絶ハイレベルで熱過ぎる戦いにより、異常なまでの盛り上がりをみせた「47week、SJ、SS」でしたが、多くの選手達が数年前の国際大会でも優勝できるトリックをルーティンの中でメイクしているのをみて、日本スノーボード界の未来は明るいと感じました。

なお「47week」の模様はユーストリーム
「PSA ASIA Snowboard Pro Tour Channel」で視聴できますので、熱過ぎる彼等の妙技に酔いしれてください。

47week SS ファイナル映像はPSA ASIA TVより

47week SS 表彰式映像はこちらから

今シーズンは冒頭にも書いた通り、3/22〜23にフリースタイル種目のトップランカーのみで争われる賞金総額200万円のビッグイベント「PSA ASIA GRAND CHAMPIONSHIPストレートジャンプ」がやはりHAKUBA47で開催されます。

WORLD SNOWBOARD TOUR

http://www.worldsnowboardtour.com/events/47week-ss-2017-2/

世界レベルと言っても過言ではない熱戦が繰り広げられたPSAツア−第12戦目「47weekスロープスタイル」は無事に終了し、この後も3月22−23日PSA ASIA GRAND CHAMPIONSHIPまでプロツアーは続きます。

選手への応援よろしくお願いします!